事例Ⅳ ~令和元年度 解答例(9)(配送業務の子会社化)~

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令和元年度の事例Ⅳの「第4問(設問1)」に関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

目次

事例Ⅳ ~令和元年度試験問題一覧~

令和元年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第4問(設問1)

第4問(配点20点)

 

(設問1)

D社は建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としている。その(a)メリットと(b)デメリットを、それぞれ30字以内で説明せよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方(第4問 設問1)

建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としていることに関するメリットとデメリットについて問われています。

「事例Ⅰ」の要素が強い問題ですが「事例Ⅳ」の試験なので、配送業務の子会社化が業績に与えるメリットとデメリットを中心に考えていきます。

 

与件文における子会社に関する記載内容

与件文に記載されている子会社の内容を以下に示します。

 

  • 同社(D社)は、連結子会社(D社が100%出資している)を有しているため、連結財務諸表を作成している。
  • 連結子会社は建材事業部のための配送を専門に担当している。
  • 建材配送の小口化による配送コストの増大が恒常的な収益性の低下を招いている。

 

整理すると「連結子会社は、建材事業部のための配送業務を専門に担当しているが、建材配送の小口化によって配送コストが増大しており、恒常的な収益性の低下を招いている。」と記載されています。

 

子会社化による一般的なメリット

配送業務を分離して連結子会社とすることの一般的なメリットを列挙します。

 

意思決定と実行の迅速化

親会社が、子会社の経営上の支配力や実質的な決定権を持っており経営をコントロールすることができるため、親会社の経営方針の変更などを子会社に迅速に反映して実行することができます。

 

責任の明確化

親会社と子会社の間で事業の責任範囲が分離され、子会社の配送業務に関する責任が明確化されるため、子会社の業績(=配送業務の業務成績)を明確に管理することができます。

 

QCDに対する意識

子会社の業績(=配送業務の業務成績)が明確に管理されるため、子会社における配送業務のQCDに対する意識が高まり、配送サービスが改善されることを期待できます。

 

専門性の向上

子会社の事業範囲は配送業務に特化しているため、配送業務の専門性を高めたり、ノウハウを蓄積することができます。高い専門性や蓄積したノウハウを活用した配送サービスの更なる改善や、親会社以外の一般荷主の開拓による配送サービスの事業拡大を期待することができます。

 

人件費の抑制

親会社とは異なる待遇で、子会社独自の社員を雇用することができるため、人件費を抑制することができます。また、親会社のリストラによる余剰人員、定年退職者、高齢の管理者の出向先として活用することもできます。

 

子会社化による一般的なデメリット

配送業務を分離して連結子会社とすることの一般的なデメリットを列挙します。

 

子会社の業績による連結決算への影響

連結決算においては、連結子会社の業績も含めた連結財務諸表を作成するため、子会社の業績による影響を受けてしまいます

 

連結子会社の管理

連結決算において連結子会社の業績も含めた連結財務諸表を作成する必要があるなど、連結子会社を管理するためのコストが増加します。

 

子会社の受け身体質

子会社による親会社への依存体質が強く自発性が欠如するなど受け身体質となってしまう傾向があるため、子会社独自で戦略的な配送サービスの改善や一般荷主の開拓などによる事業拡大を展開することが難しくなります。

 

親会社からの料金値下げ要求による業績の悪化

親会社が配送コストを削減するために子会社に対して配送コストの料金値下げを要求してきた場合、子会社は親会社への依存が強く料金値下げの要求を断ることができないため、子会社の業績が悪化してしまいます。

 

人材リソースの流動性低下

同一会社内であれば業務の繁忙状況などに応じて部門間で柔軟に人財リソースを配置換えすることができますが、親会社と子会社の関係になると、簡単には人財リソースを配置換えすることができなくなるため、その流動性が失われてしまいます

 

社員のモチベーション低下

親会社から子会社への出向を命じられた社員はモチベーションが低くなる傾向があります。
また、子会社のプロパー社員においても、親会社からの出向者が増えてくるとモチベーションが低くなったり、親会社からの出向者との間に確執が発生することがあります。

 

配送業務の子会社化によるメリットとデメリット

「事例Ⅳ」の試験なので、配送業務の子会社化が業績に与えるメリットとデメリットを中心に考えていきます。

 

メリット

現状では「連結子会社は、建材事業部のための配送業務を専門に担当しているが、建材配送の小口化によって配送コストが増大しており、恒常的な収益性の低下を招いている。」という問題が顕在化していますが、D社の業績を改善するために配送業務の子会社化によって実現できると想定されることをメリットとして取り上げていきます

上述した「子会社化による一般的なメリット」の中では、以下の2点を参考とすることができそうです。

 

  • QCDに対する意識
    子会社の業績(=配送業務の業務成績)が明確に管理されるため、子会社における配送業務のQCDに対する意識が高まり、配送サービスが改善されることを期待できます。
  • 専門性の向上
    子会社の事業範囲は配送業務に特化しているため、配送業務の専門性を高めたり、ノウハウを蓄積することができます。高い専門性や蓄積したノウハウを活用した配送サービスの更なる改善や、親会社以外の一般荷主の開拓による配送サービスの事業拡大を期待することができます。

 

上記2つのメリットをまとめてみます。

 

  • 子会社における配送業務のQCDに対する意識が高まるだけでなく、配送業務の専門性を高めたり、ノウハウを蓄積することができる。高い専門性や蓄積したノウハウを活用して配送サービスの改善や、親会社以外の一般荷主の開拓による配送サービスの事業拡大を実行できる。

 

D社の状況を踏まえて修正します。
現時点では、D社の配送コストが増大するなど、子会社化によるメリットをうまく引き出せていないため、未来形に書き換えてみます

 

  • 子会社におけるQCDに対する意識や専門性を高めたり、ノウハウを蓄積することができ、配送コストの削減や、一般荷主の開拓による配送サービスの事業拡大を実行できる。(77文字)

 

文章が長すぎるため、短くします。
まずは、D社の問題を解決するため、事業拡大は除外して配送コストを削減することを優先します。

 

  • 子会社のQCDへの意識と専門性が高まり、配送コストの削減を実行できる。(33文字)

 

まだ、文章が長すぎるので、さらに簡潔にします。

 

  • 子会社のQCDへの意識と専門性が高まり配送コストの削減を図れる。(30文字)

 

デメリット

配送業務の子会社化によるD社の業績への悪影響をデメリットとして取り上げていきます
上述した「子会社化による一般的なデメリット」の中では、以下の2点を参考とすることができそうです。

 

  • 子会社の業績による連結決算への影響
    連結決算においては、連結子会社の業績も含めた連結財務諸表を作成するため、子会社の業績による影響を受けてしまいます。
  • 親会社からの料金値下げ要求による業績の悪化
    親会社が配送コストを削減するために子会社に対して配送コストの料金値下げを要求してきた場合、子会社は親会社への依存が強く料金値下げの要求を断ることができないため、子会社の業績が悪化してしまいます。

 

「親会社からの料金値下げ要求による業績の悪化」については、今回の問題の与件文では触れられておらず、また子会社単独ではなく連結決算で見ると影響がなくなることから、「子会社の業績による連結決算への影響」を解答の構成要素とします

 

  • 連結決算においては、連結子会社の業績も含めた連結財務諸表を作成するため、子会社の業績による影響を受けてしまう。(54文字)

 

連結子会社は、建材事業部のための配送業務を専門に担当しているが、建材配送の小口化によって配送コストが増大しており、恒常的な収益性の低下を招いている。」というD社の状況を踏まえて修正します。

 

  • 連結決算において、配送コスト増大による子会社の業績悪化の影響を受けてしまう。(39文字)

 

文章が長すぎるので、さらに簡潔にします。

 

  • 連結決算で配送コスト増大による子会社の業績悪化の影響を受ける。(30文字)

 

解答(第4問 設問1)

建材事業部の配送業務を分離し連結子会社としているメリットとデメリットは以下の通りです。

 

(a)メリット

子会社のQCDへの意識と専門性が高まり配送コストの削減を図れる。(30文字)

 

(b)デメリット

連結決算で配送コスト増大による子会社の業績悪化の影響を受ける。(30文字)

 


 

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