事例Ⅳ ~平成29年度 解答例(6)~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「平成29年度二次試験 事例Ⅳ」の「第4問」について説明します。

既に各業者から解答速報が出ていますが、私なりの思考ロジックに基づく解答(案)を以下に説明しますので、参考にしてもらえればと思います。

 

財務・会計の平成29年度二次試験については、以下でも説明していますので、是非アクセスしてください。

 

目次

第4問 設問1(D社単体の損益状況の分析)

問題

(設問1)
親会社D社単体の事業活動における当年度の損益状況を、30字以内で説明せよ。なお、子会社からの配当は考慮しないこと。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方

与件文に与えられている財務諸表はD-a社との連結財務諸表です。
D社単体の損益状況を確認するためには、D-a社の損益がいくらあるのかを確認する必要があります。

D-a社の損益は以下2つの情報から確認することができます。

  • 与件文  :80%の株式を保有する子会社であるD-a社
  • 損益計算書:非支配株主損益/16百万円

 

D社がD-a社の株式を80%保有しているということは、D社に帰属しない株式が20%あるということです。
また、損益計算書の「非支配株主損益」という項目は、D社に帰属しない株式(20%)の損益(16百万円)を示しています。

つまり、D社に帰属するD-a社の損益を以下の計算式で算出することができます。

  • 16百万円 ÷ 20% × 80% = 64百万円

 

連結損益計算書から、D-a社の損益を除いてD社単独とした場合、「税金等調整前当時純利益」が「56百万円-64百万円=△8百万円」となり、マイナスに転落することが分かります。

 

解答

30文字なので簡潔に以下の通り解答することとしました。

  • D社帰属の子会社利益64百円を除くと当期純損益はマイナスである。(30文字)

 

第4問 設問2(子会社化による財務諸表への影響)

問題

(設問2)
再来年度に関連会社D-b社を子会社化するか否かを検討している。D-b社を子会社にすることによる、連結財務諸表の財務指標に対する主要な影響を30 字以内で説明せよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方

「第1問の経営分析」によると、D社は「効率性」が高く、「収益性」と「安全性」が低いとの結果が得られています。問題文には発電事業の「効率性」に関する記述は見当たらないため、「収益性」と「安全性」を中心に財務諸表への影響を考えていきます。

 

収益性について

収益性について確認するにあたっては、問題文に記載されている「再来年度に子会社化する」というのがポイントとなります。

「第3問 設問2」において、発電事業に関する来年度の営業利益は「△244百万円」、再来年度は「250百万円」と予想されています。

仮に、来年度に子会社化するとした場合、染色関連事業の予想営業利益「299百万円」と合わせて営業利益は「55百万円」となり、今年度の営業利益「214百万円」から大幅に減少します。さらに、12億円の追加負債により支払利息等が増えることが予想されるため、経常利益がマイナスに転落してしまいます。

しかし、子会社化が再来年度であれば発電事業単体でも「250百万円」の営業利益が予想されているため、収益性にそれほどの影響はないと予想することができます。12億円の追加負債による支払利息がいくらになるのかが不明なため、経常利益への影響は判断に迷うところですが、「12億円の追加負債」に関する解答をするのであれば「収益性」ではなく「安全性」の観点で解答した方が良いと思われます。

 

安全性について

子会社化することにより、D-b社の負債12億円(来年度にいくら返済されるのか不明)が連結財務諸表に追加されることとなります。

染色関連事業だけを実施している当年度の財務諸表でも、負債比率が高く安全性が低い状況となっていますが、さらに発電事業を営むD-b社の負債が追加で計上されるため、さらに負債比率が高くなり、安全性が極めて低い状態になると予想することができます。

子会社化による一番大きな影響はやはり「負債比率」だと思います。

この問題を通じて、第1問において自己資本比率ではなく負債比率を選択したことのつじつまがあうため、第1問の自身の解答への納得感も得ることができました。

 

解答

30文字なので簡潔に以下の通り解答することとしました。

  • 子会社化により財務諸表に借入金が計上され、安全性が低下する。(30文字)

 

第4問 設問3(子会社化による経営への影響)

問題

(設問3)
関連会社を子会社化することによって、経営上、どのような影響があるか。財務指標への影響以外で、あなたが重要であると考えることについて、60字以内で説明せよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方

この問題では経営上への影響を問われているため、事例Ⅳというよりも、事例Ⅰに頭を切り替えて解答を検討する必要があります。

また、「60字以内」ということなので、2つの要素を取り入れて文章を構成していきます。

 

1つ目の要素(意思決定の迅速化)

子会社化によるメリットは「意思決定の迅速化」です。

関連会社の場合、利害関係の異なる様々なステークホルダー(株主)が存在するため、調整等に時間を要してしまい、意思決定までに時間がかかってしまいます。

一方で、子会社の場合は、親会社が経営上の支配力や実質的な決定権を持っているため、迅速に意思決定を行うことができ、子会社の経営をコントロールすることができます。

ちなみに、子会社とは「議決権のある株式を50%超保有しているか、たとえ50%以下であっても40%以上の株式を保有していて、営業方針の決定権、役員の派遣状況、資金面等から判断して実質的に支配していると判断される場合」を示しています。

 

2つ目の要素(事業リスクについて)

事例Ⅰとも若干異なりますが、今回の事例企業による発電事業への進出について、すごく気になっていることがあります。

それは、いきなり12億円の負債を抱えて新規事業を一気に展開しようとしていることです。

新規事業を展開する場合の鉄則は「最初は小さくスタートして徐々に拡大していくこと」です。(他にも撤退基準を明確に定めておくことなどがありますが。)

12億円の負債を抱えてスタートした後、事業が失敗したときにうまく後処理ができるのか。など懸念される点が多々見受けられます。

そういう状況にあるD-b社を子会社にするということは、D社はその事業リスクについても責任を負うこととなるため、経営に直結する非常に大きなリスクであると考えられます。

 

解答

60文字なので2つの要素を取り入れて、以下の通り解答することとしました。

  • 経営上の支配力を高めることができ意思決定を迅速に実行できるが、子会社が事業に失敗した場合のリスクを大きく被る可能性がある。(60文字)

 


コメント

  1. talkinghands より:

    第4問 設問1(D社単体の損益状況の分析)について

    持分100%なら80百万円収益があるところ
    持分80%なので非持分20%の20百万円差引している
    と思います

    参考記事
    https://rmc-oden.com/blog/archives/122476

    とすれば
    税金等調整前当時純利益は、80が加算された結果、56になっているのではないでしょうか

    56から差し引くのが持分80%の64というのがわからず、よろしければご教示願いたいです

    よろしくお願いいたします

タイトルとURLをコピーしました