今回は、「運営管理 ~H27-40 POSシステム(4)RFM分析~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成27年度一次試験問題一覧~
平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
RFM分析・FSP・マーケットバスケット分析・PI値 -リンク-
本ブログにて「RFM分析」「FSP」「マーケットバスケット分析」「PI値」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- RFM分析・FSP・マーケットバスケット分析・PI値のまとめ
- R4-39 POSシステム(10)マーケットバスケット分析
- R3-39 POSシステム(9)RFM分析・FSP
- R2-44 POSシステム(8)RFM分析
- R1-39 POSシステム(5)RFM分析・FSP
- R1-40 POSシステム(6)PI値
- H30-39 POSシステム(1)マーケットバスケット分析
- H29-40 POSシステム(2)マーケットバスケット分析
- H28-39 POSシステム(3)マーケットバスケット分析
- H27-41 その他店舗・販売管理(15)ABC分析
- H26-27 POSシステム(7)PI値
優良顧客の識別と効率的なプロモーション活動
店舗のPOSデータやECサイトの取引データなどの蓄積データ(トランザクション)から、「RFM分析」により優良顧客を識別して、「FSP」により優良顧客に対してプロモーション活動(販売促進)を展開するという流れは「既存顧客の囲い込み」に有効なプロモーション活動(販売促進)であり、二次試験の事例Ⅱの解答に使える便利なフレーズです。
RFM分析
「RFM分析」とは、店舗のPOSデータやECサイトの取引データなどの蓄積データ(トランザクション)を用いて顧客を分析する手法であり、「最新購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購買金額(Monetary)」という3つの指標で顧客をランク付けして、「優良顧客」「非優良顧客」「新規顧客」「安定顧客」「離反顧客」などの顧客セグメントに分類することをいいます。
Recency(最新購買日)
「最新購買日(Recency)」とは、顧客が最後に商品を購入したりサービスを利用した日であり、「最新購買日(Recency)」が最近であるほど優良な顧客であることを示しています。
Frequency(購買頻度)
「購買頻度(Frequency)」とは、一定期間内に顧客が商品を購入したりサービスを利用する回数であり、「購買頻度(Frequency)」が高いほど優良な顧客であることを示しています。
「購買頻度(Frequency)」が高い顧客が少ない場合は、何らかの理由で顧客が商品やサービスに満足していないことを表しており、「購買頻度(Frequency)」が高い顧客の割合が多すぎる場合は、既存顧客の囲い込みには成功しているが新規顧客を獲得できていないことを表しています。
Monetary(購買金額)
「購買金額(Monetary)」とは、顧客が購入している商品や利用しているサービスの金額の合計であり、「購買金額(Monetary)」が高いほど優良な顧客であることを示しています。
デシル分析
「デシル」とはラテン語で「10分の1」という意味であり、「デシル分析」とは「購買金額(Monetary)」で顧客を10段階にランク分けして、各ランク(デシル1~デシル10)における購買比率や売上高構成比から、売上への貢献が高い優良顧客層を分析する手法のことをいいます。
FSP(Frequent Shoppers Program)
「FSP(Frequent Shoppers Program)」とは、長期的な視点で店舗やECサイトに対する顧客のロイヤルティ(愛顧)を高めることを目的として展開される、優良顧客に対するプロモーション活動(販売促進)のことをいいます。
全ての顧客に対して、同じプロモーション活動(販売促進)を展開するのではなく、RFP分析などにより分類された顧客セグメントごとに異なるプロモーション活動(販売促進)を展開することで、効率的に店舗やECサイトの売上を拡大することができます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成27年度 第40問】
RFM分析のうち、Rを除いてFM分析を行うとする。以下のような顧客001〜006が存在し、ものとし、以下のような計算結果が得られているとする。件数を均等に分割する方法でそれぞれFとMを上位と下位に分割するとき(ただし同点が発生した場合、上位に属するものとする)、F上位かつM上位となる顧客の人数として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
(計算結果)
F M 顧客001 6.9 7.3 顧客002 9.3 4.7 顧客003 3.9 7.5 顧客004 1.7 0.4 顧客005 6.1 1.9 顧客006 3.2 4.7
[解答群]
ア 0人
イ 1人
ウ 2人
エ 3人
オ 4人
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「RFM分析」に関する知識を問う問題です。
「RFM分析」とは、店舗のPOSデータやECサイトの取引データなどの蓄積データ(トランザクション)を用いて顧客を分析する手法であり、「最新購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購買金額(Monetary)」という3つの指標で顧客をランク付けして、「優良顧客」「非優良顧客」「新規顧客」「安定顧客」「離反顧客」などの顧客セグメントに分類することをいいます。
今回の問題では、「Rを除いてFM分析を行う」と指定されているため「購買頻度(Frequency)」と「購買金額(Monetary)」で顧客をランク付けしていきます。
「購買頻度(F)」は「平均来店購買間隔(単位:日)」であり、「購買金額(M)」は「総購買金額(単位:万円)」であると定義されているため、「F」はその数値が小さい方が優良であり「M」はその数値が大きい方が優良であることを示しています。
また、「件数を均等に分割する方法で上位と下位に分割する」と記述されているため、それぞれの指標において件数の平均値よりも高いか低いかを基準として上位と下位に分類します。
これらを加味した上で、顧客001~顧客006をランク付けすると以下の通りとなります。
なお、「同点が発生した場合、上位に属するものとする」と指定されているため、「M」では「顧客002」と「顧客006」が「同点3位」となります。
F | M | FM上位 | |||||
件数 | 順位 | F上位 | 件数 | 順位 | M上位 | ||
顧客001 | 6.9 | 5位 | 7.3 | 2位 | ○ | ||
顧客002 | 9.3 | 6位 | 4.7 | 3位 | ○ | ||
顧客003 | 3.9 | 3位 | ○ | 7.5 | 1位 | ○ | ○ |
顧客004 | 1.7 | 1位 | ○ | 0.4 | 6位 | ||
顧客005 | 6.1 | 4位 | 1.9 | 5位 | |||
顧客006 | 3.2 | 2位 | ○ | 4.7 | 3位 | ○ | ○ |
平均件数 | 5.2 | - | - | 4.4 | - | - | - |
したがって、F上位かつM上位となる顧客は「顧客003」と「顧客006」であり、その人数は「2人」です。
答えは(ウ)です。
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