経済学・経済政策 ~R1-10 資源配分機能(4)余剰分析~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R1-10 資源配分機能(4)余剰分析~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

余剰分析(消費者余剰・生産者余剰・政府余剰) -リンク-

本ブログにて「余剰分析(消費者余剰・生産者余剰・政府余剰)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

余剰分析

「余剰分析」とは、財市場において資源配分の効率性を分析する手法のことをいいます。

「余剰」とは、財市場の取引により得られる「利益」のことを表しており、「余剰分析」では「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」に基づき、資源配分が効率的になっているかを確認していきます。

 

例:社会的総余剰(消費者余剰+生産者余剰)

 

消費者余剰

「消費者余剰」は、財市場で取引することにより消費者(需要者)が得られる「利益」のことをいいます。

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しているため「消費者余剰」は「需要曲線」と「価格」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 消費者余剰 = 需要曲線(右下がりの曲線)- 価格(水平の曲線)

 

生産者余剰

「生産者余剰」は、財市場で取引することにより生産者(供給者)が得られる「利益」のことをいいます。

「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しているため「生産者余剰」は「価格」と「供給曲線」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 生産者余剰 = 価格(水平の曲線)- 供給曲線(右上がりの曲線)

 

ただし、生産者が「需要曲線」と「供給曲線」の「交点E」における「生産量(XE)」を超えて生産してしまった場合、生産者が財を生産するための限界費用である「供給曲線」の方が「価格」よりも高くなってしまうため、生産すればするほど損失が多くなってしまいます

 

 

政府余剰

「政府余剰」とは、財市場に「政府が介入する場合」に政府が得られる「利益」のことをいいます。

 

余剰分析(政府が介入する場合)

「政府が介入する場合」の余剰分析についてについて説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

 

社会的総余剰(総余剰)

「社会的総余剰(総余剰)」とは、「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「余剰」の合計のことをいいます

今回は「政府余剰」について説明していないため、「消費者余剰」と「生産者余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」のイメージ図を以下に示します。

以下の図においては「三角形ABE」が「社会的総余剰(総余剰)」を表しています。

 

 

需要曲線・供給曲線のシフトによる余剰の変化

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しており、「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しています。

「財政政策」や「金融政策」などの理由により「需要曲線」や「供給曲線」がシフトした場合、「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」がどのように変化するかを確認していきます。

 

需要曲線が右方にシフトした場合

「需要曲線」が右方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が右上にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は増加します。

 

需要曲線が右シフトした場合

 

需要曲線が左方にシフトした場合

「需要曲線」が左方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が左下にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は減少します。

 

需要曲線が左シフトした場合

 

供給曲線が右方にシフトした場合

「供給曲線」が右方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が右下にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は増加します。

 

供給曲線が右シフトした場合

 

供給曲線が左方にシフトした場合

「供給曲線」が左方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が左上にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は減少します。

 

供給曲線が左シフトした場合

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第10問】

市場取引から発生する利益は、「経済余剰」といわれる。この経済余剰は、売り手にも買い手にも生じ、売り手の経済余剰は「生産者余剰」、買い手の経済余剰は「消費者余剰」と呼ばれる。

下図に基づき、需要曲線または供給曲線のシフトに伴う余剰の変化に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。なお、点Eが初期の均衡を示している。

 

 

a 所得の増加によって需要曲線が右方シフトすると、生産者余剰は減少する。
b 技術進歩によって供給曲線が右方シフトすると、消費者余剰は増加する。
c 好みの変化によって需要曲線が左方シフトすると、生産者余剰は減少する。
d 原材料費の上昇によって供給曲線が左方シフトすると、消費者余剰は増加する。

 

[解答群]

ア aとb
イ aとd
ウ bとc
エ cとd

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

需要曲線または供給曲線のシフトに伴う余剰の変化に関する知識を問う問題です。

 

「余剰分析」とは、財市場において資源配分の効率性を分析する手法のことをいいます。

「余剰」とは、財市場の取引により得られる「利益」のことを表しており、「余剰分析」では「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」に基づき、資源配分が効率的になっているかを確認していきます。

 

 

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しており、「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しています。

「財政政策」や「金融政策」などにより「需要曲線」や「供給曲線」がシフトした場合、「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」がどのように変化するかを確認していきます。

 

(a) 不適切です。

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しています

 

所得が増加すると「総需要(YD)」が増加するため「需要曲線」は右方にシフトします。

「需要曲線」が右方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が右上にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は増加します。

 

需要曲線が右シフトした場合

 

したがって、所得の増加によって需要曲線が右方シフトすると、生産者余剰は減少するのではなく増加するため、選択肢の内容は不適切です

 

(b) 適切です。

「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しています

 

技術が進歩すると生産者による財の限界費用が低減するため「供給曲線」が右方にシフトします。

「供給曲線」が右方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が右下にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は増加します。

 

供給曲線が右シフトした場合

 

したがって、技術進歩によって供給曲線が右方シフトすると、消費者余剰は増加するため、選択肢の内容は適切です

 

(c) 適切です。

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しています

 

消費者の好みが変化して他の財を消費する意欲が高まると、この財の需要量が減少してしまうため「需要曲線」が左方にシフトします。

「需要曲線」が左方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が左下にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は減少します。

 

需要曲線が左シフトした場合

 

したがって、好みの変化によって需要曲線が左方シフトすると、生産者余剰は減少するため、選択肢の内容は適切です

 

(d) 不適切です。

「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しています

 

原材料費が上昇すると生産者による財の限界費用も上昇してしまうため「供給曲線」が左方にシフトします。

「供給曲線」が左方にシフトすると、以下の図に示す通り「需要曲線」と「供給曲線」の交点が左上にシフトするため「消費者余剰」「生産者余剰」および「社会的総余剰(総余剰)」は減少します。

 

供給曲線が左シフトした場合

 

したがって、原材料費の上昇によって供給曲線が左方シフトすると、消費者余剰は増加するのではなく減少するため、選択肢の内容は不適切です

 

(b)と(c)に記述されている内容が適切であるため、答えは(ウ)です。


 

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