財務・会計 ~H28-14 加重平均資本コスト(WACC)(2)~

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今回は、「財務・会計 ~H28-14 加重平均資本コスト(WACC)(2)~」について説明します。

 

「加重平均資本コスト(WACC)」は二次試験(事例Ⅳ)で出題される可能性があるため、一次試験の段階からしっかりと勉強しておきましょう。

 

目次

財務・会計 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

加重平均資本コスト(WACC) -リンク-

本ブログにて「加重平均資本コスト(WACC)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

資本コスト

「資本コスト」とは、企業が存続する限り最低限発生するコストであり、企業が投資を実行するべきか判断する際に使用する重要な基準です。

投資をしても「資本コスト」以上の利益を生みだす成果が得られない限り、企業としては投資をやるべきではないと判断します。なぜなら、企業としては存続するだけで最低限発生するコスト(=資本コスト)以上の利益を生み出さないと徐々に資金が減少してしまうからです。

「資本コスト」は、「加重平均資本コスト(WACC)」により「負債コスト」と「株主資本コスト」の加重平均で算出します。

 

加重平均資本コスト(WACC)

「加重平均資本コスト(WACC)」は、「負債コスト(時価)」と「株主資本コスト(時価)」の加重平均で「資本コスト」を算出する方法であり、その公式は以下の通りです。

 

 

「加重平均資本コスト(WACC)」を求める問題では、以下2点のポイントがあります。

  • 加重平均資本コストの計算には「株主資本コスト」と「他人資本コスト(負債)」の「時価」を使用します。
  • 加重平均資本コストの計算には「税引後負債コスト」を使用します。

 

負債コスト

負債とは借入金です。負債(借入金)があるということは借入先に「支払利息」を支払わなくてはなりません。これが負債コストであり「支払利息 ÷ 負債総額」で算出することができます。

「支払利息 ÷ 負債総額」で算出される負債コストは「税引前負債コスト」といいますが、黒字経営の企業の場合、支払利息を払うことにより利益が減少するため、節税効果により支払う法人税が少なくなります。この節税効果を加味して「税引後負債コスト」を算出します。

 

 

自己資本コスト(株主資本コスト)

「株主資本コスト(株主の期待収益率)」は、立場の違いによっていろいろな呼び方がありますが、「自己資本コスト = 株主資本コスト = 株主の期待収益率 = 証券の期待収益率」です。

企業から見ると「株主資本コスト(自己資本コスト)」と呼ばれ、投資家から見ると「株主の期待収益率(証券の期待収益率)」と呼ばれます。

「株主資本(自己資本)」とは資本金などの純資産です。資本金を調達するために株式を発行している場合、株主に対して「配当金」を支払わなくてはなりません。これが「株主資本コスト(自己資本コスト)」です。

逆に、投資家の視点から見ると、企業の株式を購入することで「配当金」によるリターン(収益)を期待しています。これが「株主の期待収益率(証券の期待収益率)」といいます。

なお、投資家は株価の低下や企業の倒産等により投資資金を失うリスクがあるため、投資家が株式を購入したときは銀行に預けた時に受け取る利息よりも高いリターン(収益)を期待しています。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成28年度 第14問】

加重平均資本コスト(WACC)の計算手順に関する次の記述について、下記の設問に答えよ。

 

加重平均資本コストは、株主資本(自己資本)コストと他人資本コストを、その[ A ]に応じて加重平均することで求められる。加重平均に用いるのは、理論的にはそれぞれの[ B ]である。
また、他人資本コストには[ C ]を考慮する必要がある。具体的には、他人資本コストに[ D ]を乗じることで、[ C ]を考慮した他人資本コストを求める

 

(設問1)

記述中の空欄AおよびBにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。

 

ア A:運用形態  B:時価
イ A:運用形態  B:簿価
ウ A:資本構成  B:時価
エ A:資本構成  B:簿価
オ A:調達源泉  B:簿価

 

(設問2)

記述中の空欄CおよびDにあてはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。

 

ア C:節税効果    D: 1-限界税率
イ C:節税効果    D:限界税率
ウ C:レバレッジ効果 D: 1-限界税率
エ C:レバレッジ効果 D: 1+限界税率
オ C:レバレッジ効果 D:限界税率

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

 

財務・会計 ~加重平均資本コスト(WACC)(1)~

加重平均コスト(WACC)の公式は以下の通りです。

また、問題文(平成29年度 第24問)の内容を図にすると以下のようになります。

上記の説明を見ると、加重平均資本コスト(WACC)は「株主資本コスト」と「他人資本コスト(負債)」の比率から算出しています。

図の中に、目立たないように「時価」を書いていますが、これは覚えておいてください。
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加重平均資本コストは、株主資本(自己資本)コストと他人資本コストを、その 資本構成 に応じて加重平均することで求められる。加重平均に用いるのは、理論的にはそれぞれの時価である。

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答えは(ウ)です。

 

考え方と解答(設問2)

財務・会計 ~加重平均資本コスト(WACC)(1)~

負債コスト

負債とは借入金です。負債(借入金)があるということは借入先に「支払利息」を支払わなくてはなりません。これが負債コストであり「支払利息÷負債総額」で計算することができます。

「支払利息÷負債総額」で算出される負債コストは「税引前負債コスト」と言いますが、黒字経営の企業の場合、支払利息を払うことにより利益が減少するため、節税効果により支払う法人税が少なくなります。この節税効果を加味して「税引後負債コスト」を算出します。

加重平均コスト(WACC)の公式は以下の通りです。

上記の説明を見ると、加重平均資本コスト(WACC)の算出に用いる「負債コスト(他人資本コスト)」には節税効果を加味して「税引後負債コスト」を適用しています。

あと「限界税率」とは、法人税の金額計算で適用された税率のことであり、上記の計算式に当てはめるとすれば「法人税率」と同じです。

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また、他人資本コストには 節税効果 を考慮する必要がある。具体的には、他人資本コストに 1-限界税率 を乗じることで、節税効果 を考慮した他人資本コストを求める

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答えは(ア)です。


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