今回は、「運営管理 ~H26-10 日程計画(5)PERT~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成26年度一次試験問題一覧~
平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
- 運営管理 ~平成26年度一次試験問題一覧~
日程計画 -リンク-
本ブログにて、日程計画の「PERT」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)
「PERT」とは、順序関係が存在する複数の作業(アクティビティ)で構成されるプロジェクトを効率的に完了するためのスケジューリング手法です。
「PERT」では、プロジェクトの日程計画を「丸」と「矢印」で構成される「アローダイヤグラム」で表して、プロジェクト全体を完了させるために必要な最短の期間を算出していきます。
「アローダイヤグラム」は「○(ノード・結合点・イベント)」と「→(アクティビティ)」で構成されます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成26年度 第10問】
受注したプロジェクトを遂行するために必要な作業の先行関係と所要日数が以下の表に与えられている。1日の作業遅れがプロジェクトの所要日数に影響する作業の数を、下記の解答群から選べ。
作業名 先行作業 所要日数 A - 5 B A 3 C A 4 D B 5 E B,C 3 F C 5 G D,E,F 4
[解答群]
ア 2個
イ 3個
ウ 4個
エ 5個
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
アローダイヤグラムの作成に関する知識を問う問題です。
アローダイヤグラムの作成
「アローダイヤグラム」は理解しているつもりでも、実際に作ってみると思った以上に難しくて作れなかったりすることもあるので、今回のプロジェクトに関する「アローダイヤグラム」を一から順に作成しながら説明していきます。
作業の相関図を作成する
複雑なプロジェクトにおいて、いきなり「アローダイヤグラム」を作成することは難しいため、まずは各作業の順序関係を把握するために相関図を作成します。
問題文で与えられた「アクティビティ(作業)」の前後関係を書き出すと以下の通りとなります。
- 「作業B,C」は「作業A」が完了してから着手します。
- 「作業D」は「作業B」が完了してから着手します。
- 「作業E」は「作業B,C」が完了してから着手します。
- 「作業F」は「作業C」が完了してから着手します。
- 「作業G」は「作業D,E,F」が完了してから着手します。
これらの前後関係に基づき、このプロジェクトにおける各作業の相関図を作成します。
この時点では「○」が「アクティビティ(作業)」となっていることに注意してください。
各作業を「○」から「→」に移動する
「アローダイヤグラム」に変換するために、作業の相関図において「○」で表現した「アクティビティ(作業)」を「→」に置き換えていきます。
先行作業が一つである「アクティビティ(作業)」の場合は左の「→」に、先行作業が複数である「アクティビティ(作業)」の場合は右の「→」に移動します。
このプロジェクトでは「作業E」と「作業G」は右の「→」に移動して、それ以外の作業は左の「→」に移動します。
この時点で「→」は「アクティビティ(作業)」を「○」は「ノード」を表すように変換されます。
不要な「○(ノード)」を削除する
以下の構成となっている「○(ノード)」は不要なため、削除していきます。
今回のプロジェクトでは、以下の「○」を削除することができます。
- 「ノード3」⇒「作業D」⇒「ノード5」⇒「 」⇒「ノード8」
- 「ノード4」⇒「作業F」⇒「ノード7」⇒「 」⇒「ノード8」
ダミー作業を特定する。
作業が割り当てられていない直線が「ダミー作業」です。
形がいびつになったので、並び替えて「○」の番号を順番通りに書き換えます。
ダミー作業
「ダミー作業」は「アクティビティ(作業)」の順序関係を表示するために必要なものであり「作業期間:0」としてカウントされる「アクティビティ(作業)」のことをいいます。
EPSTとLPSTを追加する。
上記の図に「アクティビティ(作業)」の作業日数を追記して、「EPST(最早着手日)」と「LPST(最遅着手日)」の情報を追加していきます。
EPST(最早着手日)
「EPST(最早着手日)」とは「アクティビティ(作業)」に最も早く開始できる日を表しています。
例えば、プロジェクトの開始日から「ノード6」に到達するには「A→B→D:13日」の経路と「A→B→ダミー→E:11日」の経路と「A→C→ダミー→E:12日」の経路と「A→C→F:14日」の4つの経路がありますが、「G」を実行するには「D,E,F」の「アクティビティ(作業)」を完了しておく必要があるため「G」に着手できる「EPST(最早着手日)」は「14日」となります。
LPST(最遅着手日)
「LPST(最遅着手日)」とは「アクティビティ(作業)」に最も遅く着手できる日のことであり、プロジェクトを最短で終了させるために、少なくともこの日までに作業着手しなければならない日を表しています。
例えば、プロジェクトの終了日から逆算して「ノード2」に到達するには「G→F→C:13日」の経路と「G→E→ダミー→C:11日」の経路と「G→E→ダミー→B:10日」と「G→D→B:12日」の4つの経路がありますが、終了日までにプロジェクトを完了させるためには遅くとも「13日前」までに「C」の「アクティビティ(作業)」に着手する必要があるため「ノード2」の「LPST(最遅着手日)」は「5日」となります。
クリティカルパスを特定する。
開始から完了までの複数の経路の中で、最長の経路を「クリティカルパス」といいます。
「クリティカルパス」は「EPST(最早着手日)」と「LPST(最遅着手日)」の差が無いノード(余裕0日)を結合して構成されます。
「クリティカルパス」は、プロジェクトの開始から完了までの複数の経路の中で最長の経路であり、1日でも作業が遅れるとプロジェクト全体の所要日数に影響を与えます。
したがって、1日の作業遅れがプロジェクトの所要日数に影響する作業は、「クリティカルパス」上に存在する「A」「C」「F」「G」の「4つ」です。
答えは(ウ)です。
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