財務・会計 ~R2-10 製造原価の構造(8)直接労務費~

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今回は、「財務・会計 ~R2-10 製造原価の構造(8)直接労務費~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

製造原価の構造 -リンク-

「製造原価の構造」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

 

製造原価の構造

「製造原価」の基本的な考え方は「原価計算基準」に定義されています。

「原価計算基準」は、昭和37年(1962年)に大蔵省企業会計審議会から公表された会計基準であり「企業会計原則」の一環をなす原価計算の実践規範とされています。

 

製造原価の分類

「製造原価」は、「費用の発生形態」「製品との関連性」「総合原価計算の場合」などの観点から、分類方法が異なります。

 

費用の発生形態による分類

「製造原価」は、費用の発生形態により「材料費」「労務費」「経費」に分類されます。
さらに、「材料費」「労務費」「経費」は、「直接○○費」と「間接○○費」に分類されます。

 

分類 項目
材料費 直接材料費
間接材料費
労務費 直接労務費
間接労務費
経費 直接経費
間接経費

 

製品との関連性による分類

「製造原価」は、製品との関連性により「製造直接費」「製造間接費」に分類されます。
さらに、「製造直接費」は「直接材料費」「直接労務費」「直接経費」に、「製造間接費」は「間接材料費」「間接労務費」「間接経費」に分類されます。

 

分類 項目 説明
製造直接費 直接材料費 どの製品の製造にかかった費用なのかを判別できる費用
直接労務費
直接経費
製造間接費 間接材料費 どの製品の製造にかかった費用なのかを判別できない費用
間接労務費
間接経費

 

総合原価計算の場合による分類

「総合原価計算」の場合は「直接材料費」「加工費」に分類されます。
「加工費」とは、製品の「加工進捗度」に比例して発生する「製造原価」であり、「直接材料費」以外の「製造原価」は全て「加工費」に分類されます。

 

分類 項目
直接材料費 直接材料費
加工費 直接労務費
直接経費
間接材料費
間接労務費
間接経費

 

「総合原価計算」については、以下のページで詳細に説明していますので、アクセスしてみてください。

 

 

 

総合原価計算の製造原価については、上記以外に、「素価(直接材料費+直接労務費)」という分類が「平成20年度 第9問」に出題されましたが、「素価の捉え方によっては複数の選択肢が正解となり得る」という結論になり問題不適切と判断された経緯があるため、今後出題されることはないと推測されます。あくまで推測ですが。

 

材料費・労務費・経費の内訳

「製造原価」は、費用の発生形態により「材料費」「労務費」「経費」に分類されます。
さらに、「材料費」「労務費」「経費」は、「直接○○費」と「間接○○費」に分類されます。

 

材料費

「製造原価」を構成する「材料費」の内訳を以下に示します。

 

分類 項目 具体例
直接材料費 主要材料費 製品の主要な構成物となる物品の消費額(素材費、原料費に分類される)
買入部品費 製品の構成部品となる外部から購入した物品の消費額
間接材料費 補助材料費 製品の生産を間接的の補助する物品のうち受払記録が必要な物品の消費額
工場消耗品費 製品の生産を間接的の補助する物品のうち受払記録が必要でない物品の消費額
消耗工具器具備品費 製造に必要な工具、器具、備品の消費額

 

労務費

「製造原価」を構成する「労務費」の内訳を以下に示します。
「直接労務費」に分類されるのは、直接工による直接作業による費用のみに限定されます。

 

分類 項目 具体例
直接労務費 賃金(直接作業) 直接工の直接作業賃金
間接労務費 賃金(間接作業) 直接工の直接作業以外の賃金と間接工の賃金
給料 工場の監督者や事務職員の給与
雑給 パートタイマーやアルバイトの給与
従業員賞与・手当 工員や職員の賞与、家族手当、住宅手当、通勤手当など
法定福利費 工員や職員の健康保険、厚生保険に基づく社会保険料
退職給付費用 退職給付引当金繰入額

 

経費

「製造原価」を構成する「経費」の内訳を以下に示します。
「材料費」や「労務費」に該当しない費用は全て「経費」に分類され、「直接経費」分類されるのは外部の業者に材料の加工を委託した費用のみに限定されます。

 

分類 項目 具体例
直接経費 外注加工賃 外部の業者に材料の加工を委託した費用
間接経費 その他 福利施設負担額、厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕費、光熱費などの諸経費

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第10問】

以下の資料に基づき、当月の直接労務費の金額として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、予定賃率を用いて賃金消費額を計算している。

 

【資 料】

  1. 本年度の直接工の予定就業時間は12,000時間、直接工賃金予算額は14,400,000円である。
  2. 当月の直接工の直接作業時間は1,100時間、間接作業時間は100時間、手待時間は200時間であった。

 

[解答群]

ア 1,200,000円
イ 1,320,000円
ウ 1,440,000円
エ 1,680,000円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

直接工の年間予算計画と当月の作業実績から、当月の直接労務費を算出していきます。

 

予定賃率(直接工)

本年度の「予定就業時間」と「直接工賃金予算額」から、直接工の「1時間当たりの賃金(予定賃率)」を算出します。

 

  • 予定賃率(直接工)= 直接工賃金予算額 ÷ 予定就業時間
    = 14,400,000 円 ÷ 12,000時間 = 1,200円/時間

 

直接工の作業時間内訳

「製造原価」を構成する「労務費」の内訳を以下に示します。
「直接労務費」に分類されるのは、直接工による直接作業による費用のみに限定されます。

 

分類 項目 具体例
直接労務費 賃金(直接作業) 直接工の直接作業賃金
間接労務費 賃金(間接作業) 直接工の直接作業以外の賃金と間接工の賃金
給料 工場の監督者や事務職員の給与
雑給 パートタイマーやアルバイトの給与
従業員賞与・手当 工員や職員の賞与、家族手当、住宅手当、通勤手当など
法定福利費 工員や職員の健康保険、厚生保険に基づく社会保険料
退職給付費用 退職給付引当金繰入額

 

直接工の作業時間内訳は「直接作業時間」「間接作業時間」「手待時間」ですが、「直接作業」は「直接労務費」に、「間接作業」と「手待」は「間接労務費」に分類されます。

 

分類 直接工の作業時間
直接労務費 直接作業時間 1,100時間
間接労務費 間接作業時間 100時間
手待時間 200時間

 

直接労務費

「予定賃率(直接工)」に「直接作業時間」を乗じて「直接労務費」を計算します。

 

  • 直接労務費 = 予定賃率(直接工)× 直接作業時間
    1,200円/時間 × 1,100時間1,320,000円

 

答えは(イ)です。


 

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