事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(1) 全体構成の理解~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(1) 全体構成の理解~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成27年度試験問題一覧~

平成27年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

全体構成の理解

事例Ⅰ~事例Ⅲの問題では、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることをお薦めします。

例えば、平成27年度の問題では「第1問-設問3」「第2問」「第3問」で、それぞれ与件文のどこを参考にして解答を構成するかという切り分けが非常に難しくなっています。

「第1問-設問3」「第3問」は、いずれも納期に関する問題となっており、「第2問」は「生産工程に生じている問題点とその改善策」に関する問題となっているため、「第2問」では納期に関連する解答をしないよう注意する必要があります。

もう少し詳細に見ていくと、「第1問-設問3」では「自動車業界で要求される短納期に対応するための改善策」について、「第3問」では「納期遅延の解消を目的とした生産管理のIT化」について問われており、試験問題の全体像を確認せずに「第1問-設問3」を解答してしまうと「第3問」の問題を読んだときに、自分の解答構成の誤りに気付き、手戻りが発生してしまうことになってしまいます。(普通に与件文を読んで問題を上から順に解いていくと「第1問-設問3」で「生産管理を改善する」と書いてしまう方が多いと思いますが、「生産管理」に関する対策は「第3問」で解答すべき内容です。)

こういった手戻りを起こさないためにも、最初に、試験問題の全体像を把握して、それぞれの問題で与件文のどこを参考にして解答するかを考えることが非常に重要です

 

第1問(設問1)

第1問(配点40点)

 

C社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問1)

C社が自動車部品分野に参入する場合、強みとなる点を2つあげ、それぞれ40字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第1問(設問1)では、鋳物工場として創業したC社の事業変遷、事業内容を把握し、自動車部品生産への新規参入の検討に際して考慮すべきC社の強みを分析する能力を問われています。

 

「事例Ⅲ」の第1問としてよくあるパターンの問題であり、与件文から該当する文言を抜き出して列挙していきます。与件文から該当する文言を抜き出すのはそれほど難しくありませんが、抜き出した強みを文字数内に収めるために取捨選択するのが難しい問題です。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【C社の概要】の中盤に記載されています。
問題文には、「自動車部品分野に参入する場合」という枕詞が入っていますが、与件文を読んでも、自動車部品分野に参入することに特化した「C社の強み」は記載されていないようです。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第1問(設問2)

第1問(配点40点)

 

C社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問2)

自動車部品の受注獲得は、C社にとってどのようなメリットがあるのか100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第1問(設問2)では、C社の事業内容を把握し、自動車部品生産への新規参入によって得られるC社のメリットを分析する能力を問われています。

 

事例Ⅲにおいて、新製品の受注によるメリットと言われると「顧客の新たな要求に応えることによって技術力が向上する」とか「需要変動の異なる製品の受注による生産活動の平準化」という言葉が頭に浮かんでくるようにしておいた方が良いと思います。

ちなみに、新製品の受注によるメリットと言われた時に、「取引先の分散による経営基盤の安定」とか「需要変動の異なる製品の受注による経営基盤の安定」という言葉がすぐに頭に浮かぶ方も多いのではないかと思いますが、この表現は「事例Ⅱ」で使うことが多い考え方です。(もちろん、与件文の内容にもよりますが。)

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【C社の概要】の後半、【C社の生産概要】の前半、【改善チームによる調査結果】の冒頭に記述されています。

キーワードが与件文の全体に分散していること、また非常に細かい一言に気が付けるかどうかがポイントなので、網羅的に抜粋するのは少し難しいと思います。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第1問(設問3)

第1問(配点40点)

 

C社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問3)

自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第1問(設問3)では、短納期を要求される自動車部品生産への新規参入の検討を行っているC社の生産体制に関する課題を把握し、その改善策を提案する能力を問われています。

 

「自動車業界で要求される短納期に対応するための改善策」について問われており、与件文を普通に読んでいくと「生産管理を改善する」という解答をしてしまいがちですが、「第3問」でも「納期遅延の解消を目的とした生産管理のIT化」という「納期」に関する問題が出題されており、「生産管理」は「第3問」で解答すべき内容であることが分かります。

したがって、「第1問(設問3)」では、納期に関するそれ以外の課題を解決する改善策を解答することとなりますが、与件文を読むだけでは切り分けが非常に難しかったため、「第3問」の解答を作成した後、この問題の解答を考える方が解きやすいと思います

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【C社の生産概要】と【改善チームによる調査結果】の前半に記述されています。

実際には、「第3問」の解答を作成した後、「第3問」の解答で取り上げなかった内容を中心に与件文から抜粋したという状況です。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第2問

第2問(配点20点)

 

C社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第2問では、現在まで行ってきた設備投資によって生じているC社の生産工程に関する課題を把握し、解決する能力を問われています。

平成27年度の問題では「第1問-設問3」「第2問」「第3問」で、それぞれ与件文のどこを参考にして解答を構成するかという切り分けが非常に難しくなっています。

「第1問-設問3」「第3問」は、いずれも納期に関する問題となっているため、「第2問」では納期に関連する解答をしないよう注意して解答を考えていきます

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文において、【改善チームによる調査結果】の後半に記載されています。

【改善チームによる調査結果】の2段落目に、「多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況」との記載があり、この問題の解答に取り入れたくなりますが、この段落は「納期遅延が生じる原因」を説明しているため、「第1問-設問1」「第3問」の中で解答していくこととなります。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第3問

第3問(配点20点)

 

C社は、納期遅延の解消を目的に生産管理のIT化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第3問では、納期遅延の解消を目的とした生産管理のIT化を計画しているC社の課題を把握し、納期管理の方法を提案する能力を問われています。

 

「納期遅延の解消を目的とした生産管理のIT化」について問われていますが、「納期遅延の解消」という言葉に囚われすぎると解釈が難しくなるため、第3問は、IT化によってどのように「生産管理」を行うかという観点で単純に考えた方が分かりやすいと思います。

「生産計画」に基づき「生産統制」を行えば「QCD」を管理することができるため、必然的に納期遅延を解消することができます

また、事例ⅢにおいてIT化の効果として取り上げられる「各工程間における情報の共有」という観点も踏まえて、解答を取りまとめていきます。

なお、与件文を読むだけでは、「第1問(設問3)」「第3問」が参照すべき箇所の切り分けが非常に難しかったため、この問題の解答を作成した後、「第1問(設問3)」の解答を考えていきました

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文において、【C社の生産概要】の中盤に「C社における生産管理の状況」が記述されています。

また、活用すべき情報については、【C社の生産概要】の後半と【改善チームによる調査結果】に分散して記述されているため、解答から漏れないように、文章ではなく「単語」で抜粋します。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

第4問

第4問(配点20点)

 

海外製品との競争が厳しい時代のなかで、今後もC社は国内生産を維持する考えである。そのためにC社が強化すべき点は何か、その理由とともに140字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

第4問では、C社の経営環境を把握し、国内生産を維持していくために必要な戦略と強化策について助言する能力を問われています。

 

国内生産を維持していくために必要な戦略と強化策を求められているため、与件文の中で「外部環境と内部環境の状況」について記述されている箇所を抜粋して「C社の強みを伸ばしてC社の弱みを克服する方法」を解答として取りまとめていくという流れで考えていきます。

重要なのは、これまでの問題で解答に取り上げていない「弱み」については、必ず解答に盛り込む。という点です。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文において、【C社の概要】の中盤から後半に記述されています。

【C社の生産概要】と【改善チームによる調査結果】に記述されている内容は、これまでの問題で解答していますが、【C社の概要】に記述されている「若手人材確保が難しく高齢化が進んでいる」「農業機械部品と産業機械部品の顧客からの軽量化、複雑形状化要求に対応できていない」という「C社の弱み」については、これまでの問題で触れていないため、必ず解答に盛り込んでおきたいところです。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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