運営管理 ~H27-43-1 物流情報システム(5)トレーサビリティ~

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今回は、「運営管理 ~H27-43-1 物流情報システム(5)トレーサビリティ~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

食品リサイクル法 -リンク-

本ブログにて「食品リサイクル法」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

食品トレーサビリティシステム

「食品トレーサビリティシステム」とは、食品の生産、加工および流通の履歴を把握できるようにする仕組みのことをいいます。

食品の安全性を確保する直接の手段ではありませんが、食品の安全性に関わる事故が発生した場合に、製品回収のために製品が流通した販売先を特定したり、原因究明のために製品の生産、加工履歴を特定するために利用することができます。

また、消費者が、商品に表示された購入する食品の生産、加工および流通の履歴を確認した上で、安心して購入することができるようになります。

食品業界では、これまでにも「HACCP」「ISO9001」といった管理システムを導入して、食品の衛生・安全性や品質の管理に取り組んでいますが、食品の安全性を脅かす事件が発生する度に、消費者からの信頼が揺らぐ状況にあり、「食品トレーサビリティシステム」による生産、加工および流通の履歴を明確にした食品の供給に対する必要性はさらに高まっています

 

食品リサイクル法

「食品リサイクル法」とは「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」の略称であり、食品廃棄物の発生抑制・減量化を推進するとともに、食品循環資源の再生利用等の促進を図ることを目的としています。

「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」の基本理念において、食品に係る資源の有効な利用の確保および食品に係る廃棄物の排出の抑制を図るためには、食品の製造・流通・消費・廃棄等の各段階において、①食品ロスの削減を含め食品廃棄物等の発生の抑制に優先的に取り組み、②食品循環資源について再生利用、③これが困難な場合には熱回収を行い、④やむを得ず廃棄処分を行う食品廃棄物等は減量を推進し、環境への負荷の少ない循環を基調とする循環型社会を構築していくことが必要であるとされています。

食品廃棄物等を排出する事業者(食品関連事業者)にとって、食品廃棄物の減量化や食品循環資源の再生利用等は義務であり、取り組みが不十分な場合には企業名が公表されることがあります。

 

 

食品廃棄物

「食品廃棄物」とは、食品の製造や調理過程で生じる加工残さで食用に供することができないもの、および食品の流通過程や消費段階で生じる売れ残りや食べ残し等のことをいいます。

 

「食品廃棄物」には、野菜の芯や魚の骨など、食べることができない不可食部分も含んでいますが、「食品ロス」とは、食べられるにもかかわらず廃棄されている食品のことをいい、その範囲が可食部分に限定されています。

 

食品関連事業者・食品廃棄物等多量発生事業者

「食品関連事業者」とは、その事業活動に伴い「食品廃棄物等」を排出するもののことをいい、「食品製造業者」「食品卸売業者」「食品小売業者」「外食事業者」に分類されています。

さらに、前年度における「食品廃棄物等」の排出量が100トン以上である「食品関連事業者」のことを「食品廃棄物等多量発生事業者」といいます。

 

食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針

「食品循環資源」の再生利用等を総合的かつ計画的に推進するため、主務大臣が「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」を策定しています。

2024年10月時点では、2019年7月12日(令和元年7月12日)に公表された「基本方針」が最新となっています。

 

2022年9月に「農林水産省」「環境省」から「食品リサイクル法に基づく基本方針の一部見直しの背景・論点等」が公表されていますので、2024年以降の試験の前に最新の情報を確認するようにしてください。

 

  • 次期の基本方針において「エネルギー利用の推進」「焼却・埋立の削減目標」「社員食堂等からの食品廃棄物等削減の重要性」等を明記する方向で検討する。
  • 「学校給食や社食を製造する施設」や「物流・倉庫業」等を食品関連事業者に適用することを検討する。
  • 過去1年間に特定肥飼料等の製造・販売実績がないものも「登録再生利用事業者制度」に登録できるよう見直しを検討する。

 

 

食品循環資源の再生利用等を実施すべき量に関する目標

「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」の第2章では、食品循環資源の再生利用等を実施すべき量に関する目標が定められています。

 

  • 発生の抑制に係る目標
  • 事業系食品ロスの削減に係る目標
  • 再生利用等の実施率に係る目標

 

発生の抑制に係る目標

食品廃棄物等の発生の抑制に係る目標については、国が基準発生原単位を定めることと記述されていますが、その具体的な目標値は基本方針には記述されておらず、農林水産省のホームページにて公開されています。

食品廃棄物等の発生の抑制については、2014年4月(平成26年4月)に26業種に対して目標値が設定され、2015年8月(平成27年8月)に新たに5業種が追加され目標値が設定されました。

また、2019年(令和元年)に、31業種のうち19業種に関する目標値の見直しが行われるとともに、新たに3業種が追加され目標値が設定されています

 

(目標値設定期間:2019年度~2023年度)

業種 業種区分 発生原単位の
分母の名称
目標値
食品製造業 肉加工品製造業 売上高 113 kg/百万円
牛乳・乳製品製造業 売上高 108 kg/百万円
その他の畜産食料品製造業 製造数量 501 kg/t
水産缶詰・瓶詰製造業 売上高 480 kg/百万円
水産練製品製造業 売上高 227 kg/百万円
野菜漬物製造業 売上高 668 kg/百万円
味そ製造業 売上高 126 kg/百万円
しょうゆ製造業 売上高 895 kg/百万円
ソース製造業 製造数量 29.7 kg/t
食酢製造業 売上高 252 kg/百万円
パン製造業 売上高 166 kg/百万円
菓子製造業 売上高 249 kg/百万円
食用油脂加工業 製造数量 44.7 kg/t
麺類製造業 売上高 192 kg/百万円
豆腐・油揚製造業 売上高 2,005 kg/百万円
冷凍調理食品製造業 売上高 317 kg/百万円
そう菜製造業 売上高 211 kg/百万円
すし・弁当・調理パン製造業 売上高 177 kg/百万円
清涼飲料製造業(茶、コーヒー、果汁など残さが出るものに限る。) 製造数量 429
421
kg/t
kg/kl
食品卸売業 食料・飲料卸売業(飲料を中心とするものに限る。) 売上高 14.8 kg/百万円
食品小売業 各種食料品小売業 売上高 44.9 kg/百万円
食肉小売業(卵・鳥肉を除く。) 売上高 40 kg/百万円
菓子・パン小売業 売上高 76.1 kg/百万円
コンビニエンスストア 売上高 44.1 kg/百万円
外食産業 食堂・レストラン(麺類を中心とするものを除く。)、居酒屋等 売上高 114 kg/百万円
食堂・レストラン(麺類を中心とするものに限る。) 売上高 170 kg/百万円
喫茶店、ファーストフード店、その他の飲食店 売上高 83.3 kg/百万円
持ち帰り・配達飲食サービス業(給食事業を除く。) 売上高 154 kg/百万円
給食事業~2019年度
2020~2023年度
売上高 332
278
kg/百万円
結婚式場業 客数 0.826 kg/人
旅館業 客数 0.57 kg/人

 

事業系食品ロスの削減に係る目標

事業系の「食品ロス」については、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」や家庭系の「食品ロス」の削減目標等も踏まえ、サプライチェーン全体で「2030年度」までに「2000年度(547万トン)」から半減させることを目標としています。

 

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とは、2015年9月25日(平成27年9月25日)に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を中核とする国際社会共通の目標です。

 

再生利用等の実施率に係る目標

「食品循環資源」の再生利用等を実施すべき量については、実施率に換算して、業種別(食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業)に目標が設定されています。これは、個々の食品関連事業者に対する義務ではなく、業種全体で目指す目標とされています。

再生利用等の実施率に係る目標は、その達成状況、社会経済情勢の変化等を踏まえて必要な見直しが行われます。

2015年7月に「2019年度までの目標」が設定されましたが、2019年7月に「2024年度までの目標」が再設定されました。

「食品卸売業」と「食品小売業」については、「2024年度までの目標(2019年7月公表)」が「2019年度までの目標(2015年7月公表)」から引き上げられています

また、「食品製造業」については、既に一定以上の取組が進められている状況にあるため、「2024年度までの目標(2019年7月公表)」は「2019年度までの目標(2015年7月公表)」から据え置きとされています。

「外食産業」については、2017年度の実施率が「32%」であり「2019年度までの目標(2015年7月公表)」である「50%」と大きく乖離している状況にあるため、「2024年度までの目標(2019年7月公表)」は「2019年度までの目標(2015年7月公表)」から据え置きとされています。

 

業種 2019年度までの目標
(2015年7月公表の基本方針)
2024年度までの目標
(2019年7月公表の基本方針)
食品製造業 95% 95%
食品卸売業 70% 75%
食品小売業 55% 60%
外食産業 50% 50%

 

食品循環資源の再生利用等の促進のための措置

「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」の第3章では、食品循環資源の再生利用等の促進のための措置に関する事項が定められています。

 

定期報告制度

前年度における「食品廃棄物等」の排出量が100トン以上である「食品関連事業者」のことを「食品廃棄物等多量発生事業者」といいます。

「食品廃棄物等多量発生事業者」は、都道府県別および市町村別における「食品廃棄物等」の発生量や「食品循環資源」の再生利用の状況等について、毎年6月末までに主務大臣に定期報告することが義務付けられています

 

指導及び助言

主務大臣は「食品循環資源」の再生利用等の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは「食品関連事業者」に対して、必要な指導、助言を行うことができます。

 

勧告及び命令

主務大臣は「食品循環資源」の再生利用等が著しく不十分であると認めるときは「食品廃棄物等多量発生事業者」に対して、勧告、公表、および命令を行うことができます。

 

  1. 主務大臣は、「食品廃棄物等多量発生事業者」の「食品循環資源」の再生利用等が著しく不十分であると認めるとき、当該の「食品廃棄物等多量発生事業者」に対して、その判断の根拠を示して、必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができます。
  2. 主務大臣は、前項に規定する勧告を受けた「食品廃棄物等多量発生事業者」がその勧告に従わなかったとき、その旨を公表することができます。
  3. 主務大臣は、勧告を受けた「食品廃棄物等多量発生事業者」が、その勧告に従わなかった旨を公表された後も正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかった場合において、「食品循環資源」の再生利用等の促進を著しく害すると認めるときは、食料・農業・農村政策審議会及び中央環境審議会の意見を聴いて、当該の「食品廃棄物等多量発生事業者」に対して、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第43問】

「食品トレーサビリティシステム導入の手引き(第2版)」(食品トレーサビリティガイドライン)に記載されている内容に関して、以下の設問に答えよ。

 

(設問1)

日本の国内法のうち、国内流通における食品トレーサビリティシステムに関係する法律として上記手引きに列挙されている17の法律に該当しないものはどれか

 

ア 牛海綿状脳症対策特別措置法
イ 健康増進法
ウ 食品リサイクル法
エ 製造物責任法
オ 薬事法

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

農林水産省補助事業として発行されている「食品トレーサビリティシステム導入の手引き(食品トレーサビリティガイドライン)」に関する知識を問う問題です。

 

食品トレーサビリティシステムに関係する国内の法律

「食品トレーサビリティシステム導入の手引き(食品トレーサビリティガイドライン)」において、食品トレーサビリティシステムに関係する国内の法律として列挙されているものは以下の通りです。

 

  1. 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
  2. 農産物検査法
  3. 農薬取締法
  4. 肥料取締法
  5. 薬事法
    この法律は、動物医薬品の製造および輸入、販売、使用等についての規制を定めている。
    第83条にもとづく「動物用医薬品の使用の規制に関する省令」で、使用対象動物ごとに医薬品の用法および用量、休薬期間等が定められている。この省令の第5条(平成15年改正で加えられたもの)では、医薬品を使用したときに、次の事項を帳簿に記録するよう努めることが求められている。
    ・当該医薬品を使用した年月日
    ・当該医薬品を使用した場所
    ・当該使用対象動物の種類、頭羽尾数および特徴
    ・当該医薬品の名称
    ・当該医薬品の用法および用量
    ・食用に供するためにと殺若しくは水揚げ又は出荷することができる年月日
  6. 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)
  7. と畜場法
  8. 牛海綿状脳症対策特別措置法
    この法律は、牛の肉骨粉を原料等とする飼料の使用の禁止、死亡した牛の届出および検査、と畜場における牛海綿状脳症に係る検査等、牛海綿状脳症の発生を予防し、まん延を防止するための特別の措置を定めている。
    牛の所有者(所有者以外の者が管理する牛については、その者)は、牛一頭ごとに、個体を識別するための耳標を着けるとともに、生年月日、移動履歴その他の情報の記録および管理に必要な情報を提供しなければならないと定めている(第8条)。
  9. 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法
  10. 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(食鳥検査法)
  11. 食品衛生法
  12. 健康増進法
    この法律は、国民の健康の増進の総合的な推進に関する基本的な事項について定めている。
    食品に栄養成分等の表示をする場合に、表示すべき事項やその方法が定められている(第31条)。
  13. 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
  14. 製造物責任法
    この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産に係る被害が生じた場合にお
    ける製造業者等の損害賠償の責任について定めている。
    製造業者等に対し、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害し
    たときは、これによって生じた損害を賠償する責任があると規定している(第3条)。
  15. 計量法
  16. 不正競争防止法
  17. 食品安全基本法

 

「食品トレーサビリティシステム」に関係する国内の法律として列挙されていないのは「食品リサイクル法」です。

 

答えは(ウ)です。


 

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