今回は、「財務・会計 ~R3-1 売上割引・売上控除(3)売上割引~」について説明します。
目次
財務・会計 ~令和3年度一次試験問題一覧~
令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
売上割引・売上控除・仕入割引・仕入控除 -リンク-
本ブログにて「売上割引」「売上控除」「仕入割引」「仕入控除」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 仕入割引・仕入控除
売上割引・売上控除・仕入割引・仕入控除
販売した商品の返品など
販売した商品に対する「返品(戻り)」「値引」「割戻」「割引」について説明します。
覚えておくのは、「売上割引」の場合は「営業外費用」として計上して、それ以外の「返品(戻り)」「値引」「割戻」の場合は「売上」から控除するということです。
「割引」という言葉の定義が、一般的に使っている意味と違いますので、注意してください。
項目 | 会計処理 | 説明 |
売上戻り | 売上控除 | 販売した商品の品質などに問題があった場合に、取引先から商品を返品されること。 |
売上値引 | 販売した商品の品質などに問題があった場合に、取引先に安い価格で提供すること。 | |
売上割戻 | 商品の大量販売等の条件に基づき、取引先に安い価格で提供すること。(リベート) | |
売上割引 | 営業外費用 | 販売した商品の売掛金を取引先から期日前に受け取った場合、受取金額から利息分に相当する金額を免除すること。(ディスカウント) |
仕訳
掛けで販売した商品に対して「売上戻り」「売上値引」「売上割戻」「売上割引」した場合の仕訳例を以下に示します。
売上戻り・売上値引・売上割戻
「売上戻り/売上値引/売上割戻」の場合は売上金額から控除します。
借方 | 貸方 | ||
売上 | 1,000円 | 売掛金 | 1,000円 |
売上割引
売掛金について、決済期日よりも前の割引有効期限内に取引先から支払いを受けたため、利息分に相当する「50円」の割引を行った。この場合、売上高から控除するのではなく、売上割引「50円」を営業外費用として計上します。
借方 | 貸方 | ||
現金 売上割引 |
950円 50円 |
売掛金 | 1,000円 |
仕入れた商品の返品など
仕入れた商品に対する「返品(戻し)」「値引」「割戻」「割引」について説明します。
覚えておくのは、「仕入割引」の場合は「営業外収益」として計上して、それ以外の「返品(戻し)」「値引」「割戻」の場合は「仕入」から控除するということです。
「割引」という言葉の定義が、一般的に使っている意味と違いますので、注意してください。
項目 | 会計処理 | 説明 |
仕入戻し | 仕入控除 | 仕入れた商品の品質などに問題があった場合に、仕入先に商品を返品すること。 |
仕入値引 | 仕入れた商品の品質などに問題があった場合に、仕入先から安い価格で提供されること。 | |
仕入割戻 | 商品の大量仕入等の条件に基づき、仕入先から安い価格で提供されること。(リベート) | |
仕入割引 | 営業外収益 | 仕入れた商品の買掛金を仕入先に期日前に支払った場合、支払金額から利息分に相当する金額を免除されること。(ディスカウント) |
仕訳
掛けで仕入れた商品に対して「仕入戻し」「仕入値引」「仕入割戻」「仕入割引」した場合の仕訳例を以下に示します。
仕入戻し・仕入値引・仕入割戻
「仕入戻し/仕入値引/仕入割戻」の場合は仕入金額から控除します。
借方 | 貸方 | ||
買掛金 | 1,000円 | 仕入 | 1,000円 |
仕入割引
決済期日よりも前の割引有効期限内に仕入先に買掛金を支払ったため、利息分に相当する「50円」の割引を受けた。この場合、仕入から控除するのではなく、仕入割引「50円」を営業外収益として計上します。
借方 | 貸方 | ||
買掛金 | 1,000円 | 現金 仕入割引 |
950円 50円 |
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和3年度 第1問】
得意先への商品販売時に、10日以内に代金を支払えば2%の支払いを免除するという条件をつけた。その売掛金200,000円を販売から9日目に回収するにあたり、条件を適用した金額を小切手で受け取った。
この取引を仕訳するとき、以下の空欄(□□)に入る語句として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
借方 貸方 現金
売上□□196,000円
4,000円売掛金 200,000円
[解答群]
ア 控除
イ 値引
ウ 割引
エ 割戻
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「売上割引」に関する知識を問う問題です。
販売した商品の返品など
販売した商品に対する「返品(戻り)」「値引」「割戻」「割引」について説明します。
覚えておくのは、「売上割引」の場合は「営業外費用」として計上して、それ以外の「返品(戻り)」「値引」「割戻」の場合は「売上」から控除するということです。
「割引」という言葉の定義が、一般的に使っている意味と違いますので、注意してください。
項目 | 会計処理 | 説明 |
売上戻り | 売上控除 | 販売した商品の品質などに問題があった場合に、取引先から商品を返品されること。 |
売上値引 | 販売した商品の品質などに問題があった場合に、取引先に安い価格で提供すること。 | |
売上割戻 | 商品の大量販売等の条件に基づき、取引先に安い価格で提供すること。(リベート) | |
売上割引 | 営業外費用 | 販売した商品の売掛金を取引先から期日前に受け取った場合、受取金額から利息分に相当する金額を免除すること。(ディスカウント) |
今回の問題では、10日以内に代金を支払えば2%の支払いを免除するという条件で販売した商品の売掛金200,000円を、販売から9日目に条件を適用した金額(2%の支払いを免除した金額)を小切手で受け取っています。
このような取引を「売上割引」といい、仕訳は以下の通りとなります。
借方 | 貸方 | ||
現金 売上割引 |
196,000円 4,000円 |
売掛金 | 200,000円 |
答えは(ウ)です。
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