運営管理 ~H28-20 資材調達(6)内外製区分~

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今回は、「運営管理 ~H28-20 資材調達(6)内外製区分~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

内外製区分

「内外製区分」とは、業務を自社で実施(内作/内製)するか、外部業者に委託(外注/外作/外製)するかを決定する活動のことをいいます。

「内外製区分」は、QCDを中心とした観点に基づきその決定を行いますが、QCD以外に「設備」「技術」「稼働率」といった観点に基づく検討も重要であるため、以下に説明していきます。

また、QCDによる評価は「内外製区分」や「外注先選定」のタイミングだけに限らず、外部業者に委託した後も、自社主導で「外注管理」を継続することが非常に重要です。

 

内外製区分の観点(設備/技術/稼働率)

「内外製区分」において、重要な観点である「設備」「技術」「稼働率」について、以下に説明していきます。

 

設備

工場の生産能力を超える需要の増加に「内作」で対応するためには、投資により生産設備を増強する必要がありますが、企業による設備投資の意思決定には、投資額を上回る収益を得られるだけの充分な需要と販売計画が見込まれることが前提条件となります。

そのため、「設備」という観点に着目した場合、工場の生産能力を超える需要の増加が一時的なものなのか、それとも継続的なもので設備投資に見合うだけの充分な収益が得られるのかに基づき判断します。

 

上述の内容を整理すると以下の通りです。

内外製 条件
外注 一時的な需要増加であり設備投資額を回収できるだけの販売計画が見込めない場合
内作 継続的な需要増加が見込まれ、設備投資額を回収できるだけの販売計画が見込まれる場合

 

技術

「技術」に着目した場合、その技術が企業にとって既存技術なのか新規技術なのかによっても、その判断が異なってきます。

 

既存技術の場合

「既存技術」で一番重要なのは、その技術が自社の事業にとって中核をなすコア技術であるかということです。

例えば、A社(製造業)にとっては、製品を生産する技術ノウハウが事業を継続するために重要な技術であり、生産した製品の配送業務に関するノウハウはあまり重要でないかもしれませんが、B社(運輸業)にとっては、効率的な配送業務の技術ノウハウが事業を継続するために重要な技術であると考えられます。

このように、何が重要な技術であるかはそれぞれの企業で異なりますが、自社の事業にとって中核をなす技術であり、他社との差別化を図ることができるような特殊な技術を有している場合は「内作」で対応します。

このような技術を「内作」で対応する理由(=外注とした場合のリスク)を以下に示します。

  • 自社が有する高度な技術ノウハウなどの機密情報が流出する恐れがある。
  • 当該技術のノウハウを蓄積することができなくなり、技術力が低下する。

 

上述の内容を整理すると以下の通りです。

内外製 条件
外注 その企業にとって中核をなす技術ではなく、外部業者に委託しても自社の高度なコア技術のノウハウ流出にはつながらない場合
内作 その企業にとって中核をなす専門技術であり、内作を続けることにより技術ノウハウを蓄積でき、技術力をさらに高めることができる場合

 

新規技術の場合

自社が有していない新たな技術が必要となった場合は、その技術を有している企業に「外注」することによって、自社で技術を一から開発するよりも、短期間で安価に対応することができます

将来を見据え、自社の事業にとって中核をなすコア技術に成長させるということであれば「内作」という判断も考えられますが、顧客から受けた要望に対して迅速に対応する必要がある場合は「外注」という判断を行います。

 

上述の内容を整理すると以下の通りです。

内外製 条件
外注 顧客から自社が有していない技術を必要とする要望を受け、迅速に対応する必要がある場合
内作 自社の将来を見据え、中核をなすコア技術に成長させたい場合(ただし、中小企業で考えた場合、その技術を有する機関と連携して開発を進めるというケースの方が多いと考えられます。)

 

稼働率

「稼働率」とは、自社の生産能力の利用比率を示しています。

「稼働率」が高く、自社の生産能力に余裕がなく対応できない場合は「外注」によって、なんとかその場を乗り切ることができます。また、「稼働率」が低く、自社の生産能力に余裕がある場合は「内作」により対応するという判断をすることもできます。

 

内外製 条件
外注 自社の生産能力に余裕がない場合
内作 自社の生産能力に余裕がある場合

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成28年度 第20問】

個別受注生産を行う工場において、次月の計画として下表に示すA〜Eの注文を受注した。すべての注文を社内で処理する(すなわち、内作する)能力がないため、いくつかの注文については外作を行うことを検討している。以下の条件のもとで内外作に割り当てる注文を適切に決定することにより、内作費用と外作費用を合わせた総費用の最小化を考える。総費用の最小値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:万円)。

 

1. 注文を処理するのに必要な処理時間、内作で処理した場合に発生する費用、
外作で処理した場合に発生する費用は下表のとおりである。

 

注文 A B C D E
処理時間(時間) 10 20 10 20 10
内作費用(万円) 10 10 20 20 9
外作費用(万円) 15 24 22 28 15

 

2. 内作では、2つ以上の注文を同時に処理することはできない。
3. 上表の注文の処理に利用できる社内製造時間は30時間である。

 

[解答群]

ア 69
イ 84
ウ 88
エ 90

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「内外製区分」に関する知識を問う問題です。

 

今回の問題では「自社の生産能力が不足している(稼働率が高い)」という理由から、一部の注文を「外注」で対応するという前提となっています。

いずれの注文も「内作」より「外注」で対応する方が費用が高くなっているため、「単位時間当たりにおける外注費用と内作費用の差額」が大きい注文は「内作」で対応して、差額が小さい注文は「外注」で対応すれば、総費用を最低限に抑えることができます

 

各注文の「単位時間当たりにおける外注費用と内作費用の差額」を整理していきます。

「単位時間当たりにおける外注費用と内作費用の差額」が大きい方から順に「注文B」と「注文E」を「内作」とした時点で、工場で対応可能な「社内製造時間:30時間」に達してしまうため、残りの「注文A」「注文C」「注文D」は「外注」で対応することとします。

 

注文 A B C D E
処理時間(時間) 10 20 10 20 10
内作費用(万円) 10 10 20 20 9
外作費用(万円) 15 24 22 28 15
外作-内作費用差額(万円) 5 14 2 8 6
単位時間当たり外作-内作費用差額(万円/時間) 0.5 0.7 0.2 0.4 0.6
内外作区分 外注 内作 外注 外注 内作

 

「注文B」「注文E」を「内作」で、「注文A」「注文C」「注文D」を「外注」で対応した場合に発生する総費用は以下の通りです。

 

注文 内外製区分 処理時間 費用
A 外注 15 万円
B 内作 20 時間 10 万円
C 外注 22 万円
D 外注 28 万円
E 内作 10 時間 9 万円
合計 30 時間 84 万円

 

答えは(イ)です。


 

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