経済学・経済政策 ~H27-16 生産関数と限界生産性(6)コブ=ダグラス型生産関数~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H27-16 生産関数と限界生産性(6)コブ=ダグラス型生産関数~」について説明します。

目次

経済学・経済政策 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

総生産物曲線・生産関数 -リンク-

本ブログにて「総生産物曲線」「生産関数」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

総生産物曲線

「総生産物曲線」とは、縦軸に「生産量(Y)」を、横軸に「生産要素の投入量」を取ったグラフに表される「生産要素の投入量と生産可能な最大産出量の関係を表す曲線(生産関数)」のことをいいます。

 

 

生産関数

「生産関数」とは、生産要素の投入量と生産可能な最大産出量の関係を表す関数のことをいいます。「生産関数」には以下のようなものがありますが、今回は「コブ=ダグラス型生産関数」について説明していきます。

 

  • コブ=ダグラス型生産関数
  • CES生産関数
  • 固定係数型生産関数

 

コブ=ダグラス型生産関数

「コブ=ダグラス型生産関数」とは、1920年代にC・W・コブとP・H・ダグラスがアメリカ経済の実証分析を行う際に使用した生産関数であり、生産活動に投入される「生産要素」である「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」から「生産量(Y)」を求める関数のことをいいます。

 

 

「コブ=ダグラス型生産関数」には以下の特徴があります。

 

  • 生産要素(労働と資本)の限界生産物(限界生産力)は逓減する( 0<α<1 / 0<β<1 )
  • 規模に関する収穫一定(収穫不変)である(α+β=1)
  • 1次同次関数である(α+β=1)
  • 生産要素をともにN倍すると生産量もN倍となる(α+β=1)
  • 代替の弾力性が1である

 

生産要素(労働と資本)の限界生産物(限界生産力)は逓減する

「コブ=ダグラス型生産関数」を構成する生産要素には「労働」と「資本」の2種類があります。

「コブ=ダグラス型生産関数」には「 0<α<1 / 0<β<1 」との仮定があるため「労働」と「資本」の「限界生産物(限界生産力)」は逓減します

「労働投入量(N)」の冪指数(上付き文字の部分/●乗の部分)である「労働分配率(α)」には「 0<α<1 」との仮定があるため「労働投入量(N)」の増加に伴って「労働の限界生産物(限界生産力)」は徐々に小さくなります(逓減します)

同様に、「資本投入量(K)」の冪指数(上付き文字の部分/●乗の部分)である「資本分配率(β)」には「 0<β<1 」との仮定があるため「資本投入量(K)」の増加に伴って「資本の限界生産物(限界生産力)」は徐々に小さくなります(逓減します)

 

 

「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」のどちらでも考え方は変わらないため、ここからは「労働投入量(N)」を例に説明します。

 

縦軸に「生産量(Y)」を、横軸に「労働投入量(N)」を取ったグラフに「労働」の「総生産物曲線」を描画すると、「労働分配率(α)」には「 0<α<1 」との仮定があるため「総生産物曲線」は「左上に凸の曲線」となります。

 

 

「労働の限界生産物(限界生産力)」とは「労働投入量(N)」を1単位増加したときの「生産量(Y)」の増加分のことをいいます。

 

 

「労働の限界生産物(限界生産力)」は、縦軸に「生産量(Y)」を、横軸に「労働投入量(N)」を取ったグラフに描かれた「総生産物曲線」の接線の「傾き」として表されます

 

 

「総生産物曲線」の接線の「傾き」である「労働の限界生産物(限界生産力)」は「労働投入量(N)」の増加に伴って徐々に小さくなる(逓減する)ことが分かります

 

数学的に見た場合、仮に「労働分配率(α)」が「α=1」であれば「労働投入量(N)」と「生産量(Y)」の関係を表す「生産関数」は「Y=N」となるため「生産関数」に基づき描かれる「総生産物曲線」は直線となります。

また、「労働分配率(α)」が「α>1」であれば「総生産物曲線」は「右下に凸の曲線」となり「労働投入量(N)」の増加に伴い「限界生産物(限界生産力)」は逓増します。(例えば「α=2」であれば「生産関数」は「Y=N²」です。)

 

 

 

規模に関する収穫一定(収穫不変)である

「コブ=ダグラス型生産関数」には「 α+β=1 」との仮定があるため、以下の3つの特徴があります

 

 

「コブ=ダグラス型生産関数」において、「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」を2倍にしたときの「生産量(Y)」を確認します。

 

  • Y=Nα×K(1-α)
  • Y=2Nα×2K(1-α) 「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」を2倍にする
  • Y=2(α+(1-α))×Nα×K(1-α)
  • Y=21 × Nα×K(1-α) → 「2」の1乗となるため1次同次関数という
  • Y=2 × Nα×K(1-α) 「生産量(Y)」は2倍になる

 

「 α+β=1 」との仮定がある「コブ=ダグラス型生産関数」において「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」の「投入比率(N:K)」を変更せずに、それぞれの投入量を増加すると「労働分配率(α)」や「資本分配率(β)」に関係なく「生産量(Y)」は比例的に増加していきます。

このように、「生産要素の投入量」を増加したときに「生産量(Y)」が比例的に増加することを「規模に関する収穫一定(収穫不変)である」といいます。

 

 

収穫逓減/収穫一定(収穫不変)/収穫逓増

規模に関する「収穫逓減/収穫一定(収穫不変)/収穫逓増」をグラフで表すと以下の通りとなります。

 

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第16問】

いま、Y=K0.5 N0.5という生産関数を考える。ただし、Y は生産量、K は生産における資本投入量、N は生産における労働投入量である。このときの記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

a この生産関数において、投入される資本の限界生産力は一定である。
b この生産関数において、投入される資本の限界生産力は逓減している。
c この生産関数では、ある状態から資本投入量と労働投入量をともに2倍にすると、生産量も2倍になる。
d この生産関数では、ある状態から資本投入量と労働投入量をともに2倍にしても、生産量は2倍には及ばない。

 

[解答群]

ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

コブ=ダグラス型生産関数に関する知識を問う問題です

 

「コブ=ダグラス型生産関数」とは、1920年代にC・W・コブとP・H・ダグラスがアメリカ経済の実証分析を行う際に使用した生産関数であり、生産活動に投入される「生産要素」である「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」から「生産量(Y)」を求める関数のことをいいます。

 

 

「コブ=ダグラス型生産関数」には以下の特徴があります。

 

  • 生産要素(労働と資本)の限界生産物(限界生産力)は逓減する( 0<α<1 / 0<β<1 )
  • 規模に関する収穫一定(収穫不変)である(α+β=1)
  • 1次同次関数である(α+β=1)
  • 生産要素をともにN倍すると生産量もN倍となる(α+β=1)
  • 代替の弾力性が1である

 

問題で与えられた生産関数(Y=K0.5 N0.5)は「コブ=ダグラス型生産関数」であるため、「コブ=ダグラス型生産関数」の特徴と照らし合わせながら考えていきます。

 

資本の限界生産物(限界生産力)

問題で与えられた「コブ=ダグラス型生産関数」において「資本投入量(K)」と「生産量(Y)」の関係を表す「生産関数」は以下の通りとなります。

 

 

「資本分配率(β)」が「 β=0.5 」であるため、「資本投入量(K)」と「生産量(Y)」の関係を表す「総生産物曲線」は、以下のように「左上に凸の曲線」となります。

 

 

「資本の限界生産物(限界生産力)」とは「資本投入量(K)」を1単位増加したときの「生産量(Y)」の増加分のことをいいます。

 

 

「資本の限界生産物(限界生産力)」は、縦軸に「生産量(Y)」を、横軸に「資本投入量(K)」を取ったグラフに描かれた「総生産物曲線」の接線の「傾き」として表されます

 

 

「総生産物曲線」の接線の「傾き」である「資本の限界生産物(限界生産力)」は「資本投入量(K)」の増加に伴って徐々に小さくなる(逓減する)ことが分かります

 

したがって、「資本投入量(K)」の増加に伴い「資本の限界生産力」は逓減していくため、選択肢(b)に記述されている内容が適切です

 

資本投入量と労働投入量の変動に伴う生産量の変化

問題で与えられた「コブ=ダグラス型生産関数」では「労働分配率(α)」と「資本分配率(β)」が「 α+β=0.5+0.5=1 」であるため、以下の3つの特徴があります

 

 

「 α+β=1 」との仮定がある「コブ=ダグラス型生産関数」において「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」の「投入比率(N:K)」を変更せずに、それぞれの投入量を増加すると「労働分配率(α)」や「資本分配率(β)」に関係なく「生産量(Y)」は比例的に増加していきます。

 

 

問題で与えられた「コブ=ダグラス型生産関数」において、「労働投入量(N)」と「資本投入量(K)」に具体的な数値を入れて「生産量(Y)」の変化を確認していきます。

 

 

例1:「資本投入量(K)」と「労働投入量(N)」が同じ値の場合

「資本投入量(K)」が「労働投入量(N)」の投入比率が「1:1」であるときに「資本投入量(K)」と「労働投入量(N)」を「2倍・4倍」とした場合の「生産量」の変化を以下に示します。

 

K=1/N=1 K=2/N=2 K=4/N=4
資本投入量(K) 1 2 4
労働投入量(N) 1 2 4
生産量(Y=√NK) 1 2 4

 

「資本投入量(K)」と「労働投入量(N)」を「2倍・4倍」にすると「生産量(Y=√NK)」も「2倍・4倍」となっていることが分かります。

 

例2:「資本投入量(K)」と「労働投入量(N)」が異なる値の場合

「資本投入量(K)」が「労働投入量(N)」の投入比率が「2:1」であるときに「資本投入量(K)」と「労働投入量(N)」を「2倍・4倍」とした場合の「生産量」の変化を以下に示します。

 

K=2/N=1 K=4/N=2 K=8/N=4
資本投入量(K) 2 4 8
労働投入量(N) 1 2 4
生産量(Y=√NK) 1.4142・・・ 2.8284・・・ 5.6568・・・

 

やはり、この例でも「資本投入量(K)」と「労働投入量(N)」を「2倍・4倍」にすると「生産量(Y=√NK)」も「2倍・4倍」となっていることが分かります。

 

したがって、この生産関数では、ある状態から資本投入量と労働投入量をともに2倍にすると生産量も2倍になるため、選択肢(c)に記述されている内容が適切です

 

(b)と(c)に記述されている内容が適切であるため、答えは(ウ)です。


 

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