運営管理 ~R1-19 その他生産管理(3)現価係数~

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今回は、「運営管理 ~R1-19 その他生産管理(3)現価係数~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

ライフプランニングで使用する係数一覧

「生きがい」「健康」「経済」の3領域に跨る「暮らし方」としてのライフプランを実現するために、住宅資金、教育資金、老後資金など、様々なライフイベント(将来の予定)を考慮した資金計画を立てて管理していくライフプランニング領域において使用する係数の一覧を以下に示します。

なお、以下に示す係数は、ファイナンシャル・プランナーの試験においてよく出題される内容です。

 

係数 説明
現価係数 貨幣の将来価値から現在価値(現価)を算出するための係数
年金現価係数 今後継続して毎年一定の収入(支出)がある場合の収入総額(支出総額)の現在価値(現価)を算出するための係数
資本回収係数 収入総額(支出総額)の現在価値(現価)を実現するために必要な毎年の一定支出(収入)を算出するための係数
終価係数 貨幣の現在価値から将来価値(終価)を算出するための係数
年金終価係数 今後継続して毎年一定の収入(支出)がある場合の収入総額(支出総額)の将来価値(終価)を算出するための係数
減債基金係数 目標とする収入総額(支出総額)の将来価値(終値)を実現するために必要な毎年の一定支出(収入)を算出するための係数

 

本ページでは、中小企業診断士の試験において出題される「現価係数」「年金現価係数」と、今回の問題を解くために使用する「資本回収係数」について説明を行います。

 

割引現在価値

例えば、100万円の現金を10%の利息が付く銀行に預けると1年後には110万円になります。

つまり、10%の利息が付くことを前提に考えれば、1年後の110万円は、現時点の100万円と同じ価値であると考えることができます。

この場合、現時点での貨幣の価値(100万円)を「現在価値」、1年後の貨幣の価値(110万円)を「将来価値」といい、利息(10%)を「割引率」といいます。

 

ちなみに、100万円の現金を10%の利息が付く銀行に5年間預けると以下のようになります。

 

 

逆に、「将来価値」から「現在価値」を求める場合は以下のようになります。

 

 

上記のように、「将来価値」を「割引率」で割り引いて求めた「現在価値」のことを「割引現在価値」といいます。

 

[例題1]

割引率が10%とした場合、5年後に手に入る「1,610,510円」の割引現在価値を求めよ。

[解答]

割引現在価値 = 1,610,510円÷1.1÷1.1÷1.1÷1.1÷1.1 = 1,000,000円

 

複利現価係数(現価係数)

「複利現価係数(現価係数)」とは「将来価値」から「現在価値」を求めるための係数です。

 

 

「複利現価係数(現価係数)」は、以下の計算式により算出することができます。

 

 

「割引率」が「10%」の場合の「複利現価係数(現価係数)」は以下の通りです。

 

  • 1年:1÷1.1 = 0.9090…
  • 2年:1÷1.1² = 0.8264…
  • 3年:1÷1.1³ = 0.7513…
  • 4年:1÷1.1⁴ = 0.6830…
  • 5年:1÷1.1⁵ = 0.6209…

 

[例題2]

割引率が10%とした場合、複利現価係数(現価係数)を用いて5年後に手に入る「1,610,510円」の割引現在価値を求めよ。

1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
複利現価係数
(現価係数)
0.9091 0.8264 0.7513 0.6830 0.6209

 

[解答]

割引現在価値 = 1,610,510円 × 0.6209 ≒ 999,966円(四捨五入)

(※)[例題1]と同じ金額を使った問題ですが、複利現価係数(現価係数)の小数点以下第5位以下が切り捨てられているので100万円にはなりません。

 

年金現価係数

「年金現価係数」とは、今後継続して一定の収入(支出)がある場合の収入総額(支出総額)の割引現在価値を求める係数です。

 

 

「割引率」が「10%」の場合の「年金現価係数」は以下の通りです。

 

  • 1年:(1÷1.1) = 0.9090…
  • 2年:(1÷1.1)+(1÷1.1²)= 1.7355…
  • 3年:(1÷1.1)+(1÷1.1²)+(1÷1.1³)= 2.4868…
  • 4年:(1÷1.1)+(1÷1.1²)+(1÷1.1³)+(1÷1.1⁴)= 3.1698…
  • 5年:(1÷1.1)+(1÷1.1²)+(1÷1.1³)+(1÷1.1⁴)+(1÷1.1⁵)= 3.7907…

 

[例題3]

割引率が10%とした場合、今後5年間継続して「1,000,000円」を入手した場合の総収入額の割引現在価値を求めよ。

1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
年金現価係数 0.9091 1.7355 2.4868 3.1698 3.7907

 

[解答]

割引現在価値 = 1,000,000円 × 3.7907 = 3,790,700円

 

資本回収係数

「資本回収係数」とは、収入総額(支出総額)の現在価値(現価)を実現するために必要な毎年の一定支出(収入)を求める係数です。

表現が分かりにくいですが、中小企業診断士試験においては投資金額を回収するために必要な毎年の一定利益額を算出するために使用されると理解しておけばよいかと思います。

 

 

「資本回収係数」は、以下の計算式により算出することができます。

 

 

「割引率」が「10%」の場合の「資本回収係数」は以下の通りです。

 

  • 1年:( 0.1 × 1.1 )÷( 1.1- 1 ) = 1.1000
  • 2年:( 0.1 × 1.1² )÷( 1.1² - 1 )= 0.5761…
  • 3年:( 0.1 × 1.1³ )÷( 1.1³ - 1 )= 0.4021…
  • 4年:( 0.1 × 1.1⁴ )÷( 1.1⁴ - 1 )= 0.3154…
  • 5年:( 0.1 × 1.1⁵ )÷( 1.1⁵ - 1 )= 0.2638…

 

[例題4]

割引率が10%とした場合、プロジェクトの立ち上げにかかる投資金額「1,000,000円」を5年間で回収するために必要な1年当たりの利益額を求めよ。

1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
資本回収係数 1.1000 0.5761 0.4021 0.3154 0.2638

 

[解答]

年当たり利益額 = 1,000,000円 × 0.2638 = 263,800円

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第19問】

ある工程を自動化するためには、設備の改良に1,000万円を投資する必要がある。この自動化投資を6年で回収するために必要な最小の原価低減額(万円/年)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。計算利率を8%とし、必要ならば下表の換算係数を使うこと。

 

表 計算利率8%の換算係数

現価係数 資本回収
係数
年金終価
係数
1 0.93 1.08 1.00
2 0.86 0.56 2.08
3 0.79 0.39 3.25
4 0.74 0.30 4.51
5 0.68 0.25 5.87
6 0.63 0.22 7.34
7 0.58 0.19 8.92

 

[解答群]

ア 136
イ 167
ウ 190
エ 220

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

工程の自動化に必要な設備改良の投資金額「1,000万円」を、6年で回収するために必要な最小の「原価低減額」を算出していきます。

 

解答例1(資本回収係数を使用した場合)

「資本回収係数」とは、収入総額(支出総額)の現在価値(現価)を実現するために必要な毎年の一定支出(収入)を求める係数です。

表現が分かりにくいですが、中小企業診断士試験においては投資金額を回収するために必要な毎年の一定利益額を算出するために使用されると理解しておけばよいかと思います。

 

 

問題で求められている「自動化投資を6年で回収するために必要な最小の原価低減額(万円/年)」とは、「投資金額を回収するために必要な毎年の一定利益額」のことを示しているため、資本回収係数を用いて解答を算出します。

 

  • 年間の原価低減額
    = 設備の改良に必要な投資金額 × 資本回収係数(6年)
    = 1,000万円 × 0.22 = 220万円

 

答えは(エ)です。


 

解答例2(現価係数を使用した場合)

「資本回収係数」「年金終価係数」といった聞き慣れない係数が登場しますが、「財務・会計」や「事例Ⅳ」の「設備投資の経済性計算」で使い慣れた「現価係数(複利現価係数)」を使用して解答するケースについて説明します。(事例Ⅳ ~③設備投資の経済性計算~

 

原価低減額の6年総額の現在価値

「年間の原価低減額」を「X」とした場合の「原価低減額の6年総額の現在価値」を算出するイメージを以下に示します。

 

 

自動化投資を回収するための条件式

設備の改良に投資した1,000万円を6年で回収するために必要な最小の原価低減額を求めるためには、以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 原価低減額の6年総額の現在価値 ≧ 設備の改良に必要な投資金額

 

年間の原価低減額の算出

実際の数値を代入して「年間の原価低減額」を算出します。

 

  • 4.63 × 年間の原価低減額 ≧ 1,000万円
  • 年間の原価低減額 ≧ 215.982…万円

 

したがって、年間の原価低減額が「215.982…万円」以上であれば、1,000万円の自動化投資を6年で回収することができます

 

選択肢の中で、自動化投資を6年で回収するために必要な年間の原価低減額の条件を満たしているのは、選択肢(エ)の「220万円/年」だけということになります。

 

答えは(エ)です。


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