事例Ⅲ ~平成24年度 解答例(1) 全体構成の理解~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成24年度 解答例(1) 全体構成の理解~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成24年度試験問題一覧~

平成24年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

全体構成の理解

事例Ⅰ~事例Ⅲの問題では、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることをお薦めします。

 

平成24年度の試験問題では、「食品スーパー向け製品の販売は少品種多量生産」の改善策を「第2問」と「第4問」のどちらの解答に盛り込むかという切り分けが非常に難しくなっています。

「第1問」から順番に問題を解いていくと、「第2問」の「顧客や新製品の増加によってC社が直面している課題と改善策」において「食品スーパー向け製品の販売は少品種多量生産」の改善策を解答してしまうと考えられます。

しかし、「第2問」において「食品スーパー向け製品の販売は少品種多量生産」を解決してしまうと「第4問」を解き始めた時に解答の材料がないことに気づき、「第2問」の解答を慌てて作り直すことにもなりかねません

 

こういった手戻りを起こさないためにも、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることが非常に重要です

 

第1問

第1問(配点10点)

 

X社から加工部門を分離して創業したC社の成長要因は何か、100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第1問では、食品スーパーの加工部門から独立して現在に至るC社の創業からの事業変遷を把握し、成長要因を分析する能力を問われています。

 

今回の問題では、事例Ⅲの第1問でよく出題される単なる「C社の強み」ではなく、X社から加工部門を分離して創業した「C社の成長要因」を求められています。

強みや弱みについて解答するときと同じように、与件文から該当する文言を抜き出して列挙していくこととなりますが、「C社の成長要因」というキーワードを意識しながら与件文を読んでいく必要があります。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文の【企業概要】に記述されています。

与件文を読んでいくと、一段落目に記述されている「生産性の向上」が成長要因の全てであるように感じてしまいますが、文章をよく読むと「生産性の向上」によって「外食チェーンからの受注」に成功したとは記述されていません

「外食チェーンからの受注」に成功したのは、「生産性の向上」以外の要因があると分かります。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第2問

第2問(配点20点)

 

C社は創業から20年以上が経過して、顧客や新製品の増加によってさらに変革が必要となっている。図1〜図3なども参考に、C社が直面している課題とその具体的改善策を140字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第2問では、食品スーパーから外食チェーンへと顧客数が増大し、さらに製品品目が増加しているなかで生じているC社の課題を把握し、そのための問題を解決する能力を問われています。

 

「食品スーパー向け製品の販売は少品種多量生産」という問題の扱いが悩ましい問題です。

第2問で「少品種多量生産」を解答に盛り込んでしまうと、第4問で解答する材料がなくなってしまうためです。

ここでポイントとなるのは「C社が直面している」という言葉だと考えられます。

解釈が難しいですが、私なりに「C社が直面している」=「問題が顕在化している」と解釈することとしました。(少品種多量生産も図1で顕在化しているとは思いますが。)

顕在化している問題は、「清掃、洗浄、消毒の作業」「欠品によって受注に対応できない」「在庫が過大となっている(図3)」と捉えて、解答を考えていきます。

 

また、解答を考えるにあたっては、「問題」と「課題」の違いにも注意していきます。
発生している「問題」と達成すべき目標とのギャップから「課題」を整理して「課題」を実現するための「改善策」を記述するという流れで解答を構成していきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【生産概要】の中盤から後半に記述されています。

 

上述した通り、「清掃、洗浄、消毒の作業」「欠品によって受注に対応できない」「在庫が過大となっている(図3)」を問題として捉え「食品スーパー向け製品の販売は少品種多量生産」については「第4問」の解答に盛り込んでいくこととします。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第3問(設問1)

第3問(配点40点)

 

C社では新規事業として外食チェーンY社との取引を検討している。その計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問1)

Y社から要求されているセントラルキッチンとしての機能を備えるためには、C社ではどのような対応を必要とするのか、120字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第3問(設問1)では、食品スーパーを中心に事業展開してきたC社にとって、Y社から要請されているセントラルキッチン事業を実現するための課題を発掘し、そのための問題を解決する能力を問われています。

 

Y社から要求されているセントラルキッチンとしての機能と、現在のC社における生産の現状を比較して、そのギャップからどのような対応が必要かを考えて、解答を構成していきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文の【生産概要】の中盤と最後の一段落、および【新規事業】の中盤に記述されています。

Y社から要求されているセントラルキッチン事業で必要な対応は【新規事業】に記述されていますが、C社の現状と比較するために【生産概要】に記述されている内容も確認していく必要があります。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第3問(設問2)

第3問(配点40点)

 

C社では新規事業として外食チェーンY社との取引を検討している。その計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問2)

Y社から要求されているセントラルキッチンとしての機能を果たすためには、C社の日常業務上どのような情報が必要になるか、100字以内で挙げよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第3問(設問2)では、Y社から要請されているセントラルキッチン業務を円滑に推進するために、C社に求められる生産や管理に必要な情報を分析する能力と提案する能力を問われています。

 

セントラルキッチン業務の流れを受注から出荷まで頭でイメージして、必要な情報を洗い出して解答を構成していきます。

実際の試験においては、与件文に採用できる情報がないかを探していくはずなので、なかなか参考となる情報が見つからずに、かなり焦ることになると思います。

 

受注から出荷までの一般的な流れである「顧客からの受注」⇒「生産計画の策定」⇒「生産統制(進捗管理、余力管理、現品管理)」⇒「製品の出荷」をベースに、Y社から求められている「製品のトレーサビリティは国産牛を使用することから個体管理すること」の特殊要件を追加して解答を考えていきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文の【生産概要】の最後の一段落と【新規事業】の最後の一段落に記述されています。

今回の問題では、セントラルキッチン業務の流れを受注から出荷まで頭でイメージして、必要な情報を洗い出していきますが、Y社から求められている特殊要件が記述されている箇所について確認していきます。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第4問

第4問(配点30点)

 

C社の既存製品の販売数量は減少傾向にあり、さらに既存顧客から製品単価の引き下げ要求がある。それを克服して収益性を高めるには、あなたは中小企業診断士としてどのような方法を提案するか、Y社との新規取引以外で、C社にとって実現性の高い提案を140字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第4問では、受注量の減少傾向、製品単価の引き下げ要求がある食肉製品製造業のC社にとって、収益性を高めるための方法を分析する能力と提案する能力を問われています。

 

収益性を高めるには「売上の拡大」「原価の低減」の2つの方法があります。

 

売上の拡大

一般的に、売上を拡大するための手段としては「既存顧客の受注拡大」と「新規顧客からの受注獲得」と「新規事業の開発」が考えられます。

 

既存顧客の受注拡大

問題文に「既存製品の販売数量は減少傾向にあり、さらに既存顧客から製品単価の引き下げ要求がある」と記述されており「既存顧客の受注拡大」は実現性が低いと考えられるため、解答から除外します。

 

新規顧客からの受注獲得

問題文に「Y社との新規取引以外」と記述されているため「Y社以外の新規顧客からの受注獲得」と限定されます。

 

新規事業の開発

問題文に「C社にとって実現性の高い提案」と記述されており、「食肉製品の生産販売」を生業としてきたC社にとって「新規事業の開発」は実現性が高い手段ではないと考えられるため、解答から除外します。

 

原価の低減

原価の低減は、一言で表現すると「生産性の向上」と言い換えることができます。
既存製品の生産工程において、非効率となっている問題に対する改善策を提案することができます。

 

まとめ

上記の検討結果から、解答には以下の2つを盛り込んで解答を構成していくこととします。

 

  • 生産性の向上による原価の低減
  • Y社以外の新規顧客からの受注獲得

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【企業概要】の中盤、【生産概要】の前半から中盤、【図1 C社の製品別月平均販売数量】、【新規事業】の後半に記述されています。

 

生産性の向上による原価の低減

【企業概要】には既存顧客の売上拡大が厳しい現状が記述されており、【生産概要】にはC社の生産工程における問題点が記述されています。「第2問」の解答で採用しなかった少品種多量生産となっている製品ラインナップの見直しが解答の骨子になると考えられます。

 

Y社以外の新規顧客からの受注獲得

【新規事業】では「Y社からの要求で実現に向けて取り組んでいるセントラルキッチン事業」の実現に向けて取り組んでいるため、Y社からの受注を獲得した後「セントラルキッチン事業」のノウハウを横展開して新規顧客を開拓していくという解答になると考えられます。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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