経済学・経済政策 ~国民所得概念・国民経済計算のまとめ~

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今回は、「経済学・経済政策」の「国民所得概念」「国民経済計算」に関する記事のまとめです。

 

目次

国民所得概念・国民経済計算 -リンク-

本ブログにて「国民所得概念」「国民経済計算」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

国民経済計算

「国民経済計算」は、日本経済の全体像を国際比較可能な形で体系的に記録することを目的として、国連の定める国際基準(SNA)に準拠しつつ、統計法に基づく基幹統計として「国民経済計算の作成基準及び作成方法」に基づき作成されています。

内閣府から公表される「国民経済計算」には「四半期別GDP速報」と「国民経済計算年次推計」があります。

「四半期別GDP速報」は、速報性を重視してGDPをはじめとする支出側系列等を四半期単位で年に8回公表されており、「国民経済計算年次推計」は、生産・分配・支出・資本蓄積といったフロー面や、資産・負債といったストック面も含めて、年に1回公表されています。

 

国民経済計算の指標

「国民経済計算」には、馴染みの深い「GDP(国内総生産)」を初めとして、他にも様々な指標があります。

 

国民経済計算の指標の命名規則

「国民経済計算」には様々な指標があるため混乱しがちですが、指標の命名規則がある程度決まっているので、以下に説明します。ただし、全ての指標に当てはまるわけではありませんのでご注意ください。

説明する命名規則に基づく指標一覧を以下に示します。(全ての指標が存在するかは未確認)

なお、頻繁に登場する指標には赤色マーカーを付けています。

 

命名規則に基づく指標一覧

生産 所得 支出
総額 国内 GDP(国内総生産) GDI(国内総所得) GDE(国内総支出)
国民 GNP(国民総生産) GNI(国民総所得) GNE(国民総支出)
純額 国内 NDP(国内純資産) NDI(国内純所得) NDE(国内純支出)
国民 NNP(国民純資産) NNI(国民純所得) NNE(国民純支出)

 

黄色マーカーを付けている「GNP(国民総生産)」については、内閣府から公表される「国民経済計算」において、2000年(国際基準:1993SNA)から使用されなくなっています。

 

頻繁に登場する指標の構成要素を以下に示します。

 

主な指標の構成要素

指標の1文字目

指標の1文字目に使われる「G」と「N」は「Gross:総額」と「Net:純額」を表しています

 

  • G(Gross:総額)
  • N(Net:純額)

 

指標の2文字目

指標の2文字目に使われる「D」と「N」は「Domestic:国内」と「National:国民」を表しています

 

  • D(Domestic:国内)
  • N(National:国民)

 

指標の3文字目

指標の3文字目に使われる「P」と「I」と「E」は「Product:生産」と「Income:所得」と「Expenditure:支出」を表しています

 

  • P(Product:生産)
  • I(Income:所得)
  • E(Expenditure:支出)

 

国内(Domestic)概念と国民(National)概念

「国民経済計算」の指標の2文字目に使われる「Domestic:国内」と「National:国民」の概念について説明します。

 

 

国内(Domestic)概念

「国民経済計算」における”国内”という概念は、日本国内の領土に居住する経済主体を対象とする概念を表しており、主として生産活動に関連した概念です。

個人の場合、国籍によらず、日本国内の領土で発生した場合は”国内”の概念に含まれます。

法人等の場合、日本国内の領土で生産活動を行っている外国企業の在日子会社などは”国内”の概念に含まれますが、海外で生産活動を行っている日本企業の海外支店などは”国内”の概念に含まれません

 

国民(National)概念

「国民経済計算」における”国民”という概念は、日本の居住者主体を対象とする概念を表しています。

個人の場合、”国民”の概念に含まれるか否かはその個人の国籍ではなく、日本国内に住所または居所を有するか否かにより判定されるため、日本に6ヶ月以上居住している外国人は”国民”の概念に含まれますが、国外に2年以上居住する日本人は”国民”の概念には含まれません

法人等の場合、海外で生産活動を行っている日本企業の海外支店などは”国民”の概念に含まれますが、日本国内の領土で生産活動を行っている外国企業の在日子会社などは”国民”の概念に含まれません

 

GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)

「GDP(国内総生産)」は、”国内”で一定期間内に新たに生み出された財・サービスの「付加価値」の総額のことをいいます。

「GDP(国内総生産)」は、新たに生み出された財・サービスの「付加価値」の総額であるため、新たに生み出されたものではない「株価の上昇」や「地価の上昇」や「中古市場での取引」は含まれません

 

付加価値

「付加価値」とは、新たに生み出された価値であり「産出額」から「中間投入額」を控除することにより計算することができます。

 

 

新たに生み出された価値である「付加価値」を求めるためには、新たに生み出された価値ではない「材料費」や「外注加工費」などを控除する必要があります

これらの「材料費」や「外注加工費」などのことを「中間投入額」といいますが、「中間投入額」を控除せずに各企業の産出額を加算していくと2重3重でカウントされてしまいます

 

 

GNP(Gross National Product:国民総生産)

「GNP(国民総生産)」は、”国民”が一定期間内に新たに生み出したモノやサービスの「付加価値」の総額のことをいいます。

 

内閣府から公表される「国民経済計算」においては、2000年(国際基準:1993SNA)から「GNP(国民総生産)」の概念はなくなり「GNI(国民総所得)」が導入されています

 

NDP(Net Domestic Product:国内純生産)

「NDP(国内純生産)」は、”国内”で一定期間内に新たに生み出されたモノやサービスの「付加価値」の純額のことをいい、「GDP(国内総生産)」から「固定資本減耗」を控除した「純額」で表されます。「固定資本減耗」を簡単に言うと資産の「減価償却費」のことです。

 

 

GDI(Gross Domestic Income:国内総所得)

「GDI(国内総所得)」は、”国内”で一定期間内に得られた所得の総額のことをいいます。

 

GNI(Gross National Income:国民総所得)

「GNI(国民総所得)」は、”国民”が一定期間内に得た所得の総額のことをいい、「GDP(国内総生産)」または「GDI(国内総所得)」に「海外からの所得の純受取」を加算した総額を表しています。

 

 

内閣府から公表される「国民経済計算」においては、2000年(国際基準:1993SNA)から「GNP(国民総生産)」の概念はなくなり「GNI(国民総所得)」が導入されています

 

GDE(Gross Domestic Expenditure:国内総支出)

「GDE(国内総支出)」は、”国内”で一定期間内に支払われたモノやサービスを購入するための「支出」の総額のことをいいます。

 

内閣府が発表する「国民経済計算」においては、2004年度確報から「国内総支出」ではなく「国内総生産(支出側)」と表記されています

 

三面等価の原則(GDP/GDI/GDE)

「三面等価の原則」とは、生産面から見た「GDP」と、分配面(所得面)から見た「GDI」と、支出面から見た「GDE」が事後的(一定期間が経過した後)に等しくなることをいいます。

 

 

意図しない在庫の変化

実際の経済においては、国内で一定期間内に新たに生み出されたモノやサービスが全て売れるわけではないため「生産量」と「販売量」は一致しません。

その結果、生産面から見た「GDP」と支出面から見た「GDE」は一致しません

この「生産量」と「販売量」の差分のことを「意図しない在庫の変化」といい、「国民経済計算」においては「意図しない在庫の変化」を「在庫変動」という調整項目として計上することにより、生産面から見た「GDP」と支出面から見た「GDE」を一致させるよう調整しています

 

GDPの構成要素(需要)

「GDP(国内総生産)」を「需要」から捉えた場合の構成要素は以下の通りです。

 

GDP(国内総生産)の構成要素(需要)

 

「GDP(国内総生産)」の構成要素だけを見ても、あまり理解が進みませんが、財市場における「開放経済」の「総需要曲線(YD)」の公式と組み合わせてイメージすると分かりやすいと思います。

 

  • 開放経済(輸出入含む)
    YD = C + I + G + EX-IM
    (民間消費:C、民間投資:I、政府支出:G、EX:輸出、IM:輸入)

 

「GDP(国内総生産)」を「需要」から捉えた場合の構成要素と、「開放経済」の「総需要曲線(YD)」における「民間消費(C)」「民間投資(I)」「政府支出(G)」「純輸出(EX-IM)」の関係は以下の通りです。

 

  • 民間消費(C)= 民間最終消費支出
  • 民間投資(I)= 民間住宅 + 民間企業設備 + 民間在庫変動
  • 政府支出(G)= 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成 + 公的在庫変動
  • 純輸出(EX-IM)= 財貨・サービスの輸出 - 財貨・サービスの輸入

 

「民間消費(C)」「民間投資(I)」「政府支出(G)」「純輸出(EX-IM)」の特徴は以下の通りです。

 

  • 「GDP(国内総生産)」に占める「消費(C)」の割合は50%を超えます
  • 「政府支出(G)」の方が「民間投資(I)」よりも高く推移しています。
  • 「純輸出(EX-IM)」は、輸出額から輸入額を控除した金額であるため「GDP(国内総生産)」に占める割合は低くなります
  • 「純輸出(EX-IM)」において、輸入額が輸出額を上回る場合は「マイナス」となります。

 

帰属計算(Imputation)

「帰属計算」とは「国民経済計算」の特有な概念であり、日本経済の全体像を体系的に記録するという「国民経済計算」の目的を実現するため、財貨・サービスの提供ないし享受に際して実際には市場でその対価の受払が行われていなくても、あたかも取引が行われたかのようにみなして擬制的に取引計算を行うことをいいます。

 

GDPに含まれるもの

  • 農家の自家消費
  • 警察や消防などの公共サービスの提供
  • 家政婦の家事労働
  • 持ち家に係る住宅賃貸料である帰属家賃
  • 医療の社会保険
  • 金融機関の帰属サービス

 

GDPに含まれないもの

  • 株価の上昇
  • 中古住宅の購入
  • 主婦の家事労働
  • 公害

 


 

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