今回は、「平成29年度二次試験 事例Ⅳ」の「第2問 設問1」について説明します。
既に各業者から解答速報が出ていますが、私なりの思考ロジックに基づく解答(案)を以下に説明しますので、参考にしてもらえればと思います。
財務・会計の平成29年度二次試験については、以下でも説明していますので、是非アクセスしてください。
目次
第2問 設問1(利益増減分析)
売上高、変動費、固定費の予測に基づき、来年度利益の増減を分析する問題です。
それほど難しい問題ではないので、ぜひ正解しておきたいですね。
【損益計算書(当年度)】
問題文で与えられている当年度の損益計算書を以下に示します。
売上高 | 3,810 |
売上原価 | 3,326 |
売上総利益 | 484 |
販売費及び一般管理費 | 270 |
営業利益 | 214 |
【変動費と固定費への分解】
<予測資料>の「売上原価のうち1,650百万円、販売費及び一般管理費のうち120万円が固定費である。」という前提に基づき、売上原価と販売費及び一般管理費を変動費と固定費に分解します。
変動費 | 固定費 | 合計 | |
売上原価 | 1,676 | 1,650 | 3,326 |
販売費及び一般管理費 | 150 | 120 | 270 |
合計 | 1,826 | 1,770 | 3,596 |
【来年度予測による数値の変化】
<予測資料>に基づき、来年度の売上高、変動費、固定費を計算します。
- 売上高 = 3,810 × 0.4 + 3,810 × 0.6 × 1.03 = 3,878.58
- 売上原価(変動費)= 1,676 × 1.05 = 1759.80
- 売上原価(固定費)= 1,650 - 100 = 1,550
【来年度予測による変動費と固定費】
上記で計算した来年度の変動費と固定費の予測値から、売上原価と販売費及び一般管理費を計算します。
問題文に「端数が生じる場合には、最終的な解答の単位未満を四捨五入すること」と記載されていますので、端数処理しないよう注意してください。
変動費 | 固定費 | 合計 | |
売上原価 | 1,759.80 | 1,550 | 3,309.80 |
販売費及び一般管理費 | 150 | 120 | 270 |
合計 | 1,909.80 | 1,670 | 3,579.80 |
【損益計算書(来年度予測)】
損益計算書を作成します。
売上総利益と営業利益を計算するまで、四捨五入しないように注意してください。
売上高 | 3,878.58 |
売上原価 | 3,309.80 |
売上総利益 | 568.78 |
販売費及び一般管理費 | 270.00 |
営業利益 | 298.78 |
【解答】
最後に、端数が生じる数値の単位未満を四捨五入して、損益計算書を完成させます。
【損益計算書(来年度予測)】
売上高 | 3,879 |
売上原価 | 3,310 |
売上総利益 | 569 |
販売費及び一般管理費 | 270 |
営業利益 | 299 |
明日は、引き続き「平成29年度二次試験 事例Ⅳ」の「第2問 設問2、設問3」について説明します。
コメント
こんにちは。いつも参考にさせていただいております。
平成29年IV第2問設問1について、1点わからない点があるので教えてください。
売上原価(変動費)の計算ですが、変動部分は来年度の売上に比例させて計算するべきなのではと思ったのですが、そうしない理由は何になりますでしょうか。
ちなみに売上高比例で計算すると、1676/3810*3879*1.05=1792となりました。
お手数ですが、ご回答よろしくお願い致します。
与件文において、「得意先との交渉による適正料金の設定によって採算を改善すること」がD社の課題であると記述されており、第2問の問題文では「大口取引先との取引については、交渉によって納入価格が3%引き上げられることが見込まれる」と記述されています。
これらの文章から考えると、当年度と来年度において、D社が提供する製品の数量や質は変わることなく、単純に販売価格(大口取引先への納入価格)を3%引き上げることができる見込みであると理解することができます。
もう少し具体例で説明すると。。。
例えば、当年度は10個の商品を100万円で販売したが、来年度は11個の商品を110万円で販売する見込みです。という内容であれば、kaz様のコメント通り、売上原価(変動費)の計算も、売上高に比例させて計算すべきだと思います。
しかし、この問題では、当年度は10個の商品を100万円で販売したが、取引先との交渉により販売価格を値上げすることができそうなので、来年度は、10個の商品を110万円で販売できそうだと記されています。
とすれば、売上原価(変動費)の計算は、売上に比例させて計算するのではなく、当年度の売上原価に対して5%上昇するとして計算する方が良いのではないかと思います。
いかがでしょうか。