運営管理 ~R1-18 保全(3)保全活動~

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今回は、「運営管理 ~R1-18 保全(3)保全活動~」について説明します。

運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

保全活動

「保全」とは、計画、点検、検査、調整、修理、取替といった観点により、設備のライフサイクル全般において故障を排除すること、および設備の技術的側面を正常・良好な状態に保ち、効率的な生産活動を維持するための活動のことをいいます。

「保全活動」は、設計時の技術的性能を維持するための「維持活動」と性能劣化を修復・改善する「改善活動」に分類することができます。

「保全活動」の種類と説明を以下に示します。

種類 説明
予防保全 故障に至る前に寿命を推定して、故障を未然に防止する方式の保全
生産停止または性能低下をもたらす状態を発見するための「点検・診断」を目的としたものと、初期段階に行う「調整・修復」を目的としたものがある。
定期保全 従来の故障記録、保全記録の評価から周期を決め、周期ごとに行う保全方式(時間を基準とした保全活動)
予知保全 設備の劣化傾向を設備診断技術などによって管理し、故障に至る前の最適な時期に最善の対策を行う予防保全の方法(設備の状態を基準とした保全活動)
事後保全 設備に故障が発見された段階で、その故障を取り除く方式の保全
改良保全 故障が起こりにくい設備への改善、又は性能向上を目的とした保全活動。
保全予防 設備、系、ユニット、アッセンブリ、部品などについて、計画・設計段階から過去の保全実績又は情報を用いて不良や故障に関する事項を予知・予測し、これらを排除するための対策を織り込む活動。

寿命特性曲線(故障率曲線・バスタブ曲線)

設備の故障率は、使用開始直後が最も高く、徐々に減少し、ある期間を過ぎると一定となり、その後劣化の進行とともに増加します。

「寿命特性曲線(故障率曲線)」は、設備の時間経過に伴って変化する故障率の推移を表しており、その形状から「バスタブ曲線」とも呼ばれています。

「寿命特性曲線」は、設備設計の不備(設備自体の設計ミスや潜在的な欠陥)や製作過程の不手際(作業者の不慣れによる操作ミス)といった原因による故障率が高い「初期故障期」と、故障率が低く設備が安定的に稼働する「偶発的故障期」と、設備や部品の寿命が原因により故障率が高くなる「磨耗故障期」に分類することができます。

「初期故障期」の故障率は時間の経過と共に低下していく曲線として表されますが、この時期に設備設計や製作過程の問題点を洗い出してこれらの欠陥を取り除くための対策を実施することによって「偶発故障期」の故障率を低く抑えることができます。

「偶発故障期」の故障率は低い状態で推移して設備が安定的に稼働します。

「摩耗故障期」の故障率は時間の経過と共に増加していく曲線として表されますが、「磨耗故障期」の初期段階に老朽化した部品の交換などを実施することによって、故障率が高くなることを遅らせることができ、設備寿命を長くすることができます。

保全活動と故障期の関係

「保全活動」については、その定義を理解していても、正解を選びにくい問題が出題されるため、以下に「保全活動」と「故障期」の関係を図示してみました。

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第18 問】

生産保全の観点から見た保全活動の実施に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 偶発故障期にある設備の保全体制として、部品の寿命が来る前に部品を交換し、故障の未然防止を図る必要があるため、予知保全体制を確立することが重要である。
イ 初期故障期にある設備では、設計ミスや潜在的な欠陥による故障が発生する可能性が高く、調整・修復を目的とした予防保全を実施する。
ウ 設備の故障率は使用開始直後に徐々に増加し、ある期間が過ぎると一定となり、その後劣化の進行とともに故障率は減少する。
エ 定期保全とは、従来の故障記録などから周期を決めて周期ごとに行う保全方式で、初期故障期にある設備に対して実施される。

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

考え方と解答

「保全活動」に関する知識を問う問題です。

(ア) 不適切です。

「偶発故障期」の設備においては、故障の予測が難しいため、「日常保全」や「事後保全」に関する保全体制を確立することが重要です。

「日常保全」とは「設備の性能劣化を防止する機能を担った日常的な活動」のことをいい、「事後保全」とは「設備に故障が発見された段階で、その故障を取り除く方式の保全」のことをいいます。

ちなみに、故障の未然防止を図るために、部品の寿命が来る前に部品を交換する予知保全体制を確立することが重要なのは、「磨耗故障期」の設備に対する保全体制です。

したがって、選択肢の内容は不適切です

(イ) 適切です。

「予防保全」とは「故障に至る前に寿命を推定して、故障を未然に防止する方式の保全」のことをいい、「予防保全」には、生産停止または性能低下をもたらす状態を発見するための「点検・診断」を目的としたものと、初期段階に行う「調整・修復」を目的としたものがあります。

したがって、初期故障期にある設備では、設計ミスや潜在的な欠陥による故障が発生する可能性が高く、調整・修復を目的とした予防保全を実施するため、選択肢の内容は適切です

(ウ) 不適切です。

設備の故障率は、使用開始直後が最も高く徐々に減少し、ある期間を過ぎると一定となり、その後劣化の進行とともに増加するため、選択肢の内容は不適切です

(エ) 不適切です。

「定期保全」とは「従来の故障記録、保全記録の評価から周期を決め、周期ごとに行う保全方式」のことをいい、「初期故障期」ではなく、「磨耗故障期」の初期段階にある設備に対して実施される保全活動であるため、選択肢の内容は不適切です

「定期保全」は「偶発故障期」の設備に対しても実施するのが適切である気がしますが、故障率が低い設備に対して定期的に保全を実施することは経済的に合理的ではないと考えられており、徐々に故障率が高くなる「磨耗故障期」の初期段階に実施する方がより適しているとなっています

なお、「偶発故障期」に実施されるのは「定期保全」ではなく「日常保全」です。

「定期保全」と「日常保全」は似てますが、「定期保全」は、6か月など定期的に実施するメンテナンスであり、「日常保全」は、日々の作業開始前や作業終了後に、設備の状態をチェックすることという風に考えてもらえればと思います。

答えは(イ)です。


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