運営管理 ~H27-38 物流センター管理(10)物流センター機能・設計~

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ

にほんブログ村に参加しています。
記事の内容にご満足いただけた場合は、以下のボタンをクリックいただけると、また頑張ることができます。

にほんブログ村 資格ブログ 中小企業診断士試験へ







今回は、「運営管理 ~H27-38 物流センター管理(10)物流センター機能・設計~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

物流センター機能・設計 -リンク-

本ブログにて「物流センター機能・設計」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

物流センター運営 -リンク-

本ブログにて「物流センター運営」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

物流センター

「物流センター」には、「ベンダー(サプライヤー)」から入荷した商品を在庫として保管して店舗からの出荷指示に基づき出荷するタイプの「在庫型物流センター(DC)」と、商品を在庫せずに「ベンダー(サプライヤー)」から入荷した商品を迅速に店舗に出荷するタイプの「通過型物流センター(TC)」があります。

さらに、「在庫型物流センター(DC)」には、単に在庫品を出荷するだけでなく、鮮魚や精肉の加工、部品の組立や設置といった高度な加工作業に対応できるよう準工場化された機能を有する「流通加工・在庫型物流センター(PDC)」があります。

 

在庫型物流センター(DC/Distribution Center)

「在庫型物流センター(DC)」とは、「ベンダー(サプライヤー)」から入荷した商品を在庫として保管しておき、店舗からの出荷指示に基づいて、在庫品から商品をピッキングして店舗に出荷するタイプの物流センターのことをいいます。

主に、卸売業者が採用していることが多く、物流センターの中で最も一般的なタイプです。

「在庫型物流センター(DC)」の一番の特徴は、商品の在庫を保有することです。

「在庫型物流センター(DC)」は在庫を保有しているため、店舗からの「緊急を要する出荷指示」に対応することができるというメリットがありますが、在庫を保管するための広いスペースが必要になるというデメリットもあります。

「在庫型物流センター(DC)」では、「過大在庫」や「品切れ」が発生しないように「在庫管理」することが非常に重要です。

 

メーカーとDC間における商品の入荷処理

「在庫型物流センター(DC)」は「過大在庫」や「品切れ」が発生しないように「在庫管理」を行い、商品の在庫数が減少すると、メーカーに商品を発注して商品を補充します。

 

 

店舗とDC間における商品の出荷処理

「在庫型物流センター(DC)」は、店舗から受注すると「在庫型物流センター(DC)」の在庫から商品をピッキング・仕分けして店舗に出荷します。

 

 

流通加工・在庫型物流センター(PDC/Process Distribution Center)

「流通加工・在庫型物流センター(PDC)」とは、単に在庫品を出荷するだけでなく、鮮魚や精肉の加工、部品の組立や設置といった高度な加工作業に対応できるよう準工場化された機能を有するタイプの物流センターのことをいいます。

加工処理を行うという付加価値を付けることができますが、労働力や設備投資が必要となります。

 

通過型物流センター(TC/Transfer Center)

「通過型物流センター(TC)」とは、商品を在庫せず、「ベンダー(サプライヤー)」から入荷した商品を迅速に店舗に出荷するタイプの物流センターのことをいいます。

「通過型物流センター(TC)」の一番の特徴は、商品の在庫を保有しないことです。

「通過型物流センター(TC)」は在庫を保有していないため、在庫を保管するためのスペースが不要であるというメリットがありますが、店舗からの「緊急を要する出荷指示」に対応することができないというデメリットもあります。

「通過型物流センター(TC)」は、鮮度が重視される商品を取り扱う店舗や、店舗面積が狭く商品を陳列するスペースが少ない店舗への商品配送で多く利用される「多頻度小口配送」に活用されます。「多頻度小口配送」では、商品を配送する回数は多くなりますが、1回の配送で納品する商品の量が少ないため、店舗で保有する平均在庫量を少なくすることができます。

「通過型物流センター(TC)」では、店舗からの注文情報に基づき「ベンダー(サプライヤー)」から入荷した商品を迅速に出荷する必要があるため、情報システム(WMS)などを導入してリアルタイムに最新の入荷・出荷情報を管理することが非常に重要です。

 

 

「通過型物流センター(TC)」には「ベンダー仕分け型」と「センター仕分け型」があります。

 

ベンダー仕分け型

「ベンダー仕分け型」とは、「ベンダー(サプライヤー)」が商品を店舗別に仕分けた状態で「通過型物流センター(TC)」に納品する方式のことをいいます。

「ベンダー仕分け型」の場合、「通過型物流センター(TC)」は「荷合わせ作業」を実施してから店舗に出荷します。

 

 

センター仕分け型

「センター仕分け型」とは、「ベンダー(サプライヤー)」が商品の注文総量に基づき、商品別に「通過型物流センター(TC)」に納品する方式のことをいいます。

「センター仕分け型」の場合、「通過型物流センター(TC)」は納品された商品に対してピッキング・仕分け作業を実施してから店舗に出荷します。

 

 

クロスドッキング

「クロスドッキング」とは、ベンダーから入荷した貨物(商品)を、物流センターで開梱することなく、パレットやケース単位で仕分けてトラックの積み替えのみを行って出荷する仕組みのことをいいます。

「クロスドッキング」の語源は、物流センターの「荷受場(ドック)」から「出荷場(ドック)」に貨物(商品)を通過(クロス)させるという意味に由来していると言われています。

「通過型物流センター(TC)」は、ベンダーから入荷した貨物(商品)を開梱した後、検品や仕分けを行いますが、「クロスドッキング」では、貨物(商品)を開梱しないという違いがあります。

 

VMI(Vendor Managed Inventory)

「VMI(Vendor Managed Inventory)」は「ベンダー主導型在庫管理方式」と呼ばれ、ベンダーである供給業者とバイヤーである小売店舗で商品の在庫情報や販売情報を共有して、供給業者であるベンダーが小売店舗の商品在庫を管理することをいいます。

小売店舗としては、供給業者が小売店舗の在庫を管理して商品の数量が減少したら自動的に配送してくるため、発注業務が削減され販売業務に注力することができます

供給業者としても、需要予測に必要な情報を入手できるようになるため、計画的に生産活動を行うことができたり、作りすぎによる余剰な商品在庫を削減することができます

 

WMS(Warehouse Management System)

「WMS(Warehouse Management System)」は「倉庫管理システム」と呼ばれ、物流センター内における貨物の入出庫・保管状況を管理して、業務の効率性と正確性を向上させる仕組みのことをいいます。

「WMS」を導入することにより、貨物の在庫数量をリアルタイムに管理できるだけでなく、貨物の保管場所(ロケーション)なども管理することができるため、商品を保管する場所をあらかじめ決めておく「固定ロケーション」ではなく、商品を入荷する都度、最適な場所を選んで保管する「フリーロケーション」を導入できるようになります

 

3PL(Third Party Logistics)

「3PL(サードパーティーロジスティクス:Third Party Logistics)」とは、荷主企業の視点に立って第三者である企業が物流戦略の企画立案や物流システムの構築について提案を行い、包括的に受託して実行することをいいます。

「3PL(Third Party Logistics)」は「アセット型(アセットベース型)」と「ノンアセット型(ナレッジベース型)」に分類することができます。

「アセット型(アセットベース型)」では、倉庫や車両などの施設や設備を所有している業者が物流戦略の企画立案から物流業務まで実行します。一方、「ノンアセット型(ナレッジベース型)」では、倉庫や車両などの施設や設備を所有しない業者が物流戦略の企画立案や物流システムの構築を行い、実際の物流業務は別の業者が実行します。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第38問】

物流センターに関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 3PL(Third Party Logistics)は、荷主企業の物流業務を受託する企業であるが、物流センターを保有していないこともある。
イ VMI(Vendor Managed Inventory)は、物流センターの在庫情報を卸売業者が小売業者に提供するシステムである。
ウ WMS(Warehouse Management System)は、物流センター内の生産性向上を目的として人員最適化に用いられるシステムである。
エ 物流センターでは、利用者の求めに応じて保管の役割のほか、値付けや包装などを行うことがあり、これを荷役という。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

物流センターに関連する言葉の定義に関する知識を問う問題です。

 

(ア) 適切です。

「3PL(サードパーティーロジスティクス:Third Party Logistics)」とは、荷主企業の視点に立って第三者である企業が物流戦略の企画立案や物流システムの構築について提案を行い、包括的に受託して実行することをいいます。

「3PL(Third Party Logistics)」は「アセット型(アセットベース型)」と「ノンアセット型(ナレッジベース型)」に分類することができます。

「アセット型(アセットベース型)」では、倉庫や車両などの施設や設備を所有している業者が物流戦略の企画立案から物流業務まで実行します。一方、「ノンアセット型(ナレッジベース型)」では、倉庫や車両などの施設や設備を所有しない業者が物流戦略の企画立案や物流システムの構築を行い、実際の物流業務は別の業者が実行します。

 

「3PL(Third Party Logistics)」は、荷主企業の物流業務を受託する企業ですが、「ノンアセット型」のように物流センターを保有していないこともあるため、選択肢の内容は適切です

 

(イ) 不適切です。

「VMI(Vendor Managed Inventory)」は「ベンダー主導型在庫管理方式」と呼ばれ、ベンダーである供給業者とバイヤーである小売店舗で商品の在庫情報や販売情報を共有して、供給業者であるベンダーが小売店舗の商品在庫を管理することをいいます。

 

VMI(Vendor Managed Inventory)は、物流センターの在庫情報を卸売業者が小売業者に提供するシステムではなく、供給業者であるベンダーが小売店舗の商品在庫を管理することであるため選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

「WMS(Warehouse Management System)」は「倉庫管理システム」と呼ばれ、物流センター内における貨物の入出庫・保管状況を管理して、業務の効率性と正確性を向上させる仕組みのことをいいます。

 

WMS(Warehouse Management System)は、物流センター内の生産性向上を目的として人員最適化に用いられるシステムではなく、入出庫業務の最適化に用いられるシステムであるため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「荷役」とは、貨物輸送の過程で行う貨物の積み込み、積み下ろし、仕分け、倉庫からの入出庫といった作業のことをいいます。

「流通加工」とは、物流業者が荷役作業の延長線として製品に加工処理を施して製品の付加価値を高めることをいいます。「流通加工」には、値付け、包装、箱詰め、組立て、裁断、解凍など様々な作業があります。

 

物流センターでは、利用者の求めに応じて保管の役割のほか、値付けや包装などを行うことがありますが、これは荷役ではなく、流通加工に該当するため、選択肢の内容は不適切です

 

流通加工・在庫型物流センター(PDC/Process Distribution Center)

「流通加工・在庫型物流センター(PDC)」とは、単に在庫品を出荷するだけでなく、鮮魚や精肉の加工、部品の組立や設置といった高度な加工作業に対応できるよう準工場化された機能を有するタイプの物流センターのことをいいます。

加工処理を行うという付加価値を付けることができますが、労働力や設備投資が必要となります。

 

答えは(ア)です。


 

コメント

タイトルとURLをコピーしました