運営管理 ~H28-4 製品設計(1)VA・VE~

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今回は、「運営管理 ~H28-4 製品設計(1)VA・VE~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

VA・VE

「VE(Value Engineering:価値工学)」とは、製品またはサービスにおける機能の本質を徹底的に追求して、真に必要な機能だけを最適なコストで提供することにより、「機能」と「コスト」の関係で表される「価値」の最大化を図る組織的活動のことをいいます。

 

 

「VE」は、基本的に「VA(Value Analysis:価値分析)」と同義で使われます。

「VA」は、既存製品に対してバリューチェーン全体の観点からコストダウンを行う活動ですが、この適用範囲を拡大して、製品開発・設計検討の段階から価値の最大化を考えるという活動が「VE」です。

 

VEの基本原則

「VEの基本原則」とは、価値ある製品またはサービスを追求する活動を正しい方向に誘導するための行動指針のことをいい、以下に示す5つの原則により構成されています。

 

  1. 使用者優先の原則
  2. 機能本位の原則
  3. 創造による変更の原則
  4. チーム・デザインの原則
  5. 価値向上の原則

 

VE実施手順

「VE実施手順」とは、VEにより効果的に問題解決するための基本ステップのことをいい、「機能定義」「機能評価」「代替案作成」に分類されます。

 

機能定義 VE対象の情報収集
機能の定義(一名詞・一動詞組合せ)
機能の整理(目的-手段の論理)
機能評価 機能別コスト分析
機能の評価(機能評価値評価)
対象分野の選定(優先順位決定)
代替案作成 アイデア発想
概略評価(代替案アイデア評価)
具体化
詳細評価(選択・決定)

 

価値の向上

「VE」において、製品またはサービスの「価値」を向上させる考え方を以下に示します。
なお、「VE」では「機能」を下げて「価値」を向上するという考え方は行いません
また、「VE」で対象とする「コスト」は、製品の開発から廃棄までの「総ライフサイクルコスト」です。

 

VEの考え方 ×
機能 ↑↑
コスト ↓↓

 

機能

「VE」では、製品またはサービスの機能を以下の通り区分します。

「使用機能」は、製品やサービスを使用するために備えていなければならない機能であり、「貴重機能(魅力機能)」は、製品の意匠や外観など、顧客に魅力を感じさせる機能です。

さらに、「使用機能」は、その機能を除くとその製品またはサービスの存在価値がなくなる機能である「基本機能(一次機能)」と、基本機能を達成するための手段的ないしは補助的な機能である「補助機能(二次機能)」に区分します。

 

 

「VE」により、製品またはサービスの「価値」を最大化させるために真に必要な機能が何であるかを検討していく中で、検討の主体となるのは「補助機能(二次機能)」です。
これは、「補助機能(二次機能)」があくまで補助的な機能であり、その機能がなくても製品またはサービスの存在価値には影響しないためです。

なお、「VE」では、製品またはサービスの機能を「名刺+動詞(○○を××する)」という形で表現して定義します。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成28年度 第4問】

VEにおける製品の機能に関する記述として、最も不適切なものはどれか

 

ア 貴重機能は製品の使用目的にかかわる機能である。
イ 製品の機能は基本機能と二次機能に分類され、二次機能は基本機能を補助する。
ウ 必要機能はその製品の基本機能になる場合が多いが、貴重機能が基本機能になる場合もある。
エ 不必要機能は製品の二次機能に発生する場合が多い。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「VE」における製品またはサービスの機能に関する知識を問う問題です。

 

機能の分類と説明

「VE」では、製品またはサービスの機能を以下の通り区分します。

分類 説明
使用機能 製品やサービスを使用するために備えていなければならない機能のこと
基本機能
(一次機能)
その機能を除くとその製品またはサービスの存在価値がなくなる機能のこと
補助機能
(二次機能)
基本機能を達成するための手段的ないしは補助的な機能のこと
貴重機能
(魅力機能)
製品の意匠や外観など、顧客に魅力を感じさせる機能のこと

 

(ア) 不適切です。

「貴重機能(魅力機能)」とは、製品の意匠や外観など、顧客に魅力を感じさせる機能であり、製品の使用目的にかかわる機能ではないため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

製品の機能は「使用機能」と「貴重機能(魅力機能)」に分類されます。
さらに、「使用機能」は「基本機能(一次機能)」と「補助機能(二次機能)」に分類されます。「基本機能(一次機能)」は、その機能を除くとその製品またはサービスの存在価値がなくなる機能のことをいい、「補助機能(二次機能)」は、基本機能を達成するための手段的ないしは補助的な機能のことをいいます。

選択肢の文章は、少し言葉足らずではありますが、間違ってはいないため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 適切です。

一般的に、「基本機能(一次機能)」は、その機能を除くとその製品またはサービスの存在価値がなくなる機能のことをいい、「貴重機能(魅力機能)」は、製品の意匠や外観など、顧客に魅力を感じさせる機能のことのことをいいます。

しかし、「ブランド品」では、少し考え方が異なることがあるため、例として「高いブランド力を有するカバン」について考えてみます。

カバンの「基本機能(一次機能)」は「品物を入れる。」ですが、「高いブランド力」を求める顧客にとっては「品物を入れる。」という機能よりも、高いブランド力そのものが最も重要な機能(存在価値)であり、そのような顧客にとっては「高いブランド力」がなければ、そのカバン自体の存在価値がなくなってしまいます。

このように、「貴重機能(魅力機能)」が「基本機能(一次機能)」になる場合もあるため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 適切です。

「VE」により、製品またはサービスの「価値」を最大化させるために真に必要な機能が何であるかを検討していく中で、検討の主体となるのは「補助機能(二次機能)」です。
これは、「補助機能(二次機能)」があくまで補助的な機能であり、その機能がなくても製品またはサービスの存在価値には影響しないためです。

したがって、不必要な機能となるのは「補助機能(二次機能)」に発生する場合が多いため、選択肢の内容は適切です

 

答えは(ア)です。


 

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