前回までに紹介した記事で、平成29年度の中小企業診断士二次試験の「事例Ⅳ」に関する説明は終了します。
目次
平成29年度の二次試験問題と本ブログの対応表
問題 | カテゴリ | 該当記事 |
第1問 | 設問1(経営分析) | 事例Ⅳ 解答例(1) |
設問2(経営分析) | ||
第2問 | 設問1(利益増減分析) | 事例Ⅳ 解答例(2) |
設問2(予想営業利益の計算) | 事例Ⅳ 解答例(3) | |
設問3-1(予想営業利益の計算) | ||
設問3-2(損益分岐点分析) | ||
第3問 | 設問1(取替投資の差額キャッシュフロー) | 事例Ⅳ 解答例(4) |
設問2(設備投資の経済性計算) | 事例Ⅳ 解答例(5) | |
第4問 | 設問1(D社単体の損益状況の分析) | 事例Ⅳ 解答例(6) |
設問2(子会社化による財務諸表への影響) | ||
設問3(子会社化による経営への影響) |
事例Ⅳの出題の趣旨
「中小企業診断協会」のWebサイトに公開されている出題の趣旨を以下に示します。
第1問(配点25点)
(設問1)
財務諸表の数値に基づいて、企業間比較においてD社の財務状態を適切に評価するために必要な財務指標の値を求める能力を問う問題である。
(設問2)
適切な財務比率に基づいて、同業他社と比較した場合のD社の財務的な課題及び強みに関して評価する能力を問う問題である。
第2問(配点18点)
(設問1)
一定の条件の下で予測損益計算書を作成することによって、利益計画に関する診断及び助言の基礎となる数値を計算する能力を問う問題である。
(設問2)
新規事業の立ち上げに関する財務的な影響について予測資料を解釈し、それに基づいて新規事業に関する予測損益を計算する能力を問う問題である。
(設問3)
新規事業の稼働水準の変化や売電単価の変化による損益への影響を分析することによって、新規事業のリスクを検討するための感度分析を行う能力を問う問題である。
第3問(配点29点)
(設問1)
機械設備の更新によって生じる将来の差額キャッシュフローを予測することによって、設備投資決定に必要な財務数値を計算する能力を問う問題である。
(設問2)
投資案の評価目的に適合した評価指標を選択し、これを計算したうえで、投資案の採否に関して適切な判断をする能力を問う問題である。
第4問(配点28点)
(設問1)
連結財務諸表から親会社と子会社のそれぞれの単体における損益状況を理解する能力を問う問題である。
(設問2)
関連会社(持分法適用)が子会社(全部連結適用)となることによる連結財務諸表への影響を推定する能力を問う問題である。
(設問3)
関連会社を子会社化することについて助言を求められた場合に指摘すべき事項についての理解を問う問題である。
一次試験と二次試験の違い
二次試験の事例Ⅳでは「商業簿記」に関する知識はあまり必要とされません。
昨年の試験では、連結財務諸表に関する知識が求められましたが、与件文に出てきた「圧縮記帳」については記述試験の中で問われませんでした。おそらく、口述試験で「圧縮記帳によりD社の業務成績にどのような影響があるか?」などの質問をするために挿入されたものだと想定されます。(口述試験であれば、記述試験の合格通知が来てから勉強すれば十分に間に合います。)
つまり、二次試験は「工業簿記」を中心に勉強を進めれば、合格圏に近い得点を取ることができます。「工業簿記」は、ロジカルな思考でじっくりと読んでいけば理解することができ、あとは何度も何度も問題を繰り返して体で覚えていけば解けるようになっていきます。
もちろん、二次試験に向けて勉強すべきなのは「工業簿記」だけではありませんが、以下の図に示すように、「商業簿記」は「論述問題」を中心に「工業簿記」は「計算問題」を中心に意識して勉強していくことをお薦めします。
二次試験の中で「事例Ⅰ~事例Ⅲ」は正解のない試験なので、試験当日の自身の体調や、たった一つの勘違いによって得点が大きくぶれる可能性がありますが、「事例Ⅳ」の試験問題は半分以上が計算により正解を求める試験なので、得意科目にしておけば、自信をもって試験に臨むことができますし、ある程度安定した得点を取ることができます。
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