事例Ⅳ ~令和元年度 解答例(4)(損益分岐点分析)~

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令和元年度の事例Ⅳの「第2問(設問3)」に関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

昨日の記事「事例Ⅳ ~令和元年度 解答例(3)(損益分岐点分析)~」の続きです。

 

目次

事例Ⅳ ~令和元年度試験問題一覧~

令和元年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

損益分岐点分析(CVP分析)

「損益分岐点分析(CVP分析)」では、総費用を変動費と固定費に区分して、目標利益を達成するために必要な売上高や製品の販売数量を分析するなど企業が利益計画を立てるために必要な数値を求めることができます。

「損益分岐点分析(CVP分析)」は、企業の費用構造に関する安全性を分析する手法です。

企業の費用構造上、総費用に占める固定費の割合が低くなると、世の中の不況などの外部環境の変化により売上高が低下しても利益を確保することができるなど、外部環境の変化に対する抵抗力が強くなります。

 

第2問(設問3)

第2問(配点25点)

 

D社のセグメント情報(当期実績)は以下のとおりである。

(単位:百万円)
建材
事業部
マーケット
事業部
不動産
事業部
共通 合計
売上高 4,514 196 284 4,994
変動費 4,303 136 10 4,449
固定費 323 101 30 20 474
セグメント利益 -112 -41 244 -20 71

注:セグメント利益は経常段階の利益である。売上高にセグメント間の取引は含まれていない。

 

(設問3)

次期に目標としている全社的な経常利益は250百万円である。不動産事業部の損益は不変で、マーケット事業部の売上高が10%増加し、建材事業部の売上高が不変であることが見込まれている。この場合、建材事業部の変動費率が何%であれば、目標利益が達成できるか、(a)欄に答えよ。(b)欄には計算過程を示すこと。なお、(設問1)の解答を利用し、最終的な解答において%表示で小数点第3位を四捨五入すること。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方(第2問 設問3)

「設問3」は、建材事業部の変動費率が何%であれば、目標利益(全社的な経常利益:250百万円)を達成できるのかを算出する問題です。

問題文に記載された条件に基づき、各セグメントの「売上高・変動費・固定費」がどう変化するかを求めて、以下の計算式に当てはめれば解答を求めることができます。

 

  • 売上高 - 変動費(※)- 固定費 = 目標利益
    (※)変動費 = 売上高 × 変動費率

 

売上高

次期の「売上高」の見込みについて確認していきます。
「マーケット事業部」については、売上高が「10%増加」しますが、「建材事業部」と「不動産事業部」については「不変」であることが見込まれています。

 

セグメント 次期見込み 売上高(単位:百万円)
建材事業部 不変 4,514
マーケット事業部 10%増加 215.6
( 196 × 110% )
不動産事業部 不変 284
共通
全社 5,013.6

 

変動費

続いて、次期の「変動費」の見込みについて確認していきます。

今回の問題では、「建材事業部」の変動費率が何%であれば目標利益を達成できるのかを求めていくため、「建材事業部」の変動費率を「α」とします

 

「マーケット事業部」については「10%増加」した「売上高:215.6百万円(=196×110% )」に、「設問1」で求めた「マーケット事業部の変動費率(69.39%)」を乗じて、変動費を算出します。

マーケット事業部の変動費について

変動費が10%増加する( 136 × 110% = 149.6百万円 )として計算すると、「(設問1)の解答を利用し」という問題文の条件を満たすことができないため、「(b)計算過程」で減点対象となる可能性があります。

 

「不動産事業部」については「不変」であるため、「D社のセグメント情報(当期実績)」に記載されている変動費(10百万円)とします。

不動産事業部の変動費算出について

「マーケット事業部」の変動費を算出した流れで「不動産事業部」の変動費を求めていこうとすると「(設問1)の解答を利用し」という問題文の条件を満たすため、「売上高:284百万円」に、「設問1」で求めた「不動産事業部の変動費率(3.52%)」を乗じて算出したくなります。

  • 284百万円 × 3.52% = 9.9968百万円

しかし、この数値を使用すると、「不動産事業部」の変動費が「10百万円」から「9.9968百万円」に変動してしまい、「不動産事業部の損益は不変で」という問題文の条件を満たすことができないため、「(b)計算過程」で減点対象となる可能性があります。

 

セグメント 次期見込み 変動費(単位:百万円)
建材事業部 4,514 × α
( α:変動費率 )
マーケット事業部 売上高
10%増加
149.60484
(196 × 110% × 69.39%)
不動産事業部 不変 10
共通
全社 4,514 × α + 159.60484

 

固定費

最後に、次期の「固定費」の見込みについて確認していきます。
「固定費」については、問題文に増減の条件が記載されておらず、全て「不変」であることが見込まれています。

 

セグメント 次期見込み 固定費(単位:百万円)
建材事業部 不変 323
マーケット事業部 不変 101
不動産事業部 不変 30
共通 不変 20
全社 474

 

目標達成における変動費率(経常利益:250百万円)

「売上高」「変動費」「固定費」と「目標経常利益」は以下の計算式で表すことができます。

 

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 = 目標経常利益

 

この計算式に、上述で求めた次期の「売上高」「変動費」「固定費」の見込み値と「目標利益(250百万円)」を投入して、建材事業部の「変動費率(α)」を算出します。
なお、問題文に記載されている条件に基づき「最終的な解答において%表示で小数点第3位を四捨五入」します。

 

  • 5,013.6 -( 4,514 × α + 159.60484 )- 474 = 250
  • 4,514 × α = 4,129.99516
  • α = 0.914930… ≒ 91.49%

 

解答(第2問 設問3)

目標利益を達成できる建材事業部の「変動費率」と、その「計算過程」は以下の通りです。

 

(a) 建材事業部の変動費率

目標利益を達成するために必要な建材事業部の「変動費率」は以下の通りです。

91.49%

 

(b) 計算過程

目標利益を達成するために必要な建材事業部の変動費率の「計算過程」は以下の通りです。

建材事業部の変動費率を「α」とした場合
売上高:4,514 +( 196 × 110% )+ 284 = 5,013.6
変動費:4,514 × α +( 196 × 110% × 69.39% )+10 = 4,514 × α + 159.60484
固定費:474
「売上高-変動費-固定費=目標経常利益」により建材事業部の変動費率を算出
5,013.6 -( 4,514 × α + 159.60484 )- 474 = 250
4,514 × α = 4,129.99516
α = 0.914930… ≒ 91.49%

 


 

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