今回は、「平成29年度二次試験 事例Ⅳ」の「第2問 設問2、設問3」について説明します。
既に各業者から解答速報が出ていますが、私なりの思考ロジックに基づく解答(案)を以下に説明しますので、参考にしてもらえればと思います。
財務・会計の平成29年度二次試験については、以下でも説明していますので、是非アクセスしてください。
目次
第2問 設問2(予想営業利益の計算)
来年度の発電事業(新規事業)に関する営業利益を計算する問題です。
実際には(設問3)を解くために必要な基礎情報を受験者に理解してもらうための問題のように見えますが、簡単すぎて結構悩んだ方が多いのではないかと思います。
- 売上高 = 33円/1kWh × 12百万kWh = 396百万円
- 変動費 = 60百万円 + 210百万円 = 270百万円
- 固定費 = 370百万円
予想営業利益 = 売上高 - 変動費 - 固定費 = △244百万円
与件文に「来年度上半期にはプラント建設、試運転が終了し、下半期において商業運転を開始する予定である。」と記載されているため、表に記載されている年間変動費はあくまで12か月分の費用を示しており、試運転が6か月、商業運転が6か月ではないか。など疑り深く考えてしまいました。
答えは「△244百万円」です。
第2問 設問3-1(予想営業利益の計算)
再来年度の発電事業(新規事業)に関する年間予想営業利益を計算する問題です。
年間予想営業利益=売上高 - 変動費 - 固定費
=33円/kWh × 40百万kWh-210百万円 ÷ 12百万kWh × 40百万kWh-370百万円
=250百万円
答えは「250百万円」です。
第2問 設問3-2(損益分岐点分析)
来年度の発電事業(新規事業)に関する損益分岐点分析(CVP分析)の問題です。
損益分岐点は営業利益がゼロとなる点を表しており、出題された場合は、以下の式を変形して解答を求めていくことをお薦めします。
- 売上高 - 変動費 - 固定費 = 0
- 売買単価 × 年間売電量 - 変動費単価 × 年間売買量 - 固定費 = 0
- (売買単価-変動費単価)× 年間売買量 - 固定費 = 0
上記の式に、問題文の情報を入れて「売買単価(X円/kWh)」を求めます。
(X円/kWh - 210百万円÷12百万kWh)× 40百万kWh - 370百万円 = 0
(X円/kWh - 17.5円/kWh)× 40百万kWh = 370百万円
X円/kWh - 17.5円/kWh = 9.25円/kWh
X円/kWh = 26.75/kWh
売買単価が26.75円/kWhのとき、営業利益はゼロとなります。
つまり、売買単価が26.75円/kWhよりも低い場合は、営業利益がマイナスになります。
問題文に「売買単価は1円単位で設定されるものとする。」との前提があり、「売買単価が1kWh当たり何円を下回ると損失に陥るか。」ということを問われているため、「27円/kWhを下回ると損失に陥る。」という解答になります。
念のため、以下の通り検算してみます。
売買単価 | 営業利益 |
27円/kWh | 10百万円 |
26円/kWh | △30百万円 |
「損益分岐点分析(CVP)」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。
答えは「27円/kWh」です。
コメント