運営管理 ~R3-34 輸配送管理(12)共同輸送~

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今回は、「運営管理 ~R3-34 輸配送管理(12)共同輸送~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和3年度一次試験問題一覧~

令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

トラック運送・船舶輸送・貨客混載 -リンク-

本ブログにて「トラック運送」「船舶輸送」「貨客混載」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

トラック運送の生産性を表す評価指標

国土交通省が公表している「トラック運送における生産性向上方策に関する手引き」において、トラック運送の生産性を表す評価指標として示されている「実働率」「実車率(時間あたり)」「実車率(距離あたり)」「積載率」について説明します。

 

 

 

 

出典元:トラック運送における生産性向上方策に関する手引き

 

実働率

「実働率」とは、1日の中で実際にトラックが使用されている「稼働時間」の比率のことをいいます。(時間ではなく日数として考えることもできます)

「実働率」は、その数値が高いほど生産性が高いことを示しており、トラックが使用されていない時間(非稼働時間)が増加すると「実働率」が低下して生産性が悪化します。

 

 

宿泊を伴う長距離輸送では、ドライバーが宿泊している時間帯はトラックが使用されていない状態となり「実働率」が低下してしまうため、1人のドライバーで宿泊を伴うような長距離の輸送工程を担うのではなく、250~300km程度の日帰り圏の物流ネットワークを形成し、中継拠点でドライバーを交代したり貨物を積み替えるなどの方法により複数のドライバーでリレーして輸送する「中継輸送」を取り入れれば「実働率」を高めることができます。

 

実車率(時間あたり)

「実車率(時間あたり)」とは、トラックの「全稼働時間」に対する「走行時間」の比率のことをいいます。

「走行時間」とは、貨物の有無に関係なくドライバーがトラックを運転して走行する時間のことをいいます。

「実車率(時間あたり)」は、その数値が高いほど生産性が高いことを示しており、ドライバーがトラックを運転していない「休憩時間」「積卸作業時間」「積卸待ち時間」が増加すると「実車率(時間あたり)」が低下して生産性が悪化します。

 

 

ドライバーの「休憩時間」を短くすることはできませんが、「積卸作業時間」や「積卸待ち時間」を短くするために「積卸(荷役や検品・附帯業務)等の効率化」や「積卸待ち時間の削減」などの対策を講じれば「実車率(時間あたり)」を高めることができます。

 

実車率(距離あたり)

「実車率(距離あたり)」とは、トラックの「全走行距離」に対する「実車距離」の比率のことをいいます。

「実車距離」とは、トラックに貨物を積載して走行する距離のことをいいます。

「実車率(距離あたり)」は、その数値が高いほど生産性が高いことを示しており、貨物を積載せずに走行した距離(空車距離)が増加すると「実車率(距離あたり)」が低下して生産性が悪化します。

 

 

貨物を届けた後の復路において貨物を積載しない状態(空車)になると「実車率(距離あたり)」が低下してしまうため、共同輸送により帰り荷を確保するなどの対策を講じれば「実車率(距離あたり)」を高めることができます。

 

積載率

「積載率」とは、トラックの「最大積載重量(容量)」に対する「積載重量(容量)」の比率のことをいいます。

「積載重量(容量)」とは、トラックに積載して輸送する貨物の重量(容量)のことをいいます。

「積載率」は、その数値が高いほど生産性が高いことを示しており、トラックにまだ積み込むことができる余裕(空き重量(容量))が増加すると「積載率」が低下して生産性が悪化します。

 

 

トラックにできるだけ多くの貨物を積載できるように、荷主間や荷主とトラック事業者の協力による共同配送、幹線輸送の共同化、物流拠点の共同化などの対策を講じれば「積載率」を高めることができます。

 

トラック運送における生産性向上方策の取り組みイメージ

「トラック運送における生産性向上方策に関する手引き」で紹介されているトラック運送における生産性向上方策とその取り組みイメージは以下の通りです。

 

 

 

出典元:トラック運送における生産性向上方策に関する手引き

 

中継輸送

「中継輸送」とは、長距離輸送において出発地から到着地までの工程を1人のドライバーで輸送するのではなく、250~300km程度の日帰り圏の物流ネットワークを形成し、中継拠点でドライバーを交代したり貨物を積み替えるなどの方法により複数のドライバーでリレーして輸送する方式のことをいいます。

「中継輸送」には、1つのトラック事業者において複数のドライバーが輸送する方式と、異なるトラック事業者間で輸送する方式があります。

異なるトラック事業者間で輸送する場合の代表的な方式を以下に示します。

 

ドライバー交替方式

「ドライバー交替方式」とは、中継拠点でドライバーがトラックを乗り替える方式のことをいいます。

貨物を積み替える必要がないため、中継拠点における作業は短時間で終えることができますが、ドライバーは、復路において他の事業者のトラックを運転することになります。

 

ドライバー交替方式

出典元:中継輸送の取組事例集(国土交通省自動車局貨物課)

 

トレーラー・トラクター方式

「トレーラー・トラクター方式」とは、中継拠点でトレーラーのヘッドを交換する方式のことをいいます。

中継拠点におけるヘッド交換作業は短時間で終えることができますが、ドライバーは牽引免許が必要(ただし、スワップボディの場合は不要)となります。

「トレーラー・トラクター方式」を採用するためには、ヘッドとシャーシが連結できるか、中継拠点においてヘッドを交換するための作業スペースを確保できるかなどについて、事前に確認する必要があります。

 

トレーラー・トラクター方式

出典元:中継輸送の取組事例集(国土交通省自動車局貨物課)

 

貨物積み替え方式

「貨物積み替え方式」とは、中継拠点で貨物を積み替える方式のことをいいます。

貨物の積み替えを実施するため、中継拠点における作業時間は長くなってしまいます

「貨物積み替え方式」を採用するためには、貨物を積み替えるための荷役作業員や設備を確保すること、積み替え時間を短縮する方策を検討すること、積み替え作業中に貨物が破損した場合の対応を取り決めておくことなどについて、事前に確認する必要があります。

 

貨物積み替え方式

出典元:中継輸送の取組事例集(国土交通省自動車局貨物課)

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和3年度 第34問】

トラック運送における共同輸配送に関する以下の【取組内容】と、取組前よりも改善が期待される【生産性指標】の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

【取組内容】

  • ①取組前には、荷主Aと荷主Bそれぞれの貨物を異なるトラックに積んでも、両方のトラックに他の貨物を積載する余裕があったため、荷主Aと荷主Bの貨物を同じトラックに積み合せることにした。
  • ②取組前には、荷主Cの貨物を着地でトラックから降ろした後に帰り荷がなかったため、荷主Cの納品後に荷主Dの貨物を帰り荷として積載することにした。
  • ③取組前には、荷主Eの貨物を積載したトラックが、発地X・着地Y間を宿泊を伴いながら往復運行し、荷主Fの貨物を積載したトラックが、発地Y・着地X間を宿泊を伴いながら往復運行していた。このため、両方のトラックが発着地X・Y間の中間地点で出会い、互いの貨物を積み替えて宿泊を伴わずに輸送することにした。ただし、トラック1台に乗車するドライバーは1人とする。

 

【生産性指標】

  • a 実働率(トラックの運行可能な時間に占める、走行や荷役、手待ちなど実際に稼働した時間の割合)
  • b 実車率(トラックの走行距離に占める、実際に貨物を積載して走行した距離の割合)
  • c 積載率(貨物を積載して走行するトラックの最大積載量に占める、実際に積載した貨物の量の割合)

 

[解答群]

ア ①とa ②とb ③とc
イ ①とa ②とc ③とb
ウ ①とb ②とc ③とa
エ ①とc ②とa ③とb
オ ①とc ②とb ③とa

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

トラック運送における生産性向上方策に関する知識を問う問題です。

 

取組内容①→積載率の向上

荷主Aと荷主Bがそれぞれの貨物を異なるトラックに積んで、両方のトラックに他の貨物を積載する余裕がある状態で走行させるのではなく、荷主Aと荷主Bの「共同輸配送」により、貨物を同じトラックに積み合わせて走行させることによって、トラックにより多くの貨物を積載して輸送することができるため、生産性指標の一つである「積載率」が向上します。

 

 

取組内容②→実車率(距離あたり)の向上

荷主Cの貨物を着地でトラックから降ろした後、復路を貨物を積載せずに走行させる(空車)のではなく、荷主Cと荷主Dの「共同輸配送」により、帰り荷に荷主Dの貨物を積載して走行させることによって、実車距離を増やすことができるため、生産性指標の一つである「実車率(距離あたり)」が向上します。

 

 

取組内容③→実働率の向上

荷主Eの貨物を積載したトラックが、発地X・着地Y間を宿泊を伴いながら往復運行し、荷主Fの貨物を積載したトラックが、発地Y・着地X間を宿泊を伴いながら往復運行するのではなく、荷主Eと荷主Fの「中継輸送」により、両方のトラックが発着地X・Y間の中間地点で出会い、互いの貨物を積み替えて宿泊せずに輸送することによって、宿泊により発生するトラックの非稼働時間(使用されていない時間)を削減することができるため、生産性指標の一つである「実働率」が向上します。

 

 

「①とc ②とb ③とa」であるため、答えは(オ)です。


 

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