今回は、「運営管理」の「照明」に関する記事のまとめです。
目次
照明 -リンク-
本ブログにて「照明」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
明るさを表す基本用語
明るさを表す基本用語には「光束」「光度」「照度」「輝度」などがあります。
作業を行う工場においては、作業者の手元を照らす照明の明るさを確保する必要があるため「照度」が重要であり、商品を販売する店舗においては、陳列する商品を魅力的に見せる必要があるため「照度」だけでなく「輝度」も重要となってきます。
用語 | 単位 | 説明 |
光束 | ルーメン(lm) | 単位時間当たりの空間に光源から放射される光の量 |
光度 | カンデラ(cd) | 光源からある方向に向かう光の強さ |
照度 | ルクス(lx) | 光を受ける面の明るさ |
輝度 | スチルブ(sb) | ある方向から見たものの輝きの強さ (1スチルブ=1カンデラ/㎠) |
明るさの基準
快適な環境を作り出すために必要な明るさの基準を規定している「労働安全衛生規則」と「JIS照明基準」について以下に示します。
労働安全衛生規則
「労働安全衛生規則」は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する」ことを目的としており、「第3編 第4章 採光及び照明」において職場環境の最低照度を規定しています。
「労働安全衛生規則」で設定されている明るさの基準は、労働者の安全を確保するために事業者が確保しなければならない照度であり、この基準を満たしていない事業者は罰則の対象となる可能性があります。
なお、「労働安全衛生規則」で規定されている明るさの基準は、あくまで職場環境において最低限必要とされる明るさであり、照明の目的である空間に必要な明るさを充分に確保して快適な環境を作り出すような明るさではありません。
作業の区分 | 基準 |
精密な作業 | 300ルクス以上 |
普通の作業 | 150ルクス以上 |
粗な作業 | 70ルクス以上 |
JIS照明基準
JISでは、「照明基準総則(JISZ9110)」で作業内容や空間の用途に応じた「維持照度」を規定しています。
「照明基準総則(JISZ9110)」では「維持照度」以外に「照度均斉度」「グレア制限値」「平均演色評価数」に関する要件を規定しています。
照明要件一覧表(商業施設-物品販売店)
領域、作業、又は活動の種類 維持照度 照度均斉度 グレア制限値 平均演色評価数 注記 商店の一般共通事項 陳列の最重要部 2,000 - - 80 重要陳列部 750 - - 80 エスカレータなどの乗降口 750 - - 80 エレベータホール 500 - - 80 エスカレータ 500 - - 80 レジスタ 750 0.7 - 80 包装台 750 0.7 - 80 商談室 300 - 19 80 応接室 200 - 19 80 休憩室 100 - - 80 洗面所 200 - - 80 便所 200 - - 80 階段 150 - - 40 廊下 100 - - 40 アトリウム・モール 300 - - 60 大型店(デパート、量販店など) ショーウィンドウの重要部 2,000 - - 80 大型店などで売り場別に業態別の効果を必要とするときは、対応する項を準用する。 デモンストレーション 2,000 - - 80 重要陳列部 2,000 - - 80 一般陳列部 1,000 - - 80 重要階の全般 750 - 22 80 特売会場の全般 750 - 22 80 店内全般 500 - 22 80 案内コーナ 1,000 - - 80 コンサルタントコーナ 750 - - 80 高級専門店(貴金属、衣服、芸術品など) ショーウィンドウの重要部 2,000 - - 80 重要陳列部 1,000 - - 80 一般陳列部 750 - - 80 デザインコーナ 500 - - 80 着装コーナ 500 - - 80 コンサルタントコーナ 500 - - 80 接客コーナ 300 - 19 80 店内全般 300 - 22 80 ファッション店(衣料、装身具、眼鏡、時計など) ショーウィンドウの重要部 2,000 - - 80 重要陳列部 750 - - 80 スペシャル陳列部 500 - - 80 スペシャル陳列部の全般 150 - - 80 デザインコーナ 750 - - 80 着装コーナ 750 - - 80 店内全般(スペシャル部を除く) 500 - 22 80 文化品店(家電、楽器、書籍、CD、カメラ、パソコンショップなど) ショーウィンドウの重要部 2,000 - - 80 ショーウィンドウの全般 750 - - 80 店頭の陳列部 2,000 - - 60 ステージ商品の重要部 1,000 - - 80 ドラマチックなねらいの陳列部 500 - - 80 ドラマチックなねらいの陳列部の全般 150 - - 80 一般陳列部 750 - - 80 コンサルタントコーナ 750 - - 80 テスト室 750 - 19 80 調光装置で滅光することが望ましい。 店内全般 500 - 22 80 趣味、レジャー店(手芸、花、コレクションなど) ショーウィンドウの全般部 750 - - 80 重要陳列部 750 - - 80 モデル実演 750 - - 80 一般陳列部 500 - - 80 スペシャル陳列部 500 - - 80 スペシャル陳列部の全般 150 - - 80 コンサルタントコーナ 500 - - 80 店内全般 300 - 22 80 生活別専門店(日曜大工、育児、料理など) ショーウィンドウの重要部 1,000 - - 80 デモンストレーション 750 - - 80 コンサルタントコーナ 500 - - 80 店内全般 500 - 22 80 スーパーマーケット(セルフサービス店など) 特別陳列部 2,000 - - 80 店頭 750 - - 80 店内全般 500 - 22 80 日用品店(雑貨、食品など) 重要陳列部 750 - - 80 重要部分 500 - - 80 店頭 500 - - 60 店内全般 300 - 22 60 注記1 昼間、又は屋外向きのショーウィンドウの重要部は、10,000ルクス以上が望ましい。
注記2 重要陳列部に対する局部照明の照度は、全般照明の照度の3倍以上とすることが望ましい。出典元:JIS Z 9110:2010
光源の光色と演色性
店舗において快適な照明環境を実現するには、明るさだけでなく「光色」や「演色性」についても考慮する必要があります。
「光色」とは光源から放射される光自体の色を示しており、空間の印象に影響を与えますが、「演色性」とは照らされた物の色の見え方に与える光源の特性のことをいいます。
光色(光源の色)
「光色」とは、光源から放射される光自体の色を示しており、数値化して客観的に評価するために「相関色温度」という指標を用います。「相関色温度」の単位は「K(ケルビン)」です。
一般的に、「相関色温度」が低い光は「やや赤みがかった光(暖色系)」であり空間に暖かい印象を与えます。また、「相関色温度」が高い光は「やや青みがかった光(寒色系)」であり空間に涼しい印象を与えます。
なお、「相関色温度」は光の色を示す指標であり、その温度や明るさとは関係ありません。
「やや青みがかった光」で照らされている空間では「暖色系」の物は色あせて見え、「やや赤みがかった光」で照らされている空間では「寒色系」の物はくすんで見えるという特徴があります。
光色 | 相関色温度 |
暖色 | 3300K未満 |
中間色 | 3300K~5300K |
涼色 | 5300Kを超える |
演色(光源による物の色)
「演色性」とは、照らされた物の色の見え方に与える光源の特性のことをいい、一般的に、自然光に近いものほど優れていると評価されます。
「演色性」を数値化して客観的に評価するためには「平均演色評価数」という指標が用いられます。「平均演色評価数」の単位は「Ra」であり、最大値を100として演色の質の低下に伴って減少するものとして求められます。したがって、「平均演色評価数」は数値が高く100に近いほど「演色性」が優れていることを示しています。
代表的な光源として、「白熱灯」「蛍光灯」「LED」がありますが、「演色性」が最も優れている光源は「白熱灯」です。
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