運営管理 ~H30-27 商品計画(1)商品構成と品揃え~

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今回は、「運営管理 ~H30-27 商品計画(1)商品構成と品揃え~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成30年度一次試験問題一覧~

平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

商品計画・商品構成・品揃え -リンク-

本ブログにて「商品計画」「商品構成」「品揃え」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

商品計画

「商品計画」とは、小売店舗において、多様化する顧客ニーズを満足させて、利益を得ることをできる「商品構成(商品ミックス)」を計画することをいいます。

中小企業の小売店舗が、大型店舗に対抗するためには、他店との違いや独自性といったストアコンセプトを明確に打ち出して「差別化」を図る「商品構成(商品ミックス)」とする必要があります。

「差別化」を図るためには、「ターゲットとする顧客」を選定して「その対応ニーズ」を把握してから「商品構成(商品ミックス)」を計画していきます。

 

商品構成(商品ミックス)

「商品構成(商品ミックス)」には階層があり、大まかな商品構成のことを「商品カテゴリー(商品ライン)」といい、さらに細かな商品構成を「品目(商品アイテム)」といいます。

 

商品カテゴリー(商品ライン)

「商品カテゴリー(商品ライン)」とは、相互に関連性がある一連の商品群のことをいいます。「商品カテゴリー(商品ライン)の数」のことを「品揃えの幅」といい「狭い」「広い」で表されます

 

品目(商品アイテム)

「品目(商品アイテム)」とは、同一の「商品カテゴリー(商品ライン)」における商品の種類のことをいいます。「品目(商品アイテム)の数」のことを「品揃えの奥行き」といい「浅い」「深い」で表されます

 

品揃え戦略

「品揃え戦略」には「品揃えの総合化(フルライン政策)」「品揃えの専門化(限定ライン政策)」といった方法があります。

 

品揃えの総合化(フルライン政策)

「品揃えの総合化」とは、販売する「商品カテゴリーの数」を増やすことによって「品揃えの幅を広げること」をいいます。

 

品揃えの専門化(限定ライン政策)

「品揃えの専門化」とは、販売する「商品カテゴリーの数」を絞り込み、「品目(商品アイテム)の数」を増やし、「品揃えの奥行きを深くすること」をいいます。

 

中小企業の小売店舗における品揃え戦略

中小企業の小売店舗が、豊富な品揃えを武器とする大型店舗に対抗するためには、他店との違いや独自性といったストアコンセプトを明確に打ち出して「差別化」を図る必要があります。

また、中小企業の小売店舗では、大量の商品を陳列するスペースを確保することも難しいため、商品を絞り込んで効率性を高めていく必要があります

これらの状況を組み合わせると、中小企業の小売店舗が採用する「品揃え戦略」は、品揃えの幅を狭く奥行きを深くする「品揃えの専門化(限定ライン政策)」に限定されてきます。

 

 

ラインロビング

「ラインロビング」とは、販売する「商品カテゴリーの数」を増やすことにより、他店から顧客や売上を奪うことをいいます。

 

在庫回転率

「在庫回転率」は、一定期間において在庫が何回入れ替わっているか(回転しているか)を示しています

「在庫回転率」は、以下の公式により算出されます。

 

 

「在庫回転率」が低いということは、在庫が自社の倉庫に滞留しており売上に貢献していないことを示しています。逆に言うと、「在庫回転率」が高い方が、製品が倉庫に滞留しておらず、売上に貢献していることを示しているため、良好な状態であるということを表しています

なお、「在庫回転率」が高い場合は、製品が倉庫にあまりストックされていないことを示しているため、一次的な需要の急増等に対応できず品切れを起こす危険性があります。

品切れによって、売上の機会を逃す(機会損失が発生する)だけでなく、顧客からの信用失墜を招く可能性もあるため、適正な在庫量を確保することが重要です。

 

在庫回転率

一定期間における在庫の回転回数。(JISZ8141-7303)

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成30年度 第27問】

小売店の品揃えの方針に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

a 売れ筋商品を中心に品揃え商品数を絞り込むと、店全体の在庫回転率を高めやすい。

b 同じ商品カテゴリーの中で多数のメーカーの商品を品揃えすると、品揃えの総合化になる。

c 競合店にない独自商品を品揃えすれば、品揃え商品数を増やさなくても差別化ができる

d 品揃えを専門化するためには、売れ筋商品に品揃え商品数を絞り込むことが重要である。

 

[解答群]

ア aとb
イ aとc
ウ bとc
エ bとd
オ cとd

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

商品構成と品揃えに関する知識を問う問題です。

 

(a) 適切です。

「在庫回転率」とは、一定期間において在庫が何回入れ替わっているか(回転しているか)を示す指標であり、以下の公式により算出されます。

 

 

「在庫回転率」が高い場合は、入荷した商品がすぐに売れているため、効率的であることを表しており、逆に「在庫回転率」が低い場合は、入荷した商品がなかなか売れずに店舗に滞留しているため、効率が悪いことを表しています。

例として、店舗にストックされている在庫量が同じである「売れ筋商品」と「死に筋商品」の「在庫回転率」を以下に示します。

 

売れ筋商品 死に筋商品
販売数量 1,000個 100個
期首在庫 10個 10個
期末在庫 10個 10個
在庫回転率 100回 10回

 

上記の表に示す通り、「売れ筋商品」の方が「死に筋商品」よりも「在庫回転率」が高くなることが分かります。(実際には、販売数量1,000個の「売れ筋商品」はもっと在庫量を多くしないと品切れを起こす危険があります。上記の表はあくまで例として捉えてください。)

つまり、「売れ筋商品」を中心に品揃え商品数を絞り込むと、もともと「在庫回転率」の高い商品を取り扱うことになるため、店舗全体の「在庫回転率」が高くなります

 

選択肢では、「店全体の在庫回転率が高くなる。」ではなく、「店全体の在庫回転率を高めやすい。」と記載されていますので、この点について、もう少し考えてみます。

 

店舗で取り扱う商品数が多いと、それぞれの商品に対して、きめ細やかな在庫管理を行うことが難しくなります

例えば、季節変動や流行による販売予測を考慮して商品ごとの発注量を決定するのではなく、売れた数量を補充するために売れた数量を業者に発注するという単純な発注方式になってしまいがちです。

「売れ筋商品を中心に品揃え商品数を絞り込む」ことによって、店舗で取り扱う商品の種類が少なくなれば、それぞれの商品に対する販売予測を行うなど手間をかける時間が増え、きめ細やかな在庫管理を行うことができるようになるため、余剰在庫や品切れを発生させない「最適在庫量」を維持することができ、店舗全体の在庫回転率を高めることができます。

 

したがって、「売れ筋商品を中心に品揃え商品数を絞り込む」と、店全体の在庫回転率を高めやすくなるため、選択肢の内容は適切です

 

(b) 不適切です。

「品揃えの総合化」とは、販売する「商品カテゴリーの数」を増やすことによって「品揃えの幅を広げること」をいいます。

同じ商品カテゴリーの中で多数のメーカーの商品を品揃えする」ことは、「品揃えの奥行きを深くすること」であり「品揃えの総合化」には該当しないため、選択肢の内容は不適切です

 

(c) 適切です。

「差別化」とは、「他店との違いや独自性といったストアコンセプトを明確に打ち出すこと」をいいます。

「競合店にない独自商品を品揃えすること」によって、他店との違いや独自性といったストアコンセプトを明確に打ち出すことができ、他店との差別化を図ることができるため、選択肢の内容は適切です

 

(d) 不適切です。

「品揃えの専門化」とは、販売する「商品カテゴリーの数」を絞り込み、「品目(商品アイテム)の数」を増やし、「品揃えの奥行きを深くすること」をいいます。

「売れ筋商品に品揃え商品数を絞り込むこと」は、広さに限界がある店舗で効率性を高めるために有効な手段ではありますが「品揃えの専門化」には該当しないため、選択肢の内容は不適切です

 

(a)と(c)に記述されている内容が適切であるため、答えは(イ)です。


 

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