運営管理 ~H29-19 資材調達(3)最適発注量~

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今回は、「運営管理 ~H29-19 資材調達(3)最適発注量~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成29年度 第19問】

食材の加工・販売を行う食品会社において、ある食材の経済的発注量を検討することを考える。当日に納入された食材は、注文に応じて販売分だけを加工して客に提供される。食材は翌日以降に持ち越して販売することはできない。食材の仕入れ単価は80円/個、加工単価は40円/個、加工食材の販売単価は460円/個である。また、販売できずに売れ残った食材は、飼料会社によって20円/個で買い取られていく。

以下の設問に答えよ。

 

(設問1)

この食品会社において、「食材を需要量よりも1個多く発注したときの売れ残り損失」と「食材を需要量よりも1個少なく発注したときの品切れ損失」の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。ただし、品切れが発生したときの信用損失は考慮しないものとする。

 

ア 売れ残り損失: 60円 品切れ損失:340円
イ 売れ残り損失: 60円 品切れ損失:460円
ウ 売れ残り損失:100円 品切れ損失:340円
エ 売れ残り損失:100円 品切れ損失:460円

 

(設問2)

食材の過去100日の需要量の分布を調べたところ、表1のようなデータが得られた。表2は、この需要分布のもとで、食材の1日当たりの発注量を変化させたときの平均損失額を計算したものである(一部は空欄になっているので注意すること)。表2を利用して1日当たりの平均損失額を最小化する発注量を求めることを考えるとき、最適発注量の値として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

表1 過去100 日の需要量の分布

需要量(個) 度数(日) 累積度数(日)
48 10 10
49 20 30
50 40 70
51 20 90
52 10 100
合計 100

 

表2 各発注量のもとでの平均損失額

発注量(個)
48 49 50 51 52
需要量(個) 48 0 6 12 18 24
49 68 0 12 24
50 272 0 24 48
51 204 136 68 0 12
52 136 102 68 34 0
平均損失額(円) 680 160 100

 

[解答群]

ア 49個
イ 50個
ウ 51個
エ 52個

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

「設問2」で「最適発注量」を求めるために、「設問1」では「食材を需要量よりも1個多く発注したときの売れ残り損失」と「食材を需要量よりも1個少なく発注したときの品切れ損失」を算出していきます。

 

今回の問題においては、「品切れが発生したときの信用損失は考慮しないものとする」という前提条件となっていますが、「品切れ」は売上の機会を逃す(機会損失が発生する)だけでなく、顧客からの信用失墜を招く恐れがあるため、「品切れ」を回避することは企業にとって重要な課題として取り組む必要があります。

 

売れ残り損失

「食材を需要量よりも1個多く発注したときの売れ残り損失」を算出していきます。

「売れ残り損失」を算出するため、販売できずに売れ残った資材に発生してしまった原価を確認していきます。

この食品会社では、注文に応じて販売分だけを加工して提供しているため、販売できずに売れ残った資材の原価に、食材の仕入れに関する費用を含みますが、食材に対する加工処理は実施していないため、加工処理に関する費用は含みません

また、販売できずに売れ残った食材は飼料会社が買い取ってくれるため、「買い取り価格」を原価から控除する必要があります。

 

「食材を需要量よりも1個多く発注したときの売れ残り損失」は以下の通りです。

 

項目 価額
仕入れ単価 ¥80
買い取り単価 ¥▲20
売れ残り損失 ¥60

 

品切れ損失

「食材を需要量よりも1個少なく発注したときの品切れ損失」を算出していきます。

「品切れ損失」を算出するため、食品が売れた場合に得られるはずであった「利益」を確認していきます。(食品を売れた場合に得られるはずであった「売上高」ではありません。)

 

「食材を需要量よりも1個少なく発注したときの品切れ損失」は以下の通りです。

 

項目 価額
販売単価 ¥460
仕入れ単価 ¥80
加工単価 ¥40
品切れ損失 ¥340

 

答えは(ア)です。


 

考え方と解答(設問2)

問題文で与えられたデータに基づき、「表2」で空欄となっている箇所の穴埋めを行って「平均損失額」を最小化させる「発注量」を求めていきます。

 

「需要量:50個」「発注量:49個」における「平均損失額」

「需要量 > 発注量」であり食材が不足するため「品切れ損失」が発生します。
「需要量:50個」「発注量:49個」における「平均損失額」は以下の通りです。

 

  • 品切れ損失/個:340 円/個(設問1より)
  • 品切れ個数/日 = 需要量:50 個 - 発注量:49 個 = 1 個/日
  • 品切れ損失/日 = 340 円/個 × 1 個/日 = 340 円/日
  • 平均損失額 = 340 円/日 × 発生確率:40 日/100 日 = 136 円

 

「需要量:49個」「発注量:52個」における「平均損失額」

「需要量 < 発注量」であり食材が販売できずに売れ残るため「売れ残り損失」が発生します。「需要量:49個」「発注量:52個」における「平均損失額」は以下の通りです。

 

  • 売れ残り損失/個:60 円/個(設問1より)
  • 売れ残り個数/日 = 発注量:52 個 - 需要量:49 個 = 3 個/日
  • 売れ残り損失/日 = 60 円/個 × 3 個/日 = 180 円
  • 平均損失額 = 180 円 × 発生確率 20 日/100 日 = 36 円

 

上記で、算出した金額を「表2」で空欄となっている箇所に当てはめて表を完成させます。

 

発注量(個)
48 49 50 51 52
需要量(個) 48 0 6 12 18 24
49 68 0 12 24 36
50 272 136 0 24 48
51 204 136 68 0 12
52 136 102 68 34 0
平均損失額(円) 680 374 160 100 120

 

上記の結果、「平均損失額」を最小化させる「最適発注量」は「51個」です。

 

答えは(ウ)です。


 

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