経済学・経済政策 ~H27-14 予算制約と消費者の選択行動(4)効用最大化~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H27-14 予算制約と消費者の選択行動(4)効用最大化~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

予算制約線・最適消費点 -リンク-

本ブログにて「予算制約線」「最適消費点」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

効用

消費者は、財を消費することによって「効用」を得ることができます。
「効用」とは「財の消費によって消費者が得られる満足度」のことをいいます。

 

無差別曲線

「無差別曲線」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、縦軸に「Y財の消費量」を、横軸に「X財の消費量」を取ったグラフで表されるある消費者が等しい効用水準を得られる2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

消費が増加すると効用が高まる一般的な2つの財の「無差別曲線」は以下の図のようになります。

「無差別曲線」では、「同一の無差別曲線上においてはどの点を取っても効用水準は等しい」という特徴を理解しておくことが重要です。

 

 

また、もう一つ、「無差別曲線」は以下の図のように「3本」しかないわけではなく無数に存在するという特徴も理解しておくことが重要です。

 

 

予算制約線

「予算制約線」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、「X財の消費量X」と「Y財の消費量Y」のグラフで表される「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

 

 

予算制約線の求め方

「予算制約線」の求め方について説明します。

X財の価格が「PX」であり、Y財の価格が「PY」である場合、X財とY財を消費するときの「総支出」は以下の式により求めることができます。

 

 

「予算制約線」とは「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」であるため「予算(M)= 総支出」となる以下の条件式が成立します。

 

 

上記の式を「Y=」という形に変形した以下の式が「予算制約線」です。

 

 

したがって「予算制約線」は以下のように表すことができます。

 

 

「予算制約線」において、X財とY財を消費するときの「総支出」が予算内に収まっていることを表している「予算制約線」より左下の範囲を「入手可能領域」といいます。なお、「予算制約線」より右上の範囲は「予算オーバー」であることを示しています。

 

 

予算制約線のシフト

「予算制約線」は「X財の価格(PX)」「Y財の価格(PY)」「予算(M)」などの条件が変化するとシフトします。

 

X財の価格が変動する場合
X財の価格が下落する場合

「X財の価格(PX)」が下落する場合の「予算制約線」のシフトについて確認します。

「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」は変わりませんが「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」が大きくなり「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」が小さくなるため、「予算制約線」は以下の通り右方にシフトします。

 

 

X財の価格が上昇する場合

「X財の価格(PX)」が上昇する場合の「予算制約線」のシフトについて確認します。

「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」は変わりませんが「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」が小さくなり「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」が大きくなるため「予算制約線」は以下の通り左方にシフトします。

 

 

Y財の価格が変動する場合
Y財の価格が下落する場合

「Y財の価格(PY)」が下落する場合の「予算制約線」のシフトについて確認します。

「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」は変わりませんが「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」と「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」が大きくなるため、「予算制約線」は以下の通り上方にシフトします。

 

 

Y財の価格が上昇する場合

「Y財の価格(PY)」が上昇する場合の「予算制約線」のシフトについて確認します。

「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」は変わりませんが「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」と「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」が小さくなるため、「予算制約線」は以下の通り下方にシフトします。

 

 

予算が変動する場合
予算が増加する場合

「予算(M)」が増加する場合の「予算制約線」のシフトについて確認します。

「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」は変わりませんが「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」と「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」が大きくなるため、「予算制約線」は以下の通り平行に右上方にシフトします。

 

 

予算が減少する場合

「予算(M)」が減少する場合の「予算制約線」のシフトについて確認します。

「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」は変わりませんが「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」と「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」が小さくなるため、「予算制約線」は以下の通り平行に左下方にシフトします。

 

 

最適消費点

「最適消費点」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、「X財の消費量X」と「Y財の消費量Y」の2軸のグラフで表される限られた予算の中で、ある消費者の効用を最大化する2財の消費の組み合わせを示す点」のことをいいます。

ある消費者が等しい効用を得られる2財の消費の組み合わせを表す「無差別曲線」と、予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを表す「予算制約線」の接点が「最適消費点」となります。

 

 

予約制約線の変化による最適消費点のシフト

予約制約線の変化によって「最適消費点」がどのようにシフトするのかについて確認するため「X財の価格が下落した場合」を例として以下に説明します。

 

  1. X財の価格が下落すると「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)」は変わらずに「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量」が大きくなるため「予算制約線」が右方に拡大します。
  2. 拡大した「予算制約線」は、X財の価格が下落する前の「予約制約線」と接していた「無差別曲線」よりも効用が高い「無差別曲線」と接することとなるため、この新たな「無差別曲線」との接点が、X財の価格が下落した場合の「最適消費点」となります。(無差別曲線がシフトするわけではありません。もともと無差別曲線は無数に存在しています。)

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第14問】

いま、2つの財、財X1と財X2を消費可能な個人の効用最大化行動を考える。当該の個人は、所得80を有し、財X1の価格は2、財X2の価格は4という条件のもとで、効用が最大になるよう財X1の消費量x1と財X2の消費量x2とを組み合わせることができる。この個人の効用関数はU=x1x2と与えられており、合理的な当該個人は、x1=20、x2=10という組み合わせを選択することが分かっている。下図では、縦軸の切片aと横軸の切片bとを結ぶ予算制約線と無差別曲線Uの接点として、効用最大化の行動が図示されている。

この状況を説明する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア この個人は、所得80の使い道として、x1=20、x2=10以外の組み合わせを選択することで効用を一層高める余地が残されている。
イ 財X2の消費量がゼロならば、財X1を30消費することで所得80を使い切ることができる。
ウ 縦軸の切片aの値は、財X1の価格に応じて変化する。
エ 無差別曲線U上の2財の組み合わせ(x1,x2)では、いずれも効用水準が200で一定である。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

予算制約線と無差別曲線と最適消費点に関する知識を問う問題です。

 

「無差別曲線」とはある消費者が等しい効用を得られる2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいい、「予算制約線」とは「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。また、「最適消費点」とは限られた予算の中で、ある消費者の効用を最大化する2財の消費の組み合わせを示す点」のことをいいます。

 

(ア) 不適切です。

「最適消費点」とは限られた予算の中で、ある消費者の効用を最大化する2財の消費の組み合わせを示す点」のことをいいます。

ある消費者が等しい効用を得られる2財の消費の組み合わせを表す「無差別曲線」と、予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを表す「予算制約線」の接点が「最適消費点」となります。

 

 

つまり、問題文で与えられた図においては、予算制約線と無差別曲線Uが接する点(x1=20、x2=10)が個人の効用を最大化する消費点(最適消費点)であることを示しています。

 

したがって、この個人は、所得80の使い道として、x1=20、x2=10の組み合わせで得られる効用が最も高く、x1=20、x2=10以外の組み合わせを選択しても効用を一層高める余地は残されていないため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

「予算制約線」とは「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

「予算制約線」とは「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」であるため「予算(M)= 総支出」となる以下の条件式が成立します。

 

 

上記の式に、今回の問題で与えられた数値を代入して、財X2の消費量がゼロである場合の財X1の消費量を算出します。

 

  • 80 = 2 x1 + 4 x2
  • 80 = 2 x1 + 4 × 0 ← x2=0
  • x1 = 40

 

つまり、財X2の消費量がゼロの場合、財X1を40消費することで所得80を使い切ることができることを表しています。

 

したがって、財X2の消費量がゼロならば、財X130ではなく40消費することで所得80を使い切ることができるため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

「予算制約線」とは「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

「Y財の価格(PY)」が上昇する場合、「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量( M ÷ PX )」は変わりませんが「予算制約線の傾きの絶対値( PX ÷ PY )」と「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)( M ÷ PY )」が小さくなるため、「予算制約線」は以下の通り下方にシフトします。

 

 

つまり、問題文で与えられた図においては、縦軸の切片aの値は、財X2の価格に応じて変化することを表しています。

 

したがって、縦軸の切片aの値は、財X1ではなく財X2の価格に応じて変化するため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 適切です。

「無差別曲線」とはある消費者が等しい効用水準を得られる2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

消費が増加すると効用が高まる一般的な2つの財の「無差別曲線」は以下の図のようになります。

「無差別曲線」では、「同一の無差別曲線上においてはどの点を取っても効用水準は等しい」という特徴を理解しておくことが重要です。

 

 

つまり、問題文で与えられた図において、無差別曲線U上のどの点を取っても効用は等しく、合理的な当該個人が選択する組み合わせである最適消費点(x1=20、x2=10)が無差別曲線U上に位置していることから、無差別曲線Uの効用水準は「U=x1x2=20×10=200」となります。

 

したがって、無差別曲線U上の2財の組み合わせ(x1,x2)では、いずれも効用水準が200で一定であるため、選択肢の内容は適切です

 

答えは(エ)です。


 

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