運営管理 ~R1-15 生産計画(4)能力と負荷~

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今回は、「運営管理 ~R1-15 生産計画(4)能力と負荷~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

内外製区分

「内外製区分」とは、業務を自社で実施(内作/内製)するか、外部業者に委託(外注/外作/外製)するかを決定する活動のことをいいます。

「内外製区分」は、QCDを中心とした観点に基づきその決定を行いますが、QCD以外に「設備」「技術」「稼働率」といった観点に基づく検討も重要であるため、以下に説明していきます。

また、QCDによる評価は「内外製区分」や「外注先選定」のタイミングだけに限らず、外部業者に委託した後も、自社主導で「外注管理」を継続することが非常に重要です。

 

内外製区分の観点(設備/技術/稼働率)

「内外製区分」において、重要な観点である「設備」「技術」「稼働率」について、以下に説明していきます。

 

設備

工場の生産能力を超える需要の増加に「内作」で対応するためには、投資により生産設備を増強する必要がありますが、企業による設備投資の意思決定には、投資額を上回る収益を得られるだけの充分な需要と販売計画が見込まれることが前提条件となります。

そのため、「設備」という観点に着目した場合、工場の生産能力を超える需要の増加が一時的なものなのか、それとも継続的なもので設備投資に見合うだけの充分な収益が得られるのかに基づき判断します。

 

上述の内容を整理すると以下の通りです。

内外製 条件
外注 一時的な需要増加であり設備投資額を回収できるだけの販売計画が見込めない場合
内作 継続的な需要増加が見込まれ、設備投資額を回収できるだけの販売計画が見込まれる場合

 

技術

「技術」に着目した場合、その技術が企業にとって既存技術なのか新規技術なのかによっても、その判断が異なってきます。

 

既存技術の場合

「既存技術」で一番重要なのは、その技術が自社の事業にとって中核をなすコア技術であるかということです。

例えば、A社(製造業)にとっては、製品を生産する技術ノウハウが事業を継続するために重要な技術であり、生産した製品の配送業務に関するノウハウはあまり重要でないかもしれませんが、B社(運輸業)にとっては、効率的な配送業務の技術ノウハウが事業を継続するために重要な技術であると考えられます。

このように、何が重要な技術であるかはそれぞれの企業で異なりますが、自社の事業にとって中核をなす技術であり、他社との差別化を図ることができるような特殊な技術を有している場合は「内作」で対応します。

このような技術を「内作」で対応する理由(=外注とした場合のリスク)を以下に示します。

  • 自社が有する高度な技術ノウハウなどの機密情報が流出する恐れがある。
  • 当該技術のノウハウを蓄積することができなくなり、技術力が低下する。

 

上述の内容を整理すると以下の通りです。

内外製 条件
外注 その企業にとって中核をなす技術ではなく、外部業者に委託しても自社の高度なコア技術のノウハウ流出にはつながらない場合
内作 その企業にとって中核をなす専門技術であり、内作を続けることにより技術ノウハウを蓄積でき、技術力をさらに高めることができる場合

 

新規技術の場合

自社が有していない新たな技術が必要となった場合は、その技術を有している企業に「外注」することによって、自社で技術を一から開発するよりも、短期間で安価に対応することができます

将来を見据え、自社の事業にとって中核をなすコア技術に成長させるということであれば「内作」という判断も考えられますが、顧客から受けた要望に対して迅速に対応する必要がある場合は「外注」という判断を行います。

 

上述の内容を整理すると以下の通りです。

内外製 条件
外注 顧客から自社が有していない技術を必要とする要望を受け、迅速に対応する必要がある場合
内作 自社の将来を見据え、中核をなすコア技術に成長させたい場合(ただし、中小企業で考えた場合、その技術を有する機関と連携して開発を進めるというケースの方が多いと考えられます。)

 

稼働率

「稼働率」とは、自社の生産能力の利用比率を示しています。

「稼働率」が高く、自社の生産能力に余裕がなく対応できない場合は「外注」によって、なんとかその場を乗り切ることができます。また、「稼働率」が低く、自社の生産能力に余裕がある場合は「内作」により対応するという判断をすることもできます。

 

内外製 条件
外注 自社の生産能力に余裕がない場合
内作 自社の生産能力に余裕がある場合

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第15問】

ある工程における製品Aの1個当たりの標準作業時間は0.3時間で、適合品率は90%である。この工程を担当する作業者は5人で、1人1日当たりの実働時間は6時間、稼働率は90%である。今期、残り10日間に適合品を900個生産しなければならないことが分かっている。

この場合にとるべき施策として、最も適切なものはどれか。

 

ア 一部作業の外注化を行う。
イ 次期の仕事を前倒しして行う。
ウ 終業時刻を早めて小集団活動を行う。
エ 特別な施策は必要ない。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「工場の生産能力」と「製品の生産数量(負荷)」を照らし合わせ、「内作」するのか「外注」するのかを判断して生産計画を立案する「内外製区分」に関する知識を問う問題です。

 

自社の生産能力が不足している場合は「外注」によって対応することとし、自社の生産能力で対応できる場合は「内作」により対応するという判断を行います。

 

選択肢 能力と負荷の状況
一部作業の外注化を行う。 生産能力が不足している場合
次期の仕事を前倒しして行う。 生産能力に余裕がある場合
終業時刻を早めて小集団活動を行う。
特別な施策は必要ない。 生産能力と負荷が均衡している場合

 

製品Aの適合品を900個生産するのに必要な時間

生産Aの適合品を「900個」生産するために必要な作業時間を算出します。

1個当たりの標準作業時間は「0.3時間」で、適合品率は「90%」である(10%は不適合品である)ため、以下の計算式により算出することができます。

 

  • 0.3時間 × 900個 ÷ 90% = 300時間

 

生産活動における適合品率が「90%」であるため、「900個」の適合品を生産するには「1,000個」の製品を生産する必要があります。

 

10日間で確保できる工程の作業時間

10日間で確保できる生産能力(確保できる工程の作業時間)を算出します。

 

  • 1人1日当たりの実働時間 × 稼働率 × 作業者人数 × 作業日数
    6時間 × 90% × 5人 × 10日 = 270時間

 

生産能力と負荷の状況に基づく内外製区分

製品Aの適合品を「900個」生産するためには「300時間」の生産能力が必要ですが、10日間で確保できる生産能力(確保できる工程の作業時間)は「270時間」しかないため、生産が間に合わない(生産能力が不足している)という結論になります。

したがって、一部作業の外注化を行うことで、不足している生産能力を補填します。

 

答えは(ア)です。


 

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