このブログでは二次試験(事例Ⅲ/事例Ⅳ)についても説明していますので、参考としてください。

経済学・経済政策 ~H29-12 効用理論(3)無差別曲線(垂直の無差別曲線)~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H29-12 効用理論(3)無差別曲線(垂直の無差別曲線)~」について説明します。

 

経済学・経済政策 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

無差別曲線 -リンク-

一次試験に向けた「無差別曲線」について説明しているページを以下に示しますので、アクセスしてみてください。

 

 

効用

消費者は、財を消費することによって「効用」を得ることができます。
「効用」とは「財の消費によって消費者が得られる満足度」のことをいいます。

 

無差別曲線

「無差別曲線」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、縦軸に「Y財の消費量」を、横軸に「X財の消費量」を取ったグラフで表されるある消費者が等しい効用水準を得られる2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

消費が増加すると効用が高まる一般的な2つの財の「無差別曲線」は以下の図のようになります。

「無差別曲線」では、「同一の無差別曲線上においてはどの点を取っても効用水準は等しい」という特徴を理解しておくことが重要です。

 

 

また、もう一つ、「無差別曲線」は以下の図のように「3本」しかないわけではなく無数に存在するという特徴も理解しておくことが重要です。

 

 

無差別曲線の特徴

「無差別曲線」に関する4つの特徴を以下に示します。

 

  • 右下がりの曲線となる(単調性の仮定)
  • グラフの右上にある無差別曲線ほど効用水準が高い(非飽和の仮定)
  • 効用水準の異なる無差別曲線は互いに交わらない(推移性の仮定)
  • 原点に対して凸の曲線となる(限界代替率逓減の法則

 

上記の特徴を踏まえ、無差別曲線を描写すると以下の通りとなります。

 

 

限界代替率逓減の法則

「限界代替率」とは、縦軸に「Y財の消費量」を、横軸に「X財の消費量」を取ったグラフで表される「ある消費者が得られる効用水準が一定という条件において、X財の消費を1単位増加したときのY財の消費の減少分」のことをいい、「無差別曲線」の接線の傾きの絶対値として表されます。

 

 

「限界代替率逓減の法則」とは、X財の消費量の増加に伴い「限界代替率」が徐々に減少していく(逓減する)ことをいい、この法則に基づき描画した「無差別曲線」は、原点に対して凸の形状となります。

 

 

特殊な形状の無差別曲線

「無差別曲線」は、2つの財の関係により、特殊な形状となるケースがあります。

 

  • 完全代替材(右下がりの直線)
  • 完全補完財(L字型)
  • 限界代替率逓増(原点に対して凹の曲線)
  • 効用が増加する財と効用が減少する財の組み合わせ(右上がりの曲線)

 

完全代替材(右下がりの直線)

「2財モデル」において、片方の金額が値上がりして需要が減少すると、もう片方の需要が増加するような関係にある財のことを「粗代替財」といいます

 

  • X財の価格(PX → X財の需要(X) → Y財の需要(Y)

 

この代替関係が100%である「完全代替財」の「無差別曲線」は「右下がりの直線」となります。

 

 

完全補完財(L字型)

「2財モデル」において、片方の金額が値上がりして需要が減少すると、もう片方の需要も減少するような関係にある財のことを「粗補完財」といいます

 

  • X財の価格(PX → X財の需要(X) → Y財の需要(Y)

 

この補完関係が100%である「完全補完財」の「無差別曲線」は「L字型」となります。
「2財を1セットとして消費する財」を例として説明します。

 

  • 左足用の靴と右足用の靴
  • ボルトとナット

 

実際にはそんなことはありませんが、仮に「左足用の靴」と「右足用の靴」が別々に販売されているとした場合の「効用」について考えてみます。

 

  • 「左足用の靴」だけ購入しても使い物にならないため「効用」が得られません。
  • 「左足用の靴」を1足購入して「右足用の靴」を1足購入すれば「1セット」の靴として使えるため「効用」が得られます。
  • 「左足用の靴」を1足購入して「右足用の靴」を2足購入したとしても、靴としては「1セット」としてしか使えないため「左足用の靴」と「右足用の靴」を「1セット(1足ずつ)」購入したときと同じ「効用」しか得られません。
  • 「左足用の靴」を2足購入して「右足用の靴」を2足購入すれば、「2セット」の靴として使えるため「1セット」の靴を購入したときよりも「効用」が高まります。

 

この「効用」の変化を「無差別曲線」として表すと、以下のように「L字型」となります。

 

 

限界代替率逓増(原点に対して凹の曲線)

一般的な「無差別曲線」は「限界代替率逓減の法則」に基づいているため、原点に対して凸の曲線となりますが、「限界代替率」が逓増する場合の「無差別曲線」は「原点に対して凹の曲線」となります。

 

 

効用が増加する財と効用が減少する財の組み合わせ(右上がりの曲線)

「金融商品」を例として考えてみた場合、一般的に「リスク」の低い金融商品は「リターン」が低く、「リスク」の高い金融商品は「リターン」も高くなっていますが、消費者は「効用」を高めるために、できるだけ「リスク」が低く「リターン」が高い金融商品を探します

この「リスク」と「リターン」と「効用」の関係を示すと以下の通りです。

 

  • リスクが高く+ リターンが低い= 効用が低い
  • リスクが低く+ リターンが高い= 効用が高い

 

「リターン」を縦軸に「リスク」を横軸に取り、この「効用」の変化を「無差別曲線」として表すと、以下のように「右上がりの曲線」となります。

 

 

「リターン」を縦軸に「リスク」を横軸に取った「無差別曲線」が、令和元年度の「財務・会計 第13問」で出題されています。

 

また、「投資の期待収益率」を縦軸に「当該投資収益率の標準偏差」を横軸に取った「無差別曲線」が、平成25年度の「財務・会計 第19問」で出題されています。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成29年度 第12問】

無差別曲線は、一般に、原点に対して凸型をした右下がりの曲線である。しかしながら、その形状は消費者の好みなどによって変わることがある。下図のような形状の無差別曲線に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア Aさんは、喫茶店でコーヒーを1杯飲むとき、必ず角砂糖を1個だけ入れる。このとき、X財をコーヒー、Y財を角砂糖とした場合の無差別曲線は図のようになる。
イ Bさんは、発泡酒が大好きであるが、どのブランドでもよいと思っている。このとき、ある2つのブランドの発泡酒をX財、Y財とした場合の無差別曲線は図のようになる。
ウ Cさんは、ゴルフに興味があり、野球には興味がない。このとき、X財をゴルフの観戦チケット、Y財を野球の観戦チケットとした場合の無差別曲線は図のようになる。
エ Dさんは、その日の気分により、お昼におにぎりとパンのどちらかを選んで購入する。このとき、X財をおにぎり、Y財をパンとした場合の無差別曲線は図のようになる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

無差別曲線に関する知識を問う問題です。

 

「効用」とは「財の消費によって消費者が得られる満足度」のことをいいます。

「無差別曲線」とはある消費者が等しい効用水準を得られる2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいい、「同一の無差別曲線上においてはどの点を取っても効用水準は等しい」という特徴を理解しておくことが重要です。

 

問題で与えられた無差別曲線は、X財を消費すると「効用(満足度)」を得られるが、Y財を消費しても「効用(満足度)」を得られない消費者の無差別曲線を表しています。

 

(ア) 不適切です。

喫茶店でコーヒーを1杯飲むとき、必ず角砂糖を1個だけ入れるということは、Aさんは、コーヒーと角砂糖という2つの財を「セット」として消費することにより「効用(満足度)」を得られるということを示しています。

コーヒー1杯と角砂糖1個を「セット」として消費しなければ「効用(満足度)」が得られないため、コーヒー2杯に対して角砂糖が1個しかなければ「効用(満足度)」は「1セット」分しか得られず、コーヒー1杯に対して角砂糖が2個あったとしても「効用(満足度)」は「1セット」分しか得られません。

このような関係にある2つの財のことを「完全補完財」といい、X財をコーヒー、Y財を角砂糖とした場合の無差別曲線は「L字型」となります

 

 

したがって、問題文で与えられた無差別曲線は、X財をコーヒー、Y財を角砂糖とした場合のAさんの無差別曲線ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

発泡酒が大好きであり、どのブランドでもよいと思っているということは、Bさんは、どのブランドの発泡酒を飲んでも「効用(満足度)」を得られるということを示しています。

X財をブランドAの発泡酒、Y財をブランドBの発泡酒とした場合、X財(ブランドAの発泡酒)を飲んでも、Y財(ブランドBの発泡酒)を飲んでも「効用(満足度)」を得られるため、無差別曲線は「原点に対して凸型をした右下がりの曲線」となります

 

 

したがって、問題文で与えられた無差別曲線は、ある2つのブランドの発泡酒をX財、Y財とした場合のBさんの無差別曲線ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 適切です。

ゴルフに興味があり野球には興味がないということは、Cさんは、ゴルフを観戦すると「効用(満足度)」を得られるが、野球を観戦しても「効用(満足度)」を得られないということを示しています。

X財をゴルフの観戦チケット、Y財を野球の観戦チケットとした場合、X財(ゴルフの観戦チケット)の消費が増加すると「効用(満足度)」を得られるが、Y財(野球の観戦チケット)の消費が増加しても「効用(満足度)」を得られないため、無差別曲線は以下の通りとなります。

 

 

したがって、問題文で与えられた無差別曲線は、X財をゴルフの観戦チケット、Y財を野球の観戦チケットとした場合のCさんの無差別曲線と合致するため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 不適切です。

その日の気分により、お昼におにぎりとパンのどちらかを選んで購入するということは、Dさんは、おにぎりとパンのどちらを選択しても「効用(満足度)」を得られるということを示しています。

その日の気分により、お昼におにぎりとパンのどちらかを消費するため、おにぎりを消費する日はパンを消費せず、パンを消費する日はおにぎりを消費しません

このような関係にある2つの財のことを「完全代替財」といい、X財をおにぎり、Y財をパンとした場合の無差別曲線は「右下がりの直線」となります

 

 

したがって、問題文で与えられた無差別曲線は、X財をおにぎり、Y財をパンとした場合のDさんの無差別曲線ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(ウ)です。


 

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