財務・会計 ~H29-8-3 原価計算(総合原価計算)(3)~

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今回は、これまでに説明してきた「総合原価計算」の試験問題を解いてみます。

 

目次

財務・会計 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

総合原価計算

総合原価計算の説明を確認したい方は、以下のページを参照してください。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成29年度 第8問】

単純総合原価計算を採用しているA工場の以下の資料に基づき、平均法により計算された月末仕掛品原価として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、材料は工程の始点ですべて投入されている。

 

[資 料]

⑴ 当月の生産量

月初仕掛品 200 個(加工進捗度50 %)
当月投入 800個
合計 1,000 個
月末仕掛品 400 個(加工進捗度50 %)
当月完成品 600 個

 

⑵ 当月の原価

月初仕掛品直接材料費 200 千円
月初仕掛品加工費 100 千円
当月投入直接材料費 1,000 千円
当月投入加工費 700 千円

 

[解答群]

ア 500 千円
イ 680 千円
ウ 700 千円
エ 800千円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

問題文の理解

問題の中に記載されている文章から、以下2つの前提条件を読み取ってください。

 

  • 平均法により月末仕掛品原価を計算する
    月初仕掛品と当月投入した原価の合計額を、「完成品」と「月末仕掛品」に数量比率で按分して「月末仕掛品原価」を算出する。
  • 材料は工程の始点ですべて投入する
    工程の始点で材料を投入するため、「月初仕掛品」と「月末仕掛品」は加工進捗度に関わらず材料が投入されている。

 

原価ボックスの作成(問題中の値を投入)

続いて、問題中の[資料]に記載されている情報に基づき、原価ボックスを作成します。

 

  • 平均法により原価計算を行うため、以下の原価ボックスフォーマットを利用します。
  • 材料は工程の始点で材料を投入するため、「月初仕掛品」と「月末仕掛品」は加工進捗度に関わらず[資料]に記載されている数量が入ります。

 

先入先出法の場合は、以下の原価ボックスフォーマットを使用します。

 

加工費の当月投入数量の計算

上述の原価ボックスの中で、「加工費」の「当月投入」に「800個」と記載されていないのはなぜでしょうか。

各原価ボックスの「左辺(月初仕掛品と当月投入)の合計値」と「右辺(完成品と月末仕掛品)の合計値」は必ず一致します。

加工費の原価ボックスの「当月投入」の数量に、問題文の「800個」を入れると「左辺:900個」となり「右辺:800個」と一致しなくなります。

加工費の「当月投入数量」は「左辺の合計値」と「右辺の合計値」が一致するように、月初仕掛品数量、完成品数量、月末仕掛品数量から計算します。

今回の問題では「当月投入数量」は「700個」となります。

 

今回は加工費の「当月投入数量」の計算方法として説明しましたが、直接材料費の当月投入の数量も同じように月初仕掛品数量、完成品数量、月末仕掛品数量から計算するように癖をつけてください

今回の問題では、「材料は工程の始点で材料を投入する」という条件のため、[資料]の値を入れただけで「左辺=右辺」となりますが、「材料は加工進捗度50%の段階で投入する」とか「材料は最終工程で投入する」などの条件となった場合は、今回の加工費と同じように考えていく必要があります。

 

完成品原価と月末仕掛品原価の計算

あとは、左辺(月初仕掛品と当月投入)の原価合計額を、「完成品」と「月末仕掛品」に数量比率で按分すれば、完成品原価と月末仕掛品原価の原価を算出することができます。

この場合も、必ず「左辺=右辺」を意識して検算してみることを忘れないでください。

 

 

それぞれの原価は以下の通りです。

 

  • 完成品原価:直接材料費(720千円)+加工費(600千円)=1,320千円
  • 月末仕掛品原価:直接材料費(480千円)+加工費(200千円)=680千円

 

 今回の問題では月末仕掛品の原価を求められていますので、答えは(イ)です。

次回は、「標準原価計算」について説明していきます。

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