今回は、「財務・会計 ~H26-14 効率的市場仮説(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成26年度一次試験問題一覧~
平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
効率的市場仮説 -リンク-
本ブログにて「効率的市場仮説」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
効率的市場仮説
「効率的市場仮説」とは、不特定多数の投資家で構成される株式市場では、株価には情報が迅速かつ正確に反映されていて効率的な価格形成が達成されているため、投資家による将来の株価の値動きに関する予測は不可能であり、株式市場の平均を上回る利益を得ることは不可能であるという仮説です。
「効率的市場仮説」は、株価に反映される情報のレベルにより「ウィーク・フォーム(ウィーク型)」「セミストロング・フォーム(セミストロング型)」「ストロング・フォーム(ストロング型)」の3種類に分類されます。
ウィーク・フォーム(ウィーク型)
「ウィーク・フォーム(ウィーク型)」とは、現在の株価には過去の株価データの全てが迅速かつ正確に反映されているため、過去の株価や出来高といった取引実績に関する変動推移などの情報を分析しても将来の株価を予想することはできないとする仮説のことをいいます。
セミストロング・フォーム(セミストロング型)
「セミストロング・フォーム(セミストロング型)」とは、現在の株価には過去の株価データの全てが反映されているだけでなく、企業が公開している情報の全てが迅速かつ正確に反映されているため、ディスクロージャー制度に則り企業が公開している財務諸表などの情報を分析しても将来の株価を予想することはできないとする仮説のことをいいます。
ストロング・フォーム(ストロング型)
「ストロング・フォーム(ストロング型)」とは、現在の株価には過去の株価データや企業が公開している情報の全てが反映されているだけでなく、一部の投資家のみが利用できる未公開情報さえも迅速かつ正確に反映されているため、インサイダー情報を利用しても将来の株価を予想することはできないとする仮説のことをいいます。
効率的市場仮説に似た「ランダム・ウォーク理論」という理論があるので、簡単に紹介しておきます。
「ランダム・ウォーク理論」は、株価が上昇するか下落するかの可能性は「2分の1」ずつであり、株価の将来の値動きを予測することは不可能であるという仮説です。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成26年度 第14問】
効率的市場仮説に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 市場が効率的であるとき、市場は完ぺきな予測能力をもっている。
b 効率的市場では、市場価格はすべての入手可能な情報を反映している。
c 効率的市場では市場価格は変動しない。
d 投資家間の激しい競争によって市場効率性は高まる。
[解答群]
ア aとb
イ aとc
ウ bとc
エ bとd
オ cとd
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
効率的市場仮説に関する知識を問う問題です。
「効率的市場仮説」とは、不特定多数の投資家で構成される株式市場では、株価には情報が迅速かつ正確に反映されていて効率的な価格形成が達成されているため、投資家による将来の株価の値動きに関する予測は不可能であり、株式市場の平均を上回る利益を得ることは不可能であるという仮説です。
(a)不適切です。
市場が効率的であるとき、市場は完ぺきな予測能力をもっているのではなく、市場は株価に情報を迅速かつ正確に反映する能力を持っているため、選択肢の内容は不適切です。
(b)適切です。
効率的市場では、市場価格はすべての入手可能な情報を反映しているため、選択肢の内容は適切です。
(c)不適切です。
効率的市場では市場価格は変動しないのではなく、効率的市場では株価に情報が迅速かつ正確に反映される(市場価格は変動する)ため、選択肢の内容は不適切です。
(d)適切です。
不特定多数の投資家で構成される株式市場であること、つまり投資家間の激しい競争が行われる市場においては市場の効率性が高まるため、選択肢の内容は適切です。
(b)と(d)に記述されている内容が適切であるため、答えは(エ)です。
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