経済学・経済政策 ~R2-8-2 主要経済理論(3)失業の分類(発生要因)~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R2-8-2 主要経済理論(3)失業の分類(発生要因)~」について説明します。

 

記事が長くなってしまったため「令和2年度 第8問」を2回に分けて解説しています。

今回は「経済学・経済政策 ~R2-8-1 主要経済指標(2)労働力調査~」の続きです。

前回は、総務省統計局が実施している「労働力調査」について説明しましたが、今回は「失業の分類(発生要因)」について説明していきます。

 

目次

経済学・経済政策 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

雇用・失業 -リンク-

本ブログにて「雇用」「失業」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

失業の分類

「失業」とは、仕事を探しているにもかかわらず、就職できない状態のことをいいます。

「失業」は、発生要因により「構造的失業」「循環的失業(需要不足失業)」「摩擦的失業」に分類されます。

 

構造的失業

「構造的失業」とは、企業が求める人材と求職者の有する特性(能力、年齢、勤務地など)が一致しない(ミスマッチ)ために生じる失業のことをいいます。

求職者は、自分の能力を活かすことができ良い待遇が得られる仕事を探そうとしますが、求職者が有している特性が、企業の求める求人情報と一致しない場合は、就職することができません。

このように、「構造的失業」とは、景気の状況などとは関係なく、求職者が希望する職種・役職・勤務地などの条件が、企業の求める条件と一致せず、就職できない場合などが該当します。

 

循環的失業(需要不足失業)

「循環的失業(需要不足失業)」とは、景気の悪化に伴う労働需要の減少によって生じる失業のことをいいます。

景気が悪くなりモノやサービスが売れなくなると、企業は生産量を減少させるため、必要な労働力も少なくなります。その結果、企業は新規雇用を抑制したり、解雇や早期退職といった形で雇用を減少させていきます。

このように、「循環的失業(需要不足失業)」とは、不況期に企業の労働需要が減少することにより、求職者が就職できなかったり、労働者が雇用調整などにより失職する場合などが該当します。

 

摩擦的失業

「摩擦的失業」とは、求職者が就職や転職をするために時間を要することで必然的に生じる失業のことをいいます。

求職者は、自分の能力を活かすことができ良い待遇が得られる仕事を探そうとしますが、条件に合致する求人企業を見つけるまでに時間がかかったり、見つけてからも採用されるまでに書類選考や面接などを受ける必要があるため、就職するまでには時間がかかってしまいます。

このように、「摩擦的失業」とは、景気の状況などとは関係なく、転職などにより一時的に仕事をしていない期間が発生する場合などが該当します。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第8問】

失業に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 完全失業率は、完全失業者が20歳以上の労働力人口に占める割合である。
イ 構造的失業は、賃金が伸縮的であれば発生しない。
ウ 循環的失業は、総供給の不足によって生じる。
エ 摩擦的失業は、労働市場が正常に機能していても発生する。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

失業に関する知識を問う問題です。

 

(ア) 不適切です。

「完全失業率」とは「労働力人口」に占める「完全失業者」の割合を示す指標であり、以下の式で定義されています。

 

 

「労働力調査(基本集計)」では「15歳以上人口」のうち「就業者(従業者/休業者)」と「完全失業者」を合わせた人を「労働力人口」といい「労働力人口」以外を「非労働力人口」といいます。

 

したがって、完全失業率は、完全失業者が20歳以上ではなく15歳以上の労働力人口に占める割合であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

「構造的失業」とは、企業が求める人材と求職者の有する特性(能力、年齢、勤務地など)が一致しない(ミスマッチ)ために生じる失業のことをいいます。

求職者は、自分の能力を活かすことができ良い待遇が得られる仕事を探そうとしますが、求職者が有している特性が、企業の求める求人情報と一致しない場合は、就職することができません。

このように、「構造的失業」とは、景気の状況などとは関係なく、求職者が希望する職種・役職・勤務地などの条件が、企業の求める条件と一致せず、就職できない場合などが該当します。

 

したがって、構造的失業は、賃金が伸縮的であっても、企業の求める条件と求職者の有する特性(能力、年齢、勤務地など)のミスマッチにより発生するため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

「循環的失業(需要不足失業)」とは、景気の悪化に伴う労働需要の減少によって生じる失業のことをいいます。

景気が悪くなりモノやサービスが売れなくなると、企業は生産量を減少させるため、必要な労働力も少なくなります。その結果、企業は新規雇用を抑制したり、解雇や早期退職といった形で雇用を減少させていきます。

このように、「循環的失業(需要不足失業)」とは、不況期に企業の労働需要が減少することにより、求職者が就職できなかったり、労働者が雇用調整などにより失職する場合などが該当します。

 

したがって、循環的失業は、総供給ではなく総需要の不足によって生じるため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 適切です。

「摩擦的失業」とは、求職者が就職や転職をするために時間を要することで必然的に生じる失業のことをいいます。

求職者は、自分の能力を活かすことができ良い待遇が得られる仕事を探そうとしますが、条件に合致する求人企業を見つけるまでに時間がかかったり、見つけてからも採用されるまでに書類選考や面接などを受ける必要があるため、就職するまでには時間がかかってしまいます。

このように、「摩擦的失業」とは、景気の状況などとは関係なく、転職などにより一時的に仕事をしていない期間が発生する場合などが該当します。

 

したがって、摩擦的失業は、労働市場が正常に機能していても発生するため、選択肢の内容は適切です

 

答えは(エ)です。


 

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