財務・会計 ~R1-12 企業活動による財務指標の変化(2)~

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今回は、「財務・会計 ~R1-12 企業活動による財務指標の変化(2)~」について説明します。

財務・会計 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

企業活動による財務指標の変化 -リンク-

「企業活動による財務指標の変化」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

キャッシュ・フロー計算書

「キャッシュ・フロー」とは、「キャッシュ(資金)」の「フロー(流れ)」であり、「資金の収入・支出」を示しています。

企業活動による「資金の収入・支出」の報告資料が「キャッシュ・フロー計算書」であり、「キャッシュ・フロー計算書」は「貸借対照表」や「損益計算書」と同様に、株主を始めとした利害関係者が、企業の経営状況を知るために重要な情報源です。

「キャッシュ・フロー計算書」は、「営業活動」と「投資活動」と「財務活動」の3つに分類して「資金の収入・支出」を表示します。

  • 営業活動によるキャッシュ・フロー
  • 投資活動によるキャッシュ・フロー
  • 財務活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるCFに区分される項目

営業活動によるキャッシュ・フローは、企業が本来の営業活動によってどれだけの現金を稼いだかを表しています。

営業活動によるキャッシュ・フローに区分される主な項目は以下の通りです。

  • 商品及び役務の販売による収入
  • 原材料、商品及び役務の購入による支出
  • 人件費支出
  • その他の営業支出
  • 投資活動や財務活動に該当しないキャッシュフロー
    (災害による保険金収入、損害賠償金の支払額、法人税等の支払額など)

営業活動によるキャッシュ・フロー(間接法)

投資活動によるCFに区分される項目

投資活動によるキャッシュ・フローは、企業がどれだけの現金を投資しているかを表しています。

投資活動によるキャッシュ・フローに区分される主な項目は以下の通りです。

  • 固定資産の売却/取得による支出
  • 有価証券の売却/取得による支出
  • 貸付金の回収による収入
  • 貸付けによる支出

投資活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるCFに区分される項目

財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行や金融機関からの借入金による資金調達の状況を表しています。

財務活動によるキャッシュ・フローに区分される主な項目は以下の通りです。

  • 株式の発行による収入
  • 自己株式の取得による支出
  • 配当金の支払い(中間配当の支払いを含む)
  • 社債の発行または借入れによる収入
  • 社債の償還または借入金の返済による支出

財務活動によるキャッシュ・フロー

貸借対照表

貸借対照表とは、ある時点(企業の決算時期など)における企業の財政状態を示す成績表であり、「左辺(借方)」には「資産の部」が、「右辺(貸方)」には「負債の部」と「純資産の部」が記載されています。

貸借対照表では「左辺(借方)」と「右辺(貸方)」の金額が必ず一致するため、バランスシート(BS)とも呼ばれています。

貸借対照表フォーマット

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第12問】

有形固定資産を売却することで得た資金の全額を、長期借入金の返済にあてたとする。他の条件を一定とすると、これによるキャッシュ・フロー計算書および財務比率への影響に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 財務活動によるキャッシュ・フローは減少する。
b 自己資本比率は上昇する。
c 投資活動によるキャッシュ・フローは減少する。
d 流動比率は上昇する。

[解答群]

ア aとb
イ aとc
ウ aとd
エ bとc
オ cとd

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

考え方と解答

「有形固定資産の売却」と「長期借入金の返済」による「キャッシュ・フロー計算書」と「財務比率」への影響を確認する問題です。

選択肢に記述されている「財務比率」は「自己資本比率」と「流動比率」であり、共に「貸借対照表」の数値により算出される「財務比率」であるため、実際には「キャッシュ・フロー計算書」と「貸借対照表」への影響と考えて確認を進めていきます。

仕訳処理

まずは、有形固定資産を売却することで得た資金の全額を、長期借入金の返済に充てる活動に関する仕訳処理を考えていきます。

有形固定資産の売却

「有形固定資産の売却」により「資金(現金)」を手に入れることができます。

借方 貸方
現金
(流動資産)
XXX,XXX 有形固定資産
(固定資産)
XXX,XXX

長期借入金の返済

「有形固定資産の売却」により手に入れた「資金(現金)」で「長期借入金」を返済します。

借方 貸方
長期借入金
(固定負債)
XXX,XXX 現金
(流動資産)
XXX,XXX

貸借対照表の変化

「有形固定資産の売却」と「長期借入金の返済」による貸借対照表の変化を確認します。

「流動資産(現金)」は「有形固定資産の売却」により増加して「長期借入金の返済」により減少するため、結果として「±ゼロ」となります。

また、「有形固定資産の売却」により「固定資産(有形固定資産)」は減少して、「長期借入金の返済」により「固定負債(長期借入金)」も減少します。

選択肢の確認

それぞれの選択肢の内容について確認します。

(a) 適切です。

財務活動CFは、株式の発行や金融機関からの借入金による資金調達の状況を表しており、財務活動CFに区分される主な項目は以下の通りです。

今回の活動により、「社債の償還および借入金の返済による支出」が発生するため、財務活動CFは減少します。

財務活動によるキャッシュ・フロー

したがって、「長期借入金の返済」により「財務活動CF」は減少するため、選択肢の内容は適切です

(b) 適切です。

「自己資本比率」とは、会社の資本構成割合を分析する指標であり「総資本」に対する「自己資本(純資産)」の比率を示す財務指標です。

「自己資本比率」を算出するための構成要素である「固定負債(長期借入金)」は「長期借入金の返済」により減少するため、「自己資本比率」は上昇します。

したがって、「長期借入金の返済」により「自己資本比率」は上昇するため、選択肢の内容は適切です

(c) 不適切です。

投資活動CFは、企業がどれだけの現金を投資しているかを表しており、投資活動CFに区分される主な項目は以下の通りです。

今回の活動により、「固定資産の売却による収入」が発生するため、投資活動CFは増加します。

投資活動によるキャッシュ・フロー

したがって、「有形固定資産の売却」により「投資活動CF」は増加するため、選択肢の内容は不適切です

(d) 不適切です。

「流動比率」とは、短期の安全性を分析するための指標であり「流動負債」に対する「流動資産」の比率を示す財務指標です。

「流動比率」を算出するための構成要素である「流動資産(現金)」は「有形固定資産の売却」により増加して「長期借入金の返済」により減少するため、結果として「±ゼロ」となり、「流動比率」は変化しません。

したがって、「有形固定資産の売却」「長期借入金の返済」による「流動比率」の変化はないため、選択肢の内容は不適切です

答えは(ア)です。


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