運営管理 ~R4-28-1 販売促進(6)販売促進計画~

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今回は、「運営管理 ~R4-28-1 販売促進(6)販売促進計画~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和4年度一次試験問題一覧~

令和4年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

買物客の購買行動

買物客の購買行動は、あらかじめ購入する商品を決めてから来店する「計画購買」と、店舗に来てから購入する商品を決める「非計画購買」に分類されます。

業種により異なりますが、小売業の店舗において「計画購買」による売上高は約20~30%しかなく「非計画購買」による売上高が70~80%を占めているとされています。

小売業の店舗における売上高が「客単価」と「来店客数」を掛け合わせたものであるとした場合、「計画購買」は「来店客数」と密接な関連があり、「非計画購買」は「客単価」と密接な関連があります

 

 

小売業の店舗は、「広告、チラシ」といった店舗外における販売促進活動を通じて「計画購買」による「来店客数」を増加させ、来店した買物客に対して、店舗内における販売促進活動(インストアマーチャンダイジング)を通じて、「非計画購買」による「客単価」を増加させます。

 

「インストアマーチャンダイジング(ISM:In Store Merchandising)」とは、小売業の店舗内において、顧客の購買動機を形成するためや購買の意思決定を高めるために実施する様々な販売促進活動のことをいいます。

「インストアマーチャンダイジング」については過去に説明しているページがありますので、詳細について確認したい方は、以下のコンテンツを参照してください。

 

 

 

非計画購買

「非計画購買」とは、買物客が店舗に来店した時点で購入するつもりはなかったが、店舗を回遊しているうちに、購入の必要性を認識して商品を購入することを決定したり、衝動的に商品を購入することを決定する購買活動のことをいいます。

「非計画購買」は「想起購買」「関連購買」「条件購買」「衝動購買」に分類されます。

 

想起購買

「想起購買」とは、店舗を回遊しているうちに、家庭内での商品ストック切れによる購入の必要性、商品の広告、過去の購買・使用経験などを思い出して、商品を購入することをいいます。

「想起購買」に効果的な販売促進方法としては「POP広告」「パワー品目の分散陳列」などが挙げられます。

 

関連購買

「関連購買」とは、買物客がある商品を購入するときに、他の商品との関連性から必要性を認識して購入することをいいます。

「関連購買」に効果的な販売促進方法は「クロスマーチャンダイジング」です。

「クロスマーチャンダイジング」とは、商品を単一のカテゴリー毎に陳列するのではなく、カテゴリーに関係なく、買物客の目線で生活などのシチュエーションを想像したときに関連性のある商品を一つの売り場やコーナーにまとめて陳列・演出することにより、売上の拡大を図る販売促進方法です。

 

条件購買

「条件購買」とは、店舗に来店した時点では明確な購入意思を持っていなかった買物客が、値引きなどの条件を見ることによって購入意向が喚起され、商品を購入することをいいます。

「条件購買」に効果的な販売促進方法としては「POP広告」「大量陳列(バーチカル陳列/エンド陳列など)」などが挙げられます。

 

衝動購買

「衝動購買」とは、買物客が店舗を回遊するうちに、目に入った商品の新奇性などに刺激されて、衝動的に購入することをいいます。

「衝動購買」に効果的な販売促進方法としては「POP広告」「大量陳列(バーチカル陳列/エンド陳列など)」「デモンストレーション販売」などが挙げられます。

(※)新奇性:目新しいさま。物珍しいさま

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和4年度 第28問】

以下は、文房具店の店主X氏と中小企業診断士(以下、「診断士」という。)との間で行われた会話である。この会話に基づく下記の設問に答えよ。

 

X氏:「最近は、近所の小学校の生徒数が少なくなっているので、子供向けの文房具の売上が落ちています。品揃えを変えていこうと考えているのですが、アドバイスをいただけますか。」

診断士:「品揃えの計画を立てるには、まず店舗の商圏における消費者のニーズを理解することが大事です。小学生が減っているということなので、新たな顧客層をターゲットにしたいですね。」

X氏:「店舗の徒歩圏には高齢者が多く居住しているのですが、あまり来店していません。高齢者の方に使ってもらえる店にしていきたいと思います。」

診断士:「ニーズに合った商品を品揃えすることで、購買の機会を増やしたいですね。どのようなニーズがありそうですか。」

X氏:「自治会では、高齢者の絵画サークルなどをやっているようなので、絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やそうと考えています。」

診断士:「買上点数を増やして客単価を高めるために関連購買を促進できる取り組みをするのがよいでしょう。今はあまり来店されていないということなので、販売促進をして接客にも力を入れて常連客を増やすことが重要です。常連客の満足度を高めると、友人などへ口コミで店舗を薦めてもらえることも期待できます。」

X氏:「分かりました。」

診断士:「ただ、文房具は毎日買うものではありません。そこで、別の取り組みとして、高齢者が好む菓子や飲み物など、今まで販売していない商品カテゴリーの品揃えをしてはどうでしょうか。また、商品を販売するだけでなく、ワークショップなどを開いてもよいかもしれません。」

 

(設問1)

会話の中の下線部①に記載されている関連購買の促進に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 5回買うと特典を与えるスタンプカードによる販売促進を行う。
イ 同じデッサン用の鉛筆を10本買うと1本おまけをつける。
ウ 高齢者が好みそうな園芸用品を品揃えする。
エ デッサン用の鉛筆と一緒に使う鉛筆削りと消しゴムを同じ棚に陳列する。
オ 来店目的になりやすい商品を品揃えする。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

「関連購買」に関する知識を問う問題です。

 

「関連購買」とは、買物客がある商品を購入するときに、他の商品との関連性から必要性を認識して購入することをいいます。

「関連購買」に効果的な販売促進方法は「クロスマーチャンダイジング」です。

「クロスマーチャンダイジング」とは、商品を単一のカテゴリー毎に陳列するのではなく、カテゴリーに関係なく、買物客の目線で生活などのシチュエーションを想像したときに関連性のある商品を一つの売り場やコーナーにまとめて陳列・演出することにより、売上の拡大を図る販売促進方法です。

 

(ア) 不適切です。

下線部①の前までの会話では、文房具店の従来のターゲットであった近所の小学校の生徒数が減少しているため、店舗の徒歩圏に多く居住しているがあまり来店していない高齢者を新たなターゲットとして、ニーズのありそうな絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やしたいと話しています。

5回買うと特典を与えるスタンプカードによる販売促進は、顧客の来店頻度を増加させるためには有効であると考えられますが、絵の具やデッサン用の鉛筆を買うために来店した顧客が必要性を認識して関連する商品を購入するという「関連購買」には該当しません

 

したがって、選択肢には「5回買うと特典を与えるスタンプカードによる販売促進を行う」と記述されていますが、これは顧客の来店頻度を増加させるための販売促進に関する記述であり、関連購買の促進に関する記述ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

下線部①の前までの会話では、文房具店の従来のターゲットであった近所の小学校の生徒数が減少しているため、店舗の徒歩圏に多く居住しているがあまり来店していない高齢者を新たなターゲットとして、ニーズのありそうな絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やしたいと話しています。

同じデッサン用の鉛筆を10本買うと1本おまけをつけるという販売促進は、デッサン用の鉛筆の買上点数を増加させるためには有効であると考えられますが、絵の具やデッサン用の鉛筆を買うために来店した顧客が必要性を認識して関連する商品を購入するという「関連購買」には該当しません

 

したがって、選択肢には「同じデッサン用の鉛筆を10本買うと1本おまけをつける」と記述されていますが、これはデッサン用の鉛筆の買上点数を増加させるための販売促進に関する記述であり、関連購買の促進に関する記述ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

下線部①の前までの会話では、文房具店の従来のターゲットであった近所の小学校の生徒数が減少しているため、店舗の徒歩圏に多く居住しているがあまり来店していない高齢者を新たなターゲットとして、ニーズのありそうな絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やしたいと話しています。

高齢者をターゲットとするため、園芸用品のニーズもあると考えられますが、絵の具やデッサン用の鉛筆を買うために来店した顧客が必要性を認識して関連する商品を購入するという「関連購買」には該当しません

 

したがって、選択肢には「高齢者が好みそうな園芸用品を品揃えする」と記述されていますが、これは新規顧客を獲得するための品揃えに関する記述であり、関連購買の促進に関する記述ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 適切です。

下線部①の前までの会話では、文房具店の従来のターゲットであった近所の小学校の生徒数が減少しているため、店舗の徒歩圏に多く居住しているがあまり来店していない高齢者を新たなターゲットとして、ニーズのありそうな絵の具やデッサン用の鉛筆などの品揃えを増やしたいと話しています。

デッサン用の鉛筆と一緒に使う鉛筆削りと消しゴムを同じ棚に陳列するというのは「クロスマーチャンダイジング」であり、絵の具やデッサン用の鉛筆を買うために来店した顧客が必要性を認識して関連する商品(鉛筆削りや消しゴム)を購入するという「関連購買」に該当します

 

したがって、デッサン用の鉛筆と一緒に使う鉛筆削りと消しゴムを同じ棚に陳列することは関連購買の促進に関する記述であるため、選択肢の内容は適切です

 

(オ) 不適切です。

買物客の購買行動は、あらかじめ購入する商品を決めてから来店する「計画購買」と、店舗に来てから購入する商品を決める「非計画購買」に分類されます。

業種により異なりますが、小売業の店舗において「計画購買」による売上高は約20~30%しかなく「非計画購買」による売上高が70~80%を占めているとされています。

「非計画購買」とは、買物客が店舗に来店した時点で購入するつもりはなかったが、店舗を回遊しているうちに、購入の必要性を認識して商品を購入することを決定したり、衝動的に商品を購入することを決定する購買活動のことをいいます。

「非計画購買」は「想起購買」「関連購買」「条件購買」「衝動購買」に分類されます。

 

したがって、選択肢には「来店目的になりやすい商品を品揃えする」と記述されていますが、来店目的になりやすい商品を品揃えするのは、計画購買の促進に関する記述であり、関連購買(非計画購買)の促進に関する記述ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(エ)です。


 

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