今回は、「運営管理 ~H28-9 需給計画(1)資材所要量計画(MRP)~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
MRP -リンク-
本ブログにて「MRP」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- R3-9 需給計画(3)資材所要量計画(MRP)
- R1-7 需給計画(2)資材所要量計画(MRP)
- H30-2 工場レイアウト(1)設備配置
- H30-11 生産管理方式(1)トヨタ生産方式
- H30-13 資材調達(1)資材調達
MRP(Material Requirements Planning)
「MRP」には、狭義の捉え方と広義の捉え方がありますので、それぞれについて以下に示します。
狭義のMRP
「MRP(狭義)」とは、製品の生産計画である「基準生産計画(MPS)」に基づき、製品の生産に必要な部品や資材の数量を表す「部品構成表」と部品や資材の「在庫情報」「発注残情報」「調達リードタイム」から、発注すべき部品や資材の数量と時期を表す「資材所要量計画(MRP)」を作成する仕組みこのことをいいます。
なお、「MRP(狭義)」には、生産能力の不足や調達リードタイムの長期化や在庫情報と実在庫のズレなどといった問題が発生したときに補正する機能はありません。
また、「MRP(狭義)」に「基準生産計画(MPS)」を修正する機能はないため、需要の動向にあわせて頻繁に生産計画を変更するような製品の生産には適していません。
広義のMRP
「MRP(広義)」とは、「資材所要量計画」だけではなく、管理部門が「生産計画」を策定して全工程に作業指示を行い「生産統制」まで行う仕組みのことをいいます。
「MRP(広義)」は、計画主導型の生産管理方式(プッシュ型管理方式)であり、試験においては、真逆の発想である後工程引取型の生産管理方式(プル型管理方式)である「トヨタ生産方式」「ジャスト・イン・タイム」と比較されて出題されます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第9問】
下表は、製品Aの部品構成を示している。製品Aを30台組み立てる際に、部品dの所要量として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:個)。
製品Aの部品構成表
A a c 子部品 数量(個) 子部品 数量(個) 子部品 数量(個) a 2 c 2 d 3 b 2 d 2 e 3 c 3 e 2
[解答群]
ア 240
イ 390
ウ 570
エ 750
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「MRP(狭義)」において「資材所要量計画(MRP)」の作成に必要となる「部品構成表」に関する知識を問う問題ですが、問題文の条件を正確に読み取って計算することができば、確実に正解することができる問題です。
「製品A」を「1台」組み立てるのに必要な「部品d」の所要量
「製品A」を「1台」組み立てるのに必要な「部品d」の所要量を算出するため、最初に「製品A」を構成する「部品a」「部品b」「部品c」の生産に必要な「部品d」の所要量を求めていきます。
「部品a」の生産に必要な「部品d」の所要量
以下に示す通り「部品a」の生産に必要な「部品d」の数量は「3 × 2 + 2 = 8個」です。
「部品a」を構成する「部品c」を生産するために「部品d」が必要になる点を漏らさないように注意してください。
「部品b」の生産に必要な「部品d」の所要量
部品構成表に「部品b」を構成する部品の情報が記載されていません。
つまり「部品b」は仕入先から調達した品物を加工することなく、そのまま使用することができるということを示しています。
したがって「部品b」の生産に必要な「部品d」の数量は「0個」です。
「部品c」の生産に必要な「部品d」の所要量
以下に示す通り「部品c」の生産に必要な「部品d」の数量は「3個」です。
「製品A」を「1台」組み立てるのに必要な「部品d」の所要量
「部品a」「部品b」「部品c」の生産に必要な「部品d」の所要量から、「製品A」を「1台」組み立てるのに必要な「部品d」の所要量を算出します。
以下に示す通り「製品A」の生産に必要な「部品d」の数量は「8 × 2 + 3 × 3 = 25個/1台」です。
「製品A」を「30台」組み立てるのに必要な「部品d」の所要量
最後に「製品A」を「30台」組み立てるために必要な「部品d」の所要量を算出します。
- 25個/1台 × 30台 = 750個
答えは(エ)です。
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