運営管理 ~R1-20 設備管理(1)TPM~

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今回は、「運営管理 ~R1-20 設備管理(1)TPM~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

設備総合効率 -リンク-

本ブログにて「設備総合効率」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

TPM(Total Productive Maintenance)

「TPM(Total Productive Maintenance)」とは、生産システム上に存在するあらゆるロスをゼロにすること(生産効率の極限追求)を目標として、組織的に生産性の向上を図り収益の確保を実現する活動のことをいい、「全員参加の生産保全」と呼ばれています。

 

TPMの定義

「TPM」は、生産システム効率化の極限追及(総合的効率化)とする企業の体質づくりを目標にして、生産システムのライフサイクルを対象とし、”災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”などあらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築し、生産部門をはじめ、開発、営業、管理などの全部門にわたって、トップから第一線従業員に至るまで全員が参加し、重複小集団活動によって、ロス・ゼロを達成する生産保全活動と定義されています。

 

TPM

a)生産システム効率化の極限追及(総合的効率化)とする企業の体質づくりを目標にして、b)生産システムのライフサイクルを対象とし、”災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”などあらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築し、c)生産部門をはじめ、開発、営業、管理などの全部門にわたって、d)トップから第一線従業員に至るまで全員が参加し、e)重複小集団活動によって、ロス・ゼロを達成する生産保全活動(JISZ8141-6114)

 

重複小集団活動

「重複小集団活動」とは、社長をトップとした各階層(職制)ごとの小集団をピラミッド型に編成することによって、全社員が参画する小集団活動のことをいいます。

リーダーが上下の小集団を連結する役割を果たすため、下位の小集団を構成する従業員にまでトップの方針や目標を浸透させることができます。

 

重複小集団活動イメージ

「重複小集団活動」のイメージを以下に示します。
例えば、係長は課長をリーダーとした小集団のメンバーであり、班長をメンバーとした小集団のリーダーとして活動します。

 

 

効率化を阻害する16大ロス

生産システムの効率化を阻害するロスは、全部で16種類あり、「設備」「設備操業度」「人」「原単位」に分類されます。

なお、「原単位」とは、生産物1個あるいは一定量の生産物を製造するために必要とされる原材料、燃料、あるいは所要時間などの数量のことをいいます。

 

設備の効率化を阻害する7大ロス

  • 停止ロス
    • 故障停止
    • 段取り・調整
    • 刃具交換
    • 立ち上がり
  • 性能ロス
    • チョコ停・空転
    • 速度低下
  • 不良ロス
    • 不良・手直し

 

設備操業度を阻害するロス

  • SD(シャットダウン)ロス

 

人の効率化を阻害する5大ロス

  • 管理ロス
  • 動作ロス
  • 編成ロス
  • 自動化置換ロス
  • 測定調整ロス

 

原単位の効率化を阻害する3大ロス

  • 歩留まりロス
  • 型・治工具ロス
  • エネルギーロス

 

設備総合効率

「設備総合効率」とは、生産設備の稼働効率を示す指標であり、その数値が高いほど生産設備の稼働効率が優れていることを表しています。

「設備総合効率」は「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つの指標から構成されています。

 

  • 時間稼働率
    設備を利用できる時間(負荷時間)のうち、設備が稼働していた時間(稼働時間)の割合を表す指標
  • 性能稼働率
    設備が稼働していた時間(稼働時間)のうち、実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)の割合を表す指標
  • 良品率
    実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)のうち、良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)の割合を表す指標

 

 

時間の定義

  • 負荷時間
    設備を利用できる時間(操業時間からあらかじめ計画された設備停止時間を控除して算出)
  • 稼働時間
    設備が稼働していた時間(負荷時間から計画外の設備停止時間を控除して算出)
  • 正味稼働時間
    実際に製品を加工した稼働時間(稼働時間からチョコ停・空転・速度低下などにより製品を加工していなかった時間を控除して算出)
  • 価値稼働時間
    良品を生産した稼働時間(正味稼働時間から不適合品の加工に要した時間を控除して算出)

 

設備総合効率の算出方法

「設備総合効率」は「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つの指標を乗じて算出します。

 

 

「設備総合効率」は「設備を利用できる時間(負荷時間)」に対する「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」の割合を表しているため、以下の公式により算出することもできます。

「価値稼働時間」は良品を生産した稼働時間であるため、製品が産出される時間間隔である「基準サイクルタイム」に「良品数量」を乗じて算出します。

 

 

「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の算出方法は後述しますが、上述した2つの公式を変換する流れを以下に示します。

 

 

設備の効率化を阻害する7大ロスとの関係

生産の効率化を阻害するロスとして全部で16種類が定義されており、そのうち「設備の効率化を阻害するロス」は7種類とされています。

「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」と「設備の効率化を阻害する7大ロス」の関係を以下に示します。

 

 

時間稼働率

「時間稼働率」とは「設備を利用できる時間(負荷時間)」のうち「設備が稼働していた時間(稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「設備が稼働していた時間(稼働時間)」は「設備を利用できる時間(負荷時間)」から「計画外の設備停止時間(停止ロス)」を控除した時間を表しています。

 

 

性能稼働率

「性能稼働率」とは「設備が稼働していた時間(稼働時間)」のうち「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」は「設備が稼働していた時間(稼働時間)」から「チョコ停・空転・速度低下などにより設備が稼働してはいたが製品を加工していなかった時間(性能ロス)」を控除した時間を表しています。

「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」は、製品1個を加工するための時間である「基準サイクルタイム」に製品の「加工数量」を乗じて算出します。

 

 

良品率

「良品率」とは「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」のうち「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」は「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」から「不適合品の加工に要した時間(不良ロス)」を控除した時間を表しています。

「良品率」は、時間を用いて算出するのではなく、「加工数量」に対する「良品数量(加工数量 - 不良数量)」の割合として算出します。

 

 

不適合品率

「不適合品」とは、既定の要求事項を満たしていない製品(不良品)のことをいいます。

「不適合品率」は、「加工数量」に対する既定の要求事項を満たしていないと判断された製品(不良品)の数である「不良数量」の割合として算出します。

 

 

「良品率」と「不適合品率」には以下の関係が成立します。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第20問】

TPMに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

a 製品のライフサイクル全体を対象とし、災害ロス・不良ロス・故障ロス等あらゆるロスを未然に防止するしくみを構築する。

b 設備効率化を阻害している7大ロスを時間的ロスの面から検討し、設備の使用率の度合いを表した指標が設備総合効率である。

c 経営トップから現場の作業員まで全員参加の重複小集団活動を行うことが特徴で、職制にとらわれない自主的なサークル活動である。

d ロスを発生させないために行う活動の1つが計画保全活動で、設備が停止した場合の損失影響度を複数の角度から設備評価基準に基づいて評価し、最適保全方式を決める。

 

[解答群]

ア aとb
イ aとc
ウ aとd
エ bとc
オ bとd

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「TPM(Total Productive Maintenance)」に関する知識を問う問題です。

 

「TPM(Total Productive Maintenance)」とは、生産システム上に存在するあらゆるロスをゼロにすること(生産効率の極限追求)を目標として、組織的に生産性の向上を図り収益の確保を実現する活動のことをいい、「全員参加の生産保全」と呼ばれています。

 

(a) 不適切です。

「TPM」は、生産システム効率化の極限追及(総合的効率化)とする企業の体質づくりを目標にして、生産システムのライフサイクルを対象とし、”災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”などあらゆるロスを未然防止する仕組みを現場現物で構築し、生産部門をはじめ、開発、営業、管理などの全部門にわたって、トップから第一線従業員に至るまで全員が参加し、重複小集団活動によって、ロス・ゼロを達成する生産保全活動と定義されています。

 

したがって、TPMでは、製品のライフサイクル全体を対象とし、災害ロス・不良ロス・故障ロスなどあらゆるロスを未然防止する仕組みを構築するのではなく、生産システムのライフサイクルを対象とし、”災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ”などあらゆるロスを未然防止する仕組みを構築するため、選択肢の内容は不適切です

 

(b) 適切です。

「設備総合効率」とは、生産設備の稼働効率を示す指標であり、その数値が高いほど生産設備の稼働効率が優れていることを表しています。

「設備総合効率」は「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つの指標を乗じて算出します。

 

 

生産の効率化を阻害するロスとして全部で16種類が定義されており、そのうち「設備の効率化を阻害するロス」は7種類とされています。

「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」と「設備の効率化を阻害する7大ロス」の関係を以下に示します。

 

 

「設備総合効率」は「設備を利用できる時間(負荷時間)」に対する「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」の割合を表しています。

 

 

したがって、設備総合効率とは、設備効率化を阻害している7大ロスを時間的ロスの面から検討し、設備の使用率の度合いを表した指標であるため、選択肢の内容は適切です

 

(c) 不適切です。

「重複小集団活動」とは、社長をトップとした各階層(職制)ごとの小集団をピラミッド型に編成することによって、全社員が参画する小集団活動のことをいいます。

リーダーが上下の小集団を連結する役割を果たすため、下位の小集団を構成する従業員にまでトップの方針や目標を浸透させることができます。

 

 

したがって、TPMは、経営トップから現場の作業員まで全員参加の重複小集団活動を行うことが特徴ですが、重複小集団活動とは職制にとらわれない自主的なサークル活動ではなく、社長をトップとした各階層(職制)ごとの小集団をピラミッド型に編成することによって、全社員が参画する小集団活動であるため、選択肢の内容は不適切です

 

(d) 適切です。

「保全」とは、計画、点検、検査、調整、修理、取替といった観点により、設備のライフサイクル全般において故障を排除すること、および設備の技術的側面を正常・良好な状態に保ち、効率的な生産活動を維持するための活動のことをいいます。

「計画保全活動」とは、設備の技術的側面を正常・良好な状態に保ち、効率的な生産活動を維持するための保全体制を構築することをいいます。

専門の保全部門が「計画保全活動」の役割を担い、現場の作業者による「自主保全活動」の技術力向上を支援したり、最適な保全方式を検討したり、予知保全体制を構築するなど、自社の保全のあるべき姿を追求していきます。

 

したがって、「計画保全活動」はロスを発生させないために行う活動の1つであり、設備が停止した場合の損失影響度を複数の角度から設備評価基準に基づいて評価し、最適保全方式を決めることであるため、選択肢の内容は適切です

 

「選択肢 b」と「選択肢 d」の内容が適切であるため、答えは(オ)です。


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