運営管理 ~R2-5 加工技術(4)立体造形技術~

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今回は、「運営管理 ~R2-5 加工技術(4)立体造形技術~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する法律

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」とは、日本における製造業の強みが、高度な「ものづくり基盤技術」を持つ中小企業と、その技術により製造された最終製品を提供する大企業等との密接な連携にあることを踏まえ、 「ものづくり基盤技術」の高度化に向けた研究開発やその成果の利用を支援することにより、製造業の「国際競争力の強化」と「新たな事業の創出」を図ることを目的として、平成18年4月に公布、6月に施行された法律です。

 

特定ものづくり基盤技術(全12分野)

「ものづくり基盤技術」の高度化に向けた支援の対象として、経済産業省が「特定ものづくり基盤技術(全12分野)」を指定しており、それぞれの基盤技術ごとに「達成すべき高度化目標」「研究の実施方法」「配慮すべき事項」などを取りまとめています。

 

  • デザイン開発に係る技術
  • 情報処理に係る技術
  • 精密加工に係る技術
  • 製造環境に係る技術
  • 接合・実装に係る技術
  • 立体造形に係る技術
  • 表面処理に係る技術
  • 機械制御に係る技術
  • 複合・新機能材料に係る技術
  • 材料製造プロセスに係る技術
  • バイオに係る技術
  • 測定計測に係る技術

 

デザイン開発に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「デザイン開発に係る技術」とは、製品の審美性のみならず、ユーザーが求める価値、使用によって得られる新たな経験の実現・経験の質的な向上等を追求することにより、製品自体の優位性に加え、製品と人、製品と社会との相互作用的な関わりも含めた価値創造に繋がる総合的な設計技術のことをいいます。

「デザイン開発に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • デザインの優劣によって製品の売上が大きく変化するなど、マーケットに直接影響を与え得る重要性の高い技術
  • 製品の形状・質感の改善や操作性・安全性の向上による個々の製品としての機能向上に加えて、製品とユーザーとの関係性や心地良さ、使用環境との調和を分析することで、製品とユーザーとの新たな関係の提案による生活スタイルの革新、製品とサービスの融合による新しいビジネスモデルの創出等、コトづくりへの波及効果がある
  • 高齢化等の社会的課題への対応に際しても重要な役割を担う

など

 

情報処理に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「情報処理に係る技術」とは、ITを活用することで製品や製造プロセスの機能や制御を実現する技術のことをいいます。

「情報処理に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 製品自身の中に組み込まれ、その動作を制御し、目的とする機能を実現するソフトウェア(組込みソフトウェア)
  • 製品を作る製造プロセスにおいて製造機器に対する動作の制御や、製造された製品の品質の検査等に用いられるソフトウェア(製造プロセス関連ソフトウェア)
  • 製品の供給に向けた研究・開発・製造、製品の運用・保守等の各種プロセスにおいて、製品の動作、機能又はデザイン等をコンピュータ内の仮想空間に実現するソフトウェア(デザインソフトウェア)
  • その他の多様なソフトウェア(その他のソフトウェア)

など

 

精密加工に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「精密加工に係る技術」とは、金属等の材料に対して機械加工・塑性加工等を施すことで精密な形状を生成する技術のことをいい、製品や部品を直接加工する工程だけでなく、加工するための精密な工具や金型を製造する工程でも利用される技術です。

「精密加工に係る技術」は、熟練技術者のノウハウや経験に依存しているものも多いため、その技術を継承して技術者の育成を図ることが必要です。さらに、三次元CAD技術の進歩によるデザインの高品位化や複雑化などの急激な変化に併せて高度化する要請に対応していくことも重要です。

「精密加工に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 金属、プラスチック、セラミックス、ゴム、木材等多岐にわたる材料を目的に応じた形状に成形加工するために、機械・工具又は金型等で圧力を加えて所要の形状・寸法に塑性変形・塑性流動させて成形する技術や金属プレス機等の加圧装置を用いて、金型形状を転写する加工技術
  • 切削工具、電気、光エネルギー等を用いて素材の一部を除去し、必要な寸法や形状を得る加工技術等、様々な技術
  • 製造業の根幹をなす基幹技術であり、特に、様々な加工の中心となる工作機械、鍛圧機械の技術レベルは、他の産業の競争力に大きな影響を与えている

など

 

製造環境に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「製造環境に係る技術」とは、製造・流通等の現場の環境(温度、湿度、圧力、清浄度等)を制御・調整するものづくり環境調整技術のことをいいます。

「製造環境に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 製造現場における、生産性向上の取組として、歩留まりの改善、故障率の低減等に寄与する清浄化やコンタミネーションの監視・制御
  • 医療機器、医薬品、食品等の分野における、品質向上・安全性確保のために、冷蔵・冷凍・空調機器・真空機器等を用いた温度、湿度、圧力、清浄度等の維持管理
  • 製造における生産性・信頼性の向上、製品の汚染防止・鮮度維持だけではなく、製品や原材料・素材の流通過程における品質管理等の付加価値の創出、製造現場における作業環境の安全性確保、廃棄処理、リサイクル

など

 

接合・実装に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「接合・実装に係る技術」とは、相変化、化学変化、塑性・弾性変形等により多様な素材・部品を接合・実装することで、力学特性、電気特性、光学特性、熱伝達特性、耐環境特性等の機能を顕現する技術のことをいいます。

「接合・実装に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 接合部の高強度化、信頼性の向上や軽量化、接合・実装の位置精度の向上
  • 接合部の機能の高付加価値化、信頼性の付与等に応える研究開発
  • 劣悪な極限環境でも強靭かつ安定な機能を維持
  • 接合・実装作業における生産性の向上
  • 製品の製造、修理、再利用、廃棄までを考えたライフサイクルコストやこれらの過程でのエネルギー使用の最小化

など

 

立体造形に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「立体造形に係る技術」とは、自由度が高い任意の立体形状を造形する技術のこと(ただし、精密加工に係る技術に含まれるものを除く)をいいます。

「立体造形に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、ゴム等様々な材料を所用の強度や性質、経済性等を担保しつつ、例えば高いエネルギー効率を実現するための複雑な翼形状や歯車形状等を高精度に作り出したり、高度化する医療機器等の用途に応じた任意の形状を高精度に作り出したりする技術全般
  • 射出成形、押出成形、圧縮成形、プレス成形等の造形方法
  • 鋳型空間に溶融金属を流し込み凝固させることで形状を得る融体加工技術
  • 金属粉末やセラミックス粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱し固化させることで目的物を得る粉体加工技術
  • 三次元データを用いて任意の形状を金型等の専用工具を使わずに直接製造できる積層造形技術

など

 

表面処理に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「表面処理に係る技術」とは、バルク(単独組織の部素材)では持ち得ない機能性を基材に付加するための機能性界面・被覆膜形成技術のことをいいます。

「表面処理に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 溶融した金属、セラミックス等の材料を基材表面に吹き付けること又は堆積させること
  • 塗料等を基材表面に塗布し硬化させること
  • 金属を溶かした水溶液中に浸せきさせること
  • 金属を電解液中にて電気分解すること
  • 酸化還元反応により表面に金属を析出又は酸化被覆膜を生成すること

など

 

機械制御に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「機械制御に係る技術」とは、力学的な動きを司る機構により動的特性を制御する動的機構技術のことをいいます。

「機械制御に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 動力利用の効率化や位置決め精度・速度の向上、振動・騒音の抑制、生産工程の自動化等を達成するために利用される

など

 

複合・新機能材料に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「複合・新機能材料に係る技術」とは、部素材の生成等に際し、新たな原材料の開発、特性の異なる複数の原材料の組合せ等により、強度、剛性、耐摩耗性、耐食性、軽量等の物理特性や耐熱性、電気特性、化学特性等の特性を向上する又は従来にない新しい機能を顕現する複合・新機能材料技術のことをいいます。

「複合・新機能材料に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 金属材料やファインセラミックス、ガラス等の無機材料、プラスチック等の有機高分子材料、繊維材料及びそれらの複合素材等の生成
  • 材料の耐久性、耐摩耗性、耐疲労性、耐熱性、電気特性、耐食性等の機能性だけではなく、抗菌・消臭や人の感性に訴えかける機能やリサイクルに配慮した設計

など

 

材料製造プロセスに係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「材料製造プロセスに係る技術」とは、目的物である化学素材、金属・セラミックス素材、繊維素材及びそれらの複合素材の収量効率化や品質劣化回避による素材の品質向上、環境負荷・エネルギー消費の低減等のために、反応条件の制御、不要物の分解・除去、断熱等による熱効率の向上等を達成する材料製造プロセス技術のことをいいます。

「材料製造プロセスに係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 原材料が持つ特性の劣化を極力抑制することで目的物である生成物の性能を向上するとともに、そのプロセスを通じて素材の強度・剛性等の特性を改善する
  • 部素材自体の機能の高度化ではなく、その生成プロセス技術の高度化により、生産性等の向上を図り、川下製造業者等に対して、低コスト化、迅速化、省資源化に配慮した部素材を供給する

など

 

バイオに係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「バイオに係る技術」とは、ヒトや微生物を含む多様な生物の持つ機能を解明・高度化することにより、医薬品や医療機器、エネルギー、食品、化学品等の製造、それらの評価・解析等の効率化及び高性能化を実現する技術のことをいいます。

「バイオに係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 生物が有する高い特異性を生かすことによって有用物質の生産を可能にし、その利用分野は、医薬品や医療機器、再生可能エネルギー、機能性食品、化成品等多岐にわたる

など

 

測定計測に係る技術

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「測定計測に係る技術」とは、適切な測定計測や信頼性の高い検査・評価等を実現するため、ニーズに応じたデータを取得する技術のことをいいます。

「測定計測に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 研究開発、製品等の製造行程や品質管理等、幅広い分野で用いられ、品質を向上させ付加価値の高い製品等を市場に提供するために利用される等、ものづくり技術を支える重要な基盤として必要不可欠な技術
  • X線、超音波、赤外線、核磁気共鳴等を用いて物体や人体の表面や内部構造を侵襲することなく検査する技術(非破壊検査)や固体、液体、気体、真空中等の物質を測定する技術、真空中で発生した荷電粒子等を利用して物質の表面分析する技術、さらに、測定結果を評価・分析・解析する技術

など

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第5問】

立体造形に係る技術に関する以下の文章において、空欄A~Cに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

立体造形に係る技術は、金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、ゴム等さまざまな材料を所要の強度や性質、経済性等を担保しつつ、例えば、高いエネルギー効率を実現するための複雑な翼形状や歯車形状等を高精度に作り出したり、高度化する医療機器等の用途に応じた任意の形状を高精度に作り出したりする技術全般を指す。

これには、鋳型空間に溶融金属を流し込み凝固させることで形状を得る[ A ]技術や、金属粉末やセラミックス粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱し固化させることで目的物を得る[ B ]技術、三次元データを用いて任意の形状を金型等の専用工具を使わずに直接製造できる[ C ]技術も含まれる。

 

[解答群]

ア A:融体加工 B:射出成型 C:研削加工
イ A:融体加工 B:粉体加工 C:積層造形
ウ A:溶接加工 B:射出成型 C:積層造形
エ A:溶接加工 B:粉体加工 C:研削加工

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「立体造形に係る技術」に関する知識を問う問題です。

 

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」とは、日本における製造業の強みが、高度な「ものづくり基盤技術」を持つ中小企業と、その技術により製造された最終製品を提供する大企業等との密接な連携にあることを踏まえ、 「ものづくり基盤技術」の高度化に向けた研究開発やその成果の利用を支援することにより、製造業の「国際競争力の強化」と「新たな事業の創出」を図ることを目的として、平成18年4月に公布、6月に施行された法律です。

「ものづくり基盤技術」の高度化に向けた支援の対象として、経済産業省が「特定ものづくり基盤技術(全12分野)」を指定しており、それぞれの基盤技術ごとに「達成すべき高度化目標」「研究の実施方法」「配慮すべき事項」などを取りまとめています。

 

「特定ものづくり基盤技術」の1つである「立体造形に係る技術」とは、自由度が高い任意の立体形状を造形する技術のこと(ただし、精密加工に係る技術に含まれるものを除く)をいいます。

「立体造形に係る技術」は、具体的には以下のような技術とされています。

 

  • 金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、ゴム等様々な材料を所用の強度や性質、経済性等を担保しつつ、例えば高いエネルギー効率を実現するための複雑な翼形状や歯車形状等を高精度に作り出したり、高度化する医療機器等の用途に応じた任意の形状を高精度に作り出したりする技術全般
  • 射出成形、押出成形、圧縮成形、プレス成形等の造形方法
  • 鋳型空間に溶融金属を流し込み凝固させることで形状を得る融体加工技術
  • 金属粉末やセラミックス粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱し固化させることで目的物を得る粉体加工技術
  • 三次元データを用いて任意の形状を金型等の専用工具を使わずに直接製造できる積層造形技術

など

 

穴埋め文章

上述の内容に基づき、問題文を穴埋めすると以下の文章となります。

 

—-

立体造形に係る技術は、金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、ゴム等さまざまな材料を所要の強度や性質、経済性等を担保しつつ、例えば、高いエネルギー効率を実現するための複雑な翼形状や歯車形状等を高精度に作り出したり、高度化する医療機器等の用途に応じた任意の形状を高精度に作り出したりする技術全般を指す。

これには、鋳型空間に溶融金属を流し込み凝固させることで形状を得る融体加工技術や、金属粉末やセラミックス粉末の集合体を融点よりも低い温度で加熱し固化させることで目的物を得る粉体加工技術、三次元データを用いて任意の形状を金型等の専用工具を使わずに直接製造できる積層造形技術も含まれる。

—-

 

「A:融体加工 B:粉体加工 C:積層造形」であるため、答えは(イ)です。


 

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