今回は、「運営管理 ~H28-40 物流情報システム(2)RFID~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
RFID
「RFID(Radio Frequency Identification)」とは、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm~数m)の無線通信により、「ICチップ」を内蔵した「ICタグ」のデータを非接触で読み取る自動認識技術のことをいい、コンピュータに接続された「リーダライタ」で、個体に貼付した「ICタグ」の識別情報を読み取り、対象を自動的に識別することができるため、「工場内の生産管理」「物品の流通管理」「物品の在庫管理」に採用することによって、物品の「トレーサビリティ」を実現することができます。
また、図書館における「資料の貸出・返却」や「蔵書の点検」「不正帯出防止」などが、「RFID」の活用事例としてよく取り上げられます。
「RFID」の特徴
「RFID」の特徴を以下に示します。
小売店舗のレジで、レーザーなどを使ってタグを1枚ずつスキャンする「バーコード」による運用を頭に浮かべながら特徴を読んでいくと、その違いが分かりやすいと思います。
- 距離が離れていても読み取ることができる
- 複数のタグを一気に読み取ることができる
- 表面が汚れていても読み取ることができる
- 箱の中に隠れているタグも読み取ることができる
- タグの情報を書き換えることができる
- タグにより多くの情報を記録することができる。
ICタグ(RFタグ)
「RFID」では、管理対象となる全ての物品に「ICタグ」を埋め込む必要があるため、「RFID」の利用を促進するためには「ICタグ」の大きさやコストが重要なポイントとなりますが、現在は「ICタグ」の小型化や薄型化が進み、非常に安価に生産できるようになっています。
ICタグの分類
電力供給方式による分類
「ICタグ」は、その電力供給方式により「パッシブタグ(受動タグ)」と「アクティブタグ(能動タグ)」と「セミアクティブタグ(起動型能動タグ)」に分類されます。
「パッシブタグ」は、反射波の強度が非常に小さく「アクティブタグ」と比較するとその受信距離が短くなるというデメリットがありますが、電池を内蔵しなくても「リーダ」からの電波をエネルギー源として動作するためほぼ恒久的に使用でき、さらに非常に安価に生産できるようになっているため、「RFID」に採用されることが多くなっています。
パッシブタグ | セミパッシブタグ | アクティブタグ | |
電力 | リーダライタからの電波をエネルギー源として動作 | リーダライタからの電波と内蔵電池により動作 | 内蔵電池により動作 |
通信距離 | 数mm~数m | 数cm~数m | 数m~数10m |
形状による分類
「ICタグ」は様々な場面で利用されるため、その形状も様々なものがあります。
- インレット型
- ラベル型
- カード型
- 角型
- 丸型
- スティック型
- 球型
- 箱型 など
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第40問】
従来のバーコードでは実現が困難であった高度な商品等の管理や業務の効率化を実現するツールとして、近年、電子タグ(ICタグ、RFタグ、無線タグなど)が注目されている。この電子タグの特徴に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 電子タグのICチップには、メモリが搭載されており、識別情報などを記録することができる。
イ 電子タグは、金属で被覆しても、通常非接触で読み取り可能である。
ウ 電子タグは、必要に応じて、メモリに書き込まれたデータを保護し、セキュリティを強化することができる。
エ 電子タグは、無線を使って通信するため、非接触で読み取り可能である。
オ 電子タグは、用途に応じてカード型やボタン型の形状が存在し、小型化や薄型化も進んでいる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「RFID」の「ICタグ」に関する知識を問う問題です。
(ア) 適切です。
「電子タグ(ICタグ)」は、内蔵された「ICチップ」に識別情報などを記録することができるため、選択肢の内容は適切です。
(イ) 不適切です。
「電子タグ(ICタグ)」は、金属で被覆すると、非接触で読み取ることができなくなるため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 適切です。
「電子タグ(ICタグ)」は、内蔵された「ICチップ」のデータを無線通信により読み取ったり書き換えたりすることが可能なため、知らないうちに「ICチップ」のデータを盗み取られたり改ざんされるといった危険性があります。
こういった「情報の盗み取り」や「なりすまし」を防止するために、「ICチップ」に記録されたデータの読み取りや書き換え処理を行う際に、暗号化技術による相互認証機能を持たせるなどのセキュリティ強化を実施することができるため、選択肢の内容は適切です。
(エ) 適切です。
コンピュータに接続された「リーダライタ」から、「電子タグ(ICタグ)」に書き込まれた識別情報を、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm~数m)の無線通信により、非接触で読み取ることができるため、選択肢の内容は適切です。
(オ) 適切です。
「電子タグ(ICタグ)」は、様々な場面で利用されるため、その形状も様々なものがあります。また、小型化や薄型化が進んでおり「RFID」の更なる利用拡大が期待されています。したがって、選択肢の内容は適切です。
答えは(イ)です。
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