経済学・経済政策 ~R4-17 市場構造と競争モデル(6)完全競争と不完全競争~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R4-17 市場構造と競争モデル(6)完全競争と不完全競争~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和4年度一次試験問題一覧~

令和4年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

完全競争市場・独占市場(供給独占)・独占的競争市場 -リンク-

本ブログにて「完全競争市場」「独占市場(供給独占)」「独占的競争市場」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

財市場の分類

財市場は「完全競争市場」と「不完全競争市場」に分類され、さらに「不完全競争市場」は「独占市場(供給独占)」「複占市場」「寡占市場」などに分類されます。

本ページでは「完全競争市場」「独占市場(供給独占)」「独占的競争(製品差別化)」について説明しています。

財市場の分類

 

完全競争市場

「完全競争市場」とは、財を提供する供給者と需要者が多数存在しており、財が差別化されておらず同質である市場のことをいいます。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「完全競争市場」においては、財が差別化されておらず同質であるため、各企業は市場全体で決定した価格を受容する「プライステイカー」として、自らの利潤を最大化させるように生産量を決定します。

 

独占(供給独占)

「独占(供給独占)」とは、供給者が1社であり財が差別化されている市場のことをいいます。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「独占市場(供給独占)」においては、財が差別化されており市場への新規参入も不可能であるため、「独占企業」が価格支配力を有する「プライスメイカー」として、自らの利潤を最大化させるように価格を設定することができます。

 

独占的競争市場

「独占的競争市場」とは、財を提供する供給者が多数存在しているため競争的ではあるものの財に対してある程度の差別化がなされている市場のことをいいます。

「完全競争市場」は「供給者が多数存在しており財が同一であること」という条件に基づいた市場で、「独占(供給独占)」は「供給者が1社であり財が差別化されていること」という条件に基づいた市場ですが、「独占的競争市場」はその中間に位置する市場というイメージです。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「独占的競争市場」においては、財がある程度差別化されているため「完全競争市場」とは異なり、各企業が価格支配力を有する「プライスメイカー」として、自らの利潤を最大化させるように価格を設定することができます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和4年度 第17問】

完全競争と不完全競争における市場の特徴に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

a 完全競争市場の売り手は多数であるのに対して、独占的競争市場では売り手が少数である。

b 完全競争市場の売り手はプライス・テイカーであるのに対して、不完全競争市場における売り手はプライス・メイカーである。

c 完全競争市場の売り手が同質財のみを生産するのと同様に、不完全競争市場における売り手も同質財のみを生産する。

 

[解答群]

ア a:正 b:正 c:正
イ a:正 b:誤 c:誤
ウ a:誤 b:正 c:正
エ a:誤 b:正 c:誤
オ a:誤 b:誤 c:正

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「完全競争と不完全競争」に関する知識を問う問題です。

 

財市場は「完全競争市場」と「不完全競争市場」に分類され、さらに「不完全競争市場」は「独占市場(供給独占)」「複占市場」「寡占市場」などに分類されます。

 

財市場の分類

 

(a) 不適切です。

「完全競争市場」とは、財を提供する供給者と需要者が多数存在しており、財が差別化されておらず同質である市場のことをいいます。

「独占的競争市場」とは、財を提供する供給者が多数存在しているため競争的ではあるものの財に対してある程度の差別化がなされている市場のことをいいます。

「完全競争市場」は「供給者が多数存在しており財が同一であること」という条件に基づいた市場で、「独占(供給独占)」は「供給者が1社であり財が差別化されていること」という条件に基づいた市場ですが、「独占的競争市場」はその中間に位置する市場というイメージです。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

したがって、完全競争市場の売り手は多数であるのに対して、独占的競争市場では売り手が少数ではなく、独占的競争市場の売り手も多数であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(b) 適切です。

「完全競争市場」とは、財を提供する供給者と需要者が多数存在しており、財が差別化されておらず同質である市場のことをいいます。

「独占的競争市場」とは、財を提供する供給者が多数存在しているため競争的ではあるものの財に対してある程度の差別化がなされている市場のことをいいます。

「独占(供給独占)」とは、供給者が1社であり財が差別化されている市場のことをいいます。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「完全競争市場」においては、財が差別化されておらず同質であるため、各企業は市場全体で決定した価格を受容する「プライステイカー」として、自らの利潤を最大化させるように生産量を決定します。

「独占的競争市場」においては、財がある程度差別化されているため「完全競争市場」とは異なり、各企業が価格支配力を有する「プライスメイカー」として、自らの利潤を最大化させるように価格を設定することができます。

「独占市場(供給独占)」においては、財が差別化されており市場への新規参入も不可能であるため、「独占企業」が価格支配力を有する「プライスメイカー」として、自らの利潤を最大化させるように価格を設定することができます。

 

したがって、完全競争市場の売り手はプライス・テイカーであるのに対して、不完全競争市場における売り手はプライス・メイカーであるため、選択肢の内容は適切です

 

(c) 不適切です。

「完全競争市場」とは、財を提供する供給者と需要者が多数存在しており、財が差別化されておらず同質である市場のことをいいます。

「独占的競争市場」とは、財を提供する供給者が多数存在しているため競争的ではあるものの財に対してある程度の差別化がなされている市場のことをいいます。

「独占(供給独占)」とは、供給者が1社であり財が差別化されている市場のことをいいます。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

したがって、選択肢には「完全競争市場の売り手が同質財のみを生産するのと同様に、不完全競争市場における売り手も同質財のみを生産する。」と記述されていますが、完全競争市場の売り手は同質財のみを生産しますが、不完全競争市場である独占的競争市場の売り手はある程度差別化された財を生産し、不完全競争市場である独占市場(供給独占)の売り手は差別化された財を生産するため、選択肢の内容は不適切です

 

「a:誤 b:正 c:誤」であるため、答えは(エ)です。


 

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