今回は、「運営管理 ~R2-44 POSシステム(8)RFM分析~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~
令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
RFM分析・FSP・マーケットバスケット分析・PI値 -リンク-
本ブログにて「RFM分析」「FSP」「マーケットバスケット分析」「PI値」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- RFM分析・FSP・マーケットバスケット分析・PI値のまとめ
- R4-39 POSシステム(10)マーケットバスケット分析
- R3-39 POSシステム(9)RFM分析・FSP
- R1-39 POSシステム(5)RFM分析・FSP
- R1-40 POSシステム(6)PI値
- H30-39 POSシステム(1)マーケットバスケット分析
- H29-40 POSシステム(2)マーケットバスケット分析
- H28-39 POSシステム(3)マーケットバスケット分析
- H27-40 POSシステム(4)RFM分析
- H27-41 その他店舗・販売管理(15)ABC分析
- H26-27 POSシステム(7)PI値
優良顧客の識別と効率的なプロモーション活動
店舗のPOSデータやECサイトの取引データなどの蓄積データ(トランザクション)から、「RFM分析」により優良顧客を識別して、「FSP」により優良顧客に対してプロモーション活動(販売促進)を展開するという流れは「既存顧客の囲い込み」に有効なプロモーション活動(販売促進)であり、二次試験の事例Ⅱの解答に使える便利なフレーズです。
RFM分析
「RFM分析」とは、店舗のPOSデータやECサイトの取引データなどの蓄積データ(トランザクション)を用いて顧客を分析する手法であり、「最新購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購買金額(Monetary)」という3つの指標で顧客をランク付けして、「優良顧客」「非優良顧客」「新規顧客」「安定顧客」「離反顧客」などの顧客セグメントに分類することをいいます。
Recency(最新購買日)
「最新購買日(Recency)」とは、顧客が最後に商品を購入したりサービスを利用した日であり、「最新購買日(Recency)」が最近であるほど優良な顧客であることを示しています。
Frequency(購買頻度)
「購買頻度(Frequency)」とは、一定期間内に顧客が商品を購入したりサービスを利用する回数であり、「購買頻度(Frequency)」が高いほど優良な顧客であることを示しています。
「購買頻度(Frequency)」が高い顧客が少ない場合は、何らかの理由で顧客が商品やサービスに満足していないことを表しており、「購買頻度(Frequency)」が高い顧客の割合が多すぎる場合は、既存顧客の囲い込みには成功しているが新規顧客を獲得できていないことを表しています。
Monetary(購買金額)
「購買金額(Monetary)」とは、顧客が購入している商品や利用しているサービスの金額の合計であり、「購買金額(Monetary)」が高いほど優良な顧客であることを示しています。
デシル分析
「デシル」とはラテン語で「10分の1」という意味であり、「デシル分析」とは「購買金額(Monetary)」で顧客を10段階にランク分けして、各ランク(デシル1~デシル10)における購買比率や売上高構成比から、売上への貢献が高い優良顧客層を分析する手法のことをいいます。
FSP(Frequent Shoppers Program)
「FSP(Frequent Shoppers Program)」とは、長期的な視点で店舗やECサイトに対する顧客のロイヤルティ(愛顧)を高めることを目的として展開される、優良顧客に対するプロモーション活動(販売促進)のことをいいます。
全ての顧客に対して、同じプロモーション活動(販売促進)を展開するのではなく、RFP分析などにより分類された顧客セグメントごとに異なるプロモーション活動(販売促進)を展開することで、効率的に店舗やECサイトの売上を拡大することができます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和2年度 第44問】
ある小売店の ID-POSデータを使った RFM分析を行う。この店舗においては、顧客1来店当たりの購買単価に大きな差がない。このため、販売戦略上、定期的に高頻度で顧客の来店を促すことが重要であると判断し、R(最近購入日)と F(平均来店間隔日数)で、以下の図のように顧客を a ~ i の 9つのグループに分ける場合を考える。
b、d、f、h、i の 5つの顧客グループから、この店舗にとって優良顧客の離反の可能性が高まっていることを注意すべきグループを選ぶとき、最も適切なものはどれか。下記の解答群から選べ。
F(平均来店間隔日数) 7日未満 7日以上30日未満 30日以上 R(最近購入日) 14日未満 a b c 14日以上90日未満 d e f 90日以上 g h i
[解答群]
ア b
イ d
ウ f
エ h
オ i
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「RFM分析」に関する知識を問う問題です。
「RFM分析」とは、店舗のPOSデータやECサイトの取引データなどの蓄積データ(トランザクション)を用いて顧客を分析する手法であり、「最新購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購買金額(Monetary)」という3つの指標で顧客をランク付けして、「優良顧客」「非優良顧客」「新規顧客」「安定顧客」「離反顧客」などの顧客セグメントに分類することをいいます。
この店舗にとって、優良顧客の離反の可能性が高まっていることを注意すべきグループを選んでいきます。
まずは、この店舗において「優良顧客」に分類される顧客グループを選んでいきます。
この店舗では、販売戦略上、定期的に高頻度で顧客の来店を促すことが重要であると判断しているため、「優良顧客」は平均来店間隔日数が短い顧客グループであると考えることができます。
したがって、「R(最近購入日)」と 「F(平均来店間隔日数)」の表において、「F(平均来店間隔日数)」が「7日未満」の「顧客グループ」である「 a/d/g 」が、この店舗における「優良顧客」に分類されることとなります。
続いて、「優良顧客」に分類される「顧客グループ」の中で、離反の可能性が高まっている顧客グループを選んでいきます。
来店していた顧客が、他の店舗に鞍替えするなどの理由で来店しなくなることを「離反」というため、最近来店していない「顧客グループ」は「離反した可能性が高い」もしくは「離反する可能性が高い」と考えることができます。
「離反」という観点で「優良顧客」を「R(最近購入日)」で分類すると以下の通りとなります。
- 顧客グループ( a )-「R(最近購入日)」が14日未満
優良顧客であり、離反の可能性が低い顧客グループ - 顧客グループ( d )-「R(最近購入日)」が14日以上90日未満
優良顧客であるが、離反の可能性が高まっている顧客グループ - 顧客グループ( g )-「R(最近購入日)」が90日以上
優良顧客であったが、離反してしまった可能性が高い顧客グループ
したがって、この店舗にとって優良顧客の離反の可能性が高まっていることを注意すべきグループは、顧客グループ( d )です。
答えは(イ)です。
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