経済学・経済政策 ~R2-12 資源配分機能(1)余剰分析~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R2-12 資源配分機能(1)余剰分析~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

余剰分析(消費者余剰・生産者余剰・政府余剰) -リンク-

本ブログにて「余剰分析(消費者余剰・生産者余剰・政府余剰)」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

余剰分析

「余剰分析」とは、財市場において資源配分の効率性を分析する手法のことをいいます。

「余剰」とは、財市場の取引により得られる「利益」のことを表しており、「余剰分析」では「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」に基づき、資源配分が効率的になっているかを確認していきます。

 

例:社会的総余剰(消費者余剰+生産者余剰)

 

消費者余剰

「消費者余剰」は、財市場で取引することにより消費者(需要者)が得られる「利益」のことをいいます。

「需要曲線」は、消費者が財を消費するために支払ってもよいと考えている「価格」と「需要量」の組み合わせを表しているため「消費者余剰」は「需要曲線」と「価格」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 消費者余剰 = 需要曲線(右下がりの曲線)- 価格(水平の曲線)

 

生産者余剰

「生産者余剰」は、財市場で取引することにより生産者(供給者)が得られる「利益」のことをいいます。

「供給曲線」は、生産者が財を生産するための限界費用(生産量を1単位増加すると追加で発生する費用)の曲線を表しているため「生産者余剰」は「価格」と「供給曲線」の差額を表す範囲として求めることができます

 

  • 生産者余剰 = 価格(水平の曲線)- 供給曲線(右上がりの曲線)

 

ただし、生産者が「需要曲線」と「供給曲線」の「交点E」における「生産量(XE)」を超えて生産してしまった場合、生産者が財を生産するための限界費用である「供給曲線」の方が「価格」よりも高くなってしまうため、生産すればするほど損失が多くなってしまいます

 

 

政府余剰

「政府余剰」とは、財市場に「政府が介入する場合」に政府が得られる「利益」のことをいいます。

 

余剰分析(政府が介入する場合)

「政府が介入する場合」の余剰分析についてについて説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

 

社会的総余剰(総余剰)

「社会的総余剰(総余剰)」とは、「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「余剰」の合計のことをいいます

今回は「政府余剰」について説明していないため、「消費者余剰」と「生産者余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」のイメージ図を以下に示します。

以下の図においては「三角形ABE」が「社会的総余剰(総余剰)」を表しています。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第12問】

下図では、需要曲線Dと供給曲線Sの交点Eに対応する生産量Q0のもとで市場全体の経済余剰が最大化し、資源配分が効率的になる。反対に、Q0以外の生産量では、資源配分は非効率的になる。

この図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア 生産量がQ1のとき、点Eの場合と比べて、消費者余剰が三角形EFGの分だけ少なくなるので、資源配分は非効率的になる。
イ 生産量がQ1のとき、点Eの場合と比べて、生産者余剰は四角形P1FJP0の分だけ多くなるが、総余剰では三角形EFJだけ少なくなるので、資源配分は非効率的になる。
ウ 生産量がQ2のとき、点Eの場合と比べて、消費者余剰は四角形P0EIP2の分だけ多くなるが、総余剰では三角形EHIだけ少なくなるので、資源配分は非効率的になる。
エ 生産量がQ2のとき、点Eの場合と比べて、生産者余剰が四角形P0EGP2の分だけ少なくなるので、資源配分は非効率的になる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「完全競争市場」の余剰分析に関する知識を問う問題です。

 

「余剰分析」とは、財市場において資源配分の効率性を分析する手法のことをいいます。

「余剰」とは、財市場の取引により得られる「利益」のことを表しており、「余剰分析」では「消費者余剰」と「生産者余剰」と「政府余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰(総余剰)」に基づき、資源配分が効率的になっているかを確認していきます。

 

生産量がQ0の場合

生産量がQ0の場合、財の価格は生産量がQ0のときの「需要曲線」の高さ「P0」で決定します。

生産量がQ0の場合の「消費者余剰」は「需要曲線(消費者が財を消費するために支払ってもよいと考える価格)」と「価格(P0)」の差額を表す「三角形AP0E」となり、「生産者余剰」は「価格(P0)」と「供給曲線(生産者が財を生産するための限界費用)」の差額を表す「三角形P0BE」となります。

 

消費者余剰と生産者余剰(生産量:Q0)

 

(ア) 不適切です。

生産量がQ1の場合、財の価格は生産量がQ1のときの「需要曲線」の高さ「P1」で決定します。

生産量がQ1の場合の「消費者余剰」は「需要曲線(消費者が財を消費するために支払ってもよいと考える価格)」と「価格(P1)」の差額を表す「三角形AP1F」となり、生産量がQ0の場合と比べて「四角形P1P0EF」だけ少なくなります。

 

消費者余剰と生産者余剰(生産量:Q1)

 

したがって、生産量がQ1のとき、点Eの場合と比べて、消費者余剰が三角形EFGの分ではなく四角形P1P0EFだけ少なくなるため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

生産量がQ1の場合、財の価格は生産量がQ1のときの「需要曲線」の高さ「P1」で決定します。

生産量がQ1の場合の「生産者余剰」は「価格(P1)」と「供給曲線(生産者が財を生産するための限界費用)」の差額を表す「四角形P1BGF」となり、生産量がQ0の場合と比べて「四角形P1P0JF」だけ多くなり「三角形JGE」だけ少なくなります。

 

消費者余剰と生産者余剰(生産量:Q1)

 

生産量がQ1の場合の「消費者余剰」と「生産者余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰」は「四角形ABGF」となり、生産量がQ0の場合と比べて「三角形FGE」だけ少なくなります。

 

社会的総余剰(生産量:Q1)

 

したがって、生産量がQ1のとき、点Eの場合と比べて、生産者余剰は四角形P1FJP0の分だけ多くなるのではなく四角形P1P0JFの分だけ多くなり三角形JGEだけ少なくなるが、総余剰では三角形EFJではなく三角形FGEだけ少なくなるため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 適切です。

生産量がQ2の場合、財の価格は生産量がQ2のときの「需要曲線」の高さ「P2」で決定します。

生産量がQ2の場合の「消費者余剰」は「需要曲線(消費者が財を消費するために支払ってもよいと考える価格)」と「価格(P2)」の差額を表す「三角形AP2I」となり、生産量がQ0の場合と比べて「四角形P0P2IE」だけ多くなります。

 

消費者余剰(生産量:Q2)

 

生産量がQ2の場合の「生産者余剰」は「価格(P1)」と「供給曲線(生産者が財を生産するための限界費用)」の差額を表す「三角形P2BG-三角形GIH」となり、生産量がQ0の場合と比べて「四角形P0P2GE」と「三角形GIH」の分だけ少なくなります。

 

生産者余剰(生産量:Q2)

 

「三角形GIH」においては「供給曲線(生産者が財を生産するための限界費用)」の方が「価格(P1)」よりも高くなっているため、生産者としては生産すればするほど損失が発生することを表しています

 

生産量がQ2の場合の「消費者余剰」と「生産者余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰」は「三角形ABE-三角形EIH」となり、生産量がQ0の場合と比べて「三角形EIH」だけ少なくなります。

なお「三角形GIE」については「消費者余剰(利益)」と「生産者余剰(損失)」で相殺されています。

 

社会的総余剰(生産量:Q2)

 

したがって、生産量がQ2のとき、点Eの場合と比べて、消費者余剰は四角形P0EIP2(四角形P0P2IE)分だけ多くなるが、総余剰では三角形EHI(三角形EIH)だけ少なくなるため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 不適切です。

生産量がQ2の場合、財の価格は生産量がQ2のときの「需要曲線」の高さ「P2」で決定します。

生産量がQ2の場合の「生産者余剰」は「価格(P1)」と「供給曲線(生産者が財を生産するための限界費用)」の差額を表す「三角形P2BG-三角形GIH」となり、生産量がQ0の場合と比べて「四角形P0P2GE」と「三角形GIH」の分だけ少なくなります。

 

生産者余剰(生産量:Q2)

 

「三角形GIH」においては「供給曲線(生産者が財を生産するための限界費用)」の方が「価格(P1)」よりも高くなっているため、生産者としては生産すればするほど損失が発生することを表しています

 

したがって、生産量がQ2のとき、点Eの場合と比べて、生産者余剰が四角形P0EGP2の分だけ少なくなるのではなく、四角形P0P2GEと三角形GIHの分だけ少なくなるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(ウ)です。


 

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