経済学・経済政策 ~R3-17 消費者行動(1)上級財・中立財・下級財~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R3-17 消費者行動(1)上級財・中立財・下級財~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和3年度一次試験問題一覧~

令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

需要の所得弾力性・上級財・中立財・下級財・エンゲル曲線 -リンク-

本ブログにて「需要の所得弾力性」「上級財・中立財・下級財」「エンゲル曲線」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

需要の所得弾力性(η:エータ)

「需要の所得弾力性」とは「所得」が「1%」増減したときに「需要(消費)」がどれだけ反応するかを表しており、「所得の変化率」に対する「需要(消費)の変化率」として求めることができます。

ここで重要なのは「需要の所得弾力性」が「所得の変化量」に対する「需要(消費)の変化量」ではなく「価格の変化率」に対する「需要(消費)の変化率」として表されるということです。

 

 

「所得」が増加したときに「需要(消費)」が増加する場合「需要の所得弾力性」は「プラス」であり、「所得」が増加したときに「需要(消費)」が減少する場合「需要の所得弾力性」は「マイナス」です。

また、「需要の所得弾力性」が大きければ、「所得」が増加したときに「需要(消費)」の増加幅が大きいことを示しています。

 

上級財・中立財・下級財

消費者の所得が増減したときに需要(消費)がどのように変化するかによって、財は「上級財(正常財)」「中立財」「下級財(劣等財)」に分類されます。

財の分類は、一般論として決まっている訳ではなく、消費者の嗜好や所得により変化します

 

大分類 説明 需要の所得弾力性 小分類 需要の所得弾力性
上級財
(正常財)
所得が増加(減少)すると需要(消費)が増加(減少)する財 η > 0 奢侈財 η>1
必需財 0<η<1
中立財 所得が増加(減少)しても需要(消費)が変わらない財 η = 0
下級財
(劣等財)
所得が増加(減少)すると需要(消費)が減少(増加)する財 η < 0

 

上級財(正常財)

「上級財(正常財)」とは、所得が増加(減少)すると需要(消費)も増加(減少)する財であり、「需要の所得弾力性」が「プラス」である財( η>0 )のことをいいます。

 

  • 所得が増加すると需要(消費)も増加する財
  • 所得が減少すると需要(消費)も減少する財
  • 「需要の所得弾力性」が「プラス」である財( η>0 )

 

奢侈財(しゃしざい)と必需財

「上級財(正常財)」は、「需要の所得弾力性」の大きさにより「奢侈財」と「必需財」に分類されます。

 

奢侈財(しゃしざい)

「奢侈財」とは「上級財(正常財)」の中で「所得の変化率」よりも「需要の変化率」の方が高い財であり「需要の所得弾力性」が「1」より大きい財( η>1 )のことをいいます。

「奢侈財」には、所得が増加して生活に余裕が出てくれば需要(消費)が大幅に増加して、所得が減少して生活が厳しくなれば需要(消費)が極端に減少する「ブランドバック」などの贅沢品が該当します。(ブランドバックに魅力を感じない消費者の場合は除く)

 

  • 所得が増加すると需要(消費)が大幅に増加する財
  • 所得が減少すると需要(消費)が大幅に減少する財
  • 「需要の所得弾力性」が「1」より大きい財( η>1 )

 

必需財

「必需財」とは「上級財(正常財)」の中で「所得の変化率」よりも「需要の変化率」の方が低い財であり「需要の所得弾力性」が「1」より小さい財( 0<η<1 )のことをいいます。

「必需財」には、所得が増加したからと言って需要(消費)が大量に増加するわけでもなく、また所得が減少したからといって需要(消費)を極端に減少することもできない「お米」などの生活必需品が該当します。

ただし、「必需財」が常に「必需財」であるとは限りません。所得の大幅な増加により外食などが増えて「お米」の需要(消費)が減少するようであれば「お米」は「必需財」から「下級財」に変化する可能性があります

 

  • 所得が増加すると需要(消費)が少しだけ増加する財
  • 所得が減少すると需要(消費)が少しだけ減少する財
  • 「需要の所得弾力性」が「0」より大きく「1」より小さい財( 0<η<1 )

 

中立財

「中立財」とは、所得が増加(減少)しても需要(消費)が変わらない財であり、「需要の所得弾力性」が「ゼロ」である財( η=0 )のことをいいます。

 

  • 所得が増加しても需要(消費)が変わらない
  • 所得が減少しても需要(消費)が変わらない
  • 「需要の所得弾力性」が「ゼロ」である財( η=0 )

 

下級財(劣等財)

「下級財(劣等財)」とは、所得が増加(減少)すると需要(消費)が減少(増加)する財であり、「需要の所得弾力性」が「マイナス」である財( η<0 )のことをいいます。

 

  • 所得が増加すると需要(消費)が減少する財
  • 所得が減少すると需要(消費)が増加する財
  • 「需要の所得弾力性」が「マイナス」である財( η<0 )

 

ギッフェン財

「ギッフェン財」とは、所得が増加(減少)すると需要(消費)が減少(増加)する「下級財(劣等財)」であり、かつ「財の価格が下落(上昇)すると需要(消費)が減少(増加)する財」のことをいいます。

「ギッフェン財」の事例としては、19世紀のアイルランドで発生したジャガイモ飢饉が有名です。19世紀のアイルランドにおいて、貧しい人々の主食であるジャガイモ飢饉が発生して価格が高騰しましたが、人々は肉などの贅沢品の消費量を減少させ、主食であるジャガイモの消費量を増やしたというものです。

「ギッフェン財」と「下級財(劣等財)」の定義の違いが分かりづらいですが、「ギッフェン財」は「価格効果(=代替効果+所得効果)」で判断し、「下級財(劣等財)」は「所得効果」で判断します。

 

  • 下級財(劣等財)
    所得が増加(減少)すると需要(消費)が減少(増加)する財
    →所得の変化による需要(消費)の変化を表す「所得効果」で判断

 

  • ギッフェン財
    財の価格が下落(上昇)すると需要(消費)が減少(増加)する財
    →財の価格の変化による需要(消費)の変化を表す「価格効果(=代替効果+所得効果)」で判断(代替効果とは逆向きに作用する所得効果の方が大きい場合)
    「ギッフェン財」は、必ず「下級財(劣等財)」である

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和3年度 第17問】

大学生のAさんは、アルバイト先の時給が上がったことで、所得が増加した。その結果、お昼に学食に行く回数が減り、イタリアンレストランに行く回数が増えた。この状況に関する説明として、最も適切なものはどれか。

 

ア Aさんにとって、学食とイタリアンレストランの消費は両方ともプラスであるので、ともに上級財である。

イ Aさんにとって、学食とイタリアンレストランは補完財である。

ウ Aさんにとって、学食の消費は減り、イタリアンレストランの消費は増えたので、学食は下級財であり、イタリアンレストランは上級財である。

エ Aさんにとって、学食は必需品であり、イタリアンレストランは奢侈品である。

オ Aさんにとって、学食もイタリアンレストランも必需品である。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

上級財・中立財・下級財に関する知識を問う問題です。

 

消費者の所得が増減したときに需要(消費)がどのように変化するかによって、財は「上級財(正常財)」「中立財」「下級財(劣等財)」に分類されます。

財の分類は、一般論として決まっている訳ではなく、消費者の嗜好や所得により変化します

 

大分類 説明 需要の所得弾力性 小分類 需要の所得弾力性
上級財
(正常財)
所得が増加(減少)すると需要(消費)が増加(減少)する財 η > 0 奢侈財 η>1
必需財 0<η<1
中立財 所得が増加(減少)しても需要(消費)が変わらない財 η = 0
下級財
(劣等財)
所得が増加(減少)すると需要(消費)が減少(増加)する財 η < 0

 

Aさんは所得が増加した結果、お昼に学食に行く回数(需要)が減少しており、イタリアンレストランに行く回数(需要)が増加していると記述されています。

したがって、「学食」は「所得が増加すると需要が減少する財」である「下級財(劣等財)」に該当し、「イタリアンレストラン」は「所得が増加すると需要が増加する財」であり「上級財(正常財)」に該当します。

なお、問題文に所得の増加率や消費金額の変化率が示されていないため「イタリアンレストラン」が「奢侈財」なのか「必需財」を判断することはできません

 

選択肢(イ)に記述されている「補完財」について

「2財モデル」において、片方の金額が値上がりして需要が減少すると、もう片方の需要も減少するような関係にある財のことを「粗補完財」といいます

このような「補完関係」が100%である財のことを「完全補完財」といい「2財を1セットとして消費する財」が該当します。

 

  • 左足用の靴と右足用の靴
  • ボルトとナット

 

答えは(ウ)です。


 

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