運営管理 ~R3-37 物流センター管理(17)物流センター運営~

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今回は、「運営管理 ~R3-37 物流センター管理(17)物流センター運営~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和3年度一次試験問題一覧~

令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

物流センター運営 -リンク-

本ブログにて「物流センター運営」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

ABC分析

「ABC分析」では、横軸に在庫の品目を金額または量の多い順番に並べて、縦軸に在庫の金額または量を描いた「ABC曲線」により、在庫の品目をグルーピングして、A品目、B品目、C品目に該当するグループごとに在庫管理方法を決定していきます。

 

ABC分析のイメージ

「ABC分析」は「パレート分析」と同様のグラフを使います。
横軸に品目を取る場合は「ABC分析」といい、横軸に問題や課題を取る場合は「パレート分析」といいます。

 

 

在庫管理方式の適用例

「ABC分析」によってグルーピングされた在庫の品目ごとに「在庫管理方式」を採用して在庫管理を行います。あくまで一例ですが、「A品目」に分類されたものについては、重点的に在庫を管理する必要があるため「定期発注方式」を採用して、在庫管理を行います

 

  • A品目:定期発注方式
  • B品目:定量発注方式
  • C品目:ダブルビン方式

 

ABC分析

多くの在庫品目を取り扱うときそれを品目の取り扱い金額又は量の大きい順に並べて、A、B、Cの3種類に区分し、管理の重点を決めるのに用いる分析。(JISZ8141-7302)

 

ロケーション管理

「ロケーション管理」とは、物流センター内における商品の保管場所(ロケーション)に関する運用方法のことをいい、商品を保管する場所(ロケーション)をあらかじめ決めておく「固定ロケーション」と、商品を入荷する都度、最適な場所(ロケーション)を選んで保管する「フリーロケーション」の2種類の方法があります。

「ロケーション管理」では、物流センター内におけるスペースの保管効率や、商品の入出庫状況・在庫状況を管理することが重要です。

 

 

固定ロケーション

「固定ロケーション」とは、商品を保管する場所(ロケーション)をあらかじめ決めておく運用方法です。

「ABC分析」を行い、出荷頻度の高い商品を作業開始位置や出荷口付近に配置するなど、定期的に商品の保管場所を見直すことにより、作業効率と保管効率を向上することができます。

 

  • メリット
    商品の保管場所を固定するため、ピッキングで商品を探す時間が短縮され、作業効率が高くなる。
  • デメリット
    保管する商品がなくても場所をキープしておかなければならないためスペース効率が低い。
    商品の入替が頻繁に発生する場合は、保管場所を変更するオペレーションが頻繁に発生する

 

フリーロケーション

「フリーロケーション」とは、商品を保管する場所をあらかじめ決めておくのではなく、商品を入荷する都度、最適な場所(ロケーション)を選んで保管する運用方法です。

「フリーロケーション」では、空いているスペースに入荷した商品を保管していくため、商品の保管場所が決まっておらず、作業員がピッキングするには商品がどこにあるかを探す手間がかかります。そのため、「自動倉庫システム」を導入するなどの手段によって管理を自動化することが前提とされています。

 

  • メリット
    空いているスペースに入荷した商品を保管していくことができ、保管スペースを効率的に活用することができる
  • デメリット
    商品の保管場所が決まっておらず、商品がどこにあるかを探す手間がかかるため、人によるピッキング作業の効率が悪くなる

 

ダブルトランザクション

「ダブルトランザクション」とは、「固定ロケーション」と「フリーロケーション」を組み合わせたロケーション管理方法のことをいいます。

「ダブルトランザクション」では、商品の保管場所を「ピッキングエリア」と「ストックエリア」に区分して、ピッキングエリアは「固定ロケーション」で、ストックエリアは「フリーロケーション」で運用します。

「ピッキングエリア」では「固定ロケーション」のメリットであるピッキングの作業効率の高さを享受して、「ストックエリア」では「フリーロケーション」のメリットであるスペースの保管効率の高さを享受することができますが、デメリットとして定期的に「ストックエリア」から「ピッキングエリア」に商品を補充する作業が発生します。

 

ピッキング

「ピッキング」とは、作業者(ピッカー)が、伝票や指示書にしたがって、保管場所から必要な商品を取り出す作業のことをいいます。

 

ピッキングの種類

「ピッキング」は、「トータルピッキング(種まき方式)」と「シングルピッキング(摘み取り方式)」の2種類の方法に分類されます。

 

 

トータルピッキング(種まき方式)

「トータルピッキング」とは、複数の出荷先からの出荷オーダーの商品をまとめてピッキング(取り出す)した後、個別の出荷オーダーごとに商品を仕分ける作業方法のことであり、「種まき方式」とも呼ばれています。

同一商品を何度もピッキングする無駄を省くことができるため作業員の移動距離を短くすることができるというメリットがありますが、商品の仕分け作業に熟練度を要するというデメリットもあります。

 

仕分け

「仕分け」とは、物品を品種別、送り先方面別、顧客別などに分ける作業のことをいいます。

 

シングルピッキング(摘み取り方式)

「シングルピッキング」とは、1つの出荷オーダーごとに保管場所から商品をピッキング(取り出す)する最も基本的な作業方法のことであり、「摘み取り方式」「オーダーピッキング」とも呼ばれています。

作業内容がシンプルのため作業精度を高く維持できるというメリットがありますが、同一商品を何度もピッキングするため作業員の移動距離が長くなるというデメリットもあります。

 

デジタルピッキング

「デジタルピッキング」とは、保管棚に取り付けたデジタル表示器の指示にしたがって、作業者が商品をピッキングする仕組みのことをいいます。

作業者はライトの付いた保管棚に行って、デジタル表示器に表示された数量をピッキングするため、商品知識が無くても正確に仕分け作業を実施することができます。

 

ピッキングカートシステム

「ピッキングカートシステム」とは、台車(カート)に表示された指示にしたがって、作業者が保管棚から商品をピッキングする仕組みのことをいいます。

 

棚卸

「棚卸」とは、一定時点における商品・製品・原材料などの資産の保有総量(在庫有高)を確認することをいいます。

 

棚卸の目的

企業会計において、商品・製品・原材料などの資産のことを「棚卸資産」といいます。

「棚卸資産」は、日々の業務においてその数量が増減するため、受入や払出の状況を帳簿に記録して管理しますが、実際には帳簿への記録ミスなどの理由により、実在する在庫量とズレが発生するため、「棚卸」を実施して、一定時点における帳簿上の在庫量と実在する在庫量を一致させる必要があります

 

棚卸の手順

「棚卸」の手順としては、実在する在庫量(実在庫)を確認(実地棚卸)して、その結果が帳簿上の在庫量(理論在庫)と一致していない場合は、実在する在庫量に合わせて帳簿を修正(帳簿棚卸)します。

なお、「棚卸」に際しては、「棚卸資産」の数量だけを確認するのではなく、「品質低下」や「陳腐化」などの理由により利用価値を失っている資産についても確認を行います。利用価値を失っている資産は廃棄などの対処を行うこととなり、企業の売上には貢献できないため、「棚卸資産」の在庫から控除する必要があります。

 

実地棚卸と帳簿棚卸

「棚卸」には、実在する在庫量を確認する「実地棚卸」と、実在する在庫量に合わせて帳簿を修正する「帳簿棚卸」があります。

 

実地棚卸

「実地棚卸」とは、実在する在庫量を確認することをいい、「一斉棚卸」と「循環棚卸」に区分されます。

 

一斉棚卸

「一斉棚卸」とは、決算期末などの定期的に設定した時点において、全ての「棚卸資産」を対象に在庫量を確認することをいいます。

 

循環棚卸

「循環棚卸」は、「サイクルカウンティング」とも呼ばれ、「棚卸資産」をグループに分類して、グループごとに日時を変えて在庫量を順次確認していくことをいいます。

「循環棚卸」には、保管場所や属性などで「棚卸資産」を分類して順番に棚卸を実施していく方法や、ABC分析により「棚卸資産」を「A品目」「B品目」「C品目」に分類して、重点的に在庫管理をすべき「A品目」は数日に一度の周期で棚卸を実施して、在庫管理の必要性が低い「C品目」は「循環棚卸」は実施せずに「一斉棚卸」においてのみ棚卸を実施するといったように、在庫管理の重要性に基づき棚卸を実施していく方法があります。

 

帳簿棚卸

「帳簿棚卸」とは、実在する在庫量に合わせて帳簿を修正することをいいます。

「帳簿棚卸」については「財務・会計」において説明しているページがありますので、詳細について確認したい方は、以下のコンテンツを参照してください。

 

 

ASN(Advanced Shipping Notice)

「ASN(Advanced Shipping Notice)」とは、供給者が商品を出荷する前に、納品先に「納品予定日」「発注番号」「商品コード」「数量」などの情報を通知する電子データ(事前出荷明細)のことをいいます。

供給者が商品を出荷する前に、納品先に「納品予定日」「発注番号」「商品コード」「数量」などの情報を通知すること、またはその仕組みのことを「ASN」ということもあります

 

納品先は、「ASN(事前出荷明細)」により、納品される商品の情報を事前に把握することができるため、検品作業を効率化したり、納品予定の商品を在庫として引き当てることができます

納品先では、1種類の商品を梱包した外箱に印字された「ITFシンボル」や、混載の場合に外箱に貼付された「SCMラベル」を、供給者から事前に受け取った「ASN(事前出荷明細)」と照合することで瞬時に検品することができます。

また、「通過型物流センター(TC)」において、ベンダーから入荷した貨物(商品)を、物流センターで開梱することなく、パレットやケース単位で仕分けてトラックの積み替えのみを行って出荷する「クロスドッキング」を運用する場合は、「ASN(事前出荷明細)」の活用が欠かせません

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和3年度 第37問】

物流センターの運営に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア ABC分析は、ASN(Advanced Shipping Notice)に基づいて在庫管理の重点を決めるのに用いる。

イ 固定ロケーション管理は、フリーロケーション管理に比べて商品の保管効率が高いという特徴がある。

ウ 棚卸は、実際の在庫(数量など)と在庫台帳の内容とを照合する作業である。

エ 摘み取り方式ピッキングは、商品ごとの注文総数を一括してピッキングする作業である。

オ デジタルピッキングは、適切な商品を適切な数だけコンテナ等に自動的に投入し梱包する装置である。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

物流センターの運営に関する知識を問う問題です。

 

(ア) 不適切です。

「ABC分析」では、横軸に在庫の品目を金額または量の多い順番に並べて、縦軸に在庫の金額または量を描いた「ABC曲線」により、在庫の品目をグルーピングして、A品目、B品目、C品目に該当するグループごとに在庫管理方法を決定していきます。

一方、「ASN(Advanced Shipping Notice)」とは、供給者が商品を出荷する前に、納品先に「納品予定日」「発注番号」「商品コード」「数量」などの情報を通知する電子データ(事前出荷明細)のことをいいます。

 

したがって、ABC分析は、ASN(Advanced Shipping Notice)ではなく、横軸に在庫の品目を金額または量の多い順番に並べて、縦軸に在庫の金額または量を描いた「ABC曲線」に基づいて在庫管理の重点を決めるのに用いるため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

「ロケーション管理」とは、物流センター内における商品の保管場所(ロケーション)に関する運用方法のことをいい、商品を保管する場所(ロケーション)をあらかじめ決めておく「固定ロケーション」と、商品を入荷する都度、最適な場所(ロケーション)を選んで保管する「フリーロケーション」の2種類の方法があります。

「ロケーション管理」では、物流センター内におけるスペースの保管効率や、商品の入出庫状況・在庫状況を管理することが重要です。

 

 

したがって、固定ロケーション管理は、フリーロケーション管理に比べて商品の保管効率が高いのではなく低いという特徴があるため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 適切です。

「棚卸」とは、一定時点における商品・製品・原材料などの資産の保有総量(在庫有高)を確認することをいいます。

「棚卸」の手順としては、実在する在庫量(実在庫)を確認(実地棚卸)して、その結果が帳簿上の在庫量(理論在庫)と一致していない場合は、実在する在庫量に合わせて帳簿を修正(帳簿棚卸)します。

 

したがって、棚卸は、実際の在庫(数量など)と在庫台帳の内容とを照合する作業であるため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 不適切です。

「ピッキング」とは、作業者(ピッカー)が、伝票や指示書にしたがって、保管場所から必要な商品を取り出す作業のことをいいます。

「ピッキング」は、「トータルピッキング(種まき方式)」と「シングルピッキング(摘み取り方式)」の2種類の方法に分類されます。

 

 

「シングルピッキング」とは、1つの出荷オーダーごとに保管場所から商品をピッキング(取り出す)する最も基本的な作業方法のことであり、「摘み取り方式」「オーダーピッキング」とも呼ばれています。

作業内容がシンプルのため作業精度を高く維持できるというメリットがありますが、同一商品を何度もピッキングするため作業員の移動距離が長くなるというデメリットもあります。

 

したがって、摘み取り方式ピッキングは、商品ごとの注文総数を一括してピッキングする作業ではなく、1つの注文ごとに商品をピッキングする作業であるため、選択肢の内容は不適切です。なお、商品ごとの注文総数を一括してピッキングする作業のことはトータルピッキング(種まき方式)といいます。

 

(オ) 不適切です。

「デジタルピッキング」とは、保管棚に取り付けたデジタル表示器の指示にしたがって、作業者が商品をピッキングする仕組みのことをいいます。

作業者はライトの付いた保管棚に行って、デジタル表示器に表示された数量をピッキングするため、商品知識が無くても正確に仕分け作業を実施することができます。

 

したがって、デジタルピッキングは、適切な商品を適切な数だけコンテナ等に自動的に投入し梱包する装置ではなく、保管棚に取り付けたデジタル表示器の指示にしたがって、作業者が商品をピッキングすることであるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(ウ)です。


 

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