財務・会計 ~H30-15 デリバティブ取引(オプション取引)(5)~

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今回は、「財務・会計 ~H30-15 デリバティブ取引(オプション取引)(5)~」について説明します。

財務・会計 ~平成30年度一次試験問題一覧~

平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

デリバティブ取引(オプション取引)

一次試験に向けた「デリバティブ取引(オプション取引)」の記事は、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

オプション取引

「オプション取引」とは、ある将来の一定の期日(行使期日)または期日までの間(行使期間)に、外貨をある一定の価格(行使価格)で売買する権利を得るための取引です。

「オプション取引」は、行使期日または行使期間中に、実際の為替レートを確認しながら、利益を享受できるような為替レートになっていた場合は権利を行使して取引を行い、逆に損失を受けるような為替レートになっていた場合は権利を放棄して損失を回避することができる選択権を有していることが特徴です。

プレミアム(オプションプレミアム)

オプション取引は、権利を購入するときに「プレミアム(オプションプレミアム)」と呼ばれる手数料を支払います。

つまり、権利を行使した場合でも放棄した場合でもこの手数料が発生するというデメリットがありますが、言い方を変えると「オプション取引」では為替レートがどのように変動しても、最大の損失はこの手数料の金額内に抑えることができるようになっています

「プレミアム(オプションプレミアム)」が「オプション」の価格であり、その価格は「本質的価値」と「時間的価値」の合計から構成されています。

コールオプションの価値

例えば、「ドル/円」の市場価格(原資産価格)が「1ドル=100円」の状況で「コールオプション」を購入しようと検討しているときに、以下の2つの権利があったとします。

  • 権利①:1ドルを90円で権利行使できる権利
  • 権利②:1ドルを110円で権利行使できる権利

権利①はドルを市場価格(原資産価格)より安く購入することができる(100円のドルを90円で購入できる)ため利益を得ることができる状態、権利②はドルを市場価格(原資産価格)より高く購入することになってしまう(100円のドルを110円で購入することになる)ため利益が出ない状態(プレミアム分の損失が発生する)ということになります。

「コールオプション」は、「市場価格(原資産価格)」と「権利行使価格」の関係により以下のように分類されます。

  • イン・ザ・マネー(In The Money)
    現時点で権利を行使したら利益を得ることができる状態
    市場価格(原資産価格)- 権利行使価格 > 0
  • アウト・オブ・ザ・マネー(Out of The Money)
    現時点で権利を行使したら損失が発生する状態
    市場価格(原資産価格)- 権利行使価格 < 0
  • アット・ザ・マネー(At The Money)
    現時点で権利を行使しても損益が発生しない状態
    市場価格(原資産価格)- 権利行使価格 = 0

ちなみに、プットオプションの場合は、権利行使価格と市場価格(原資産価格)の関係が逆になりますので、ご注意ください。

本質的価値

「本質的価値」とは、現時点で「オプション」の権利を行使したら得られる利益のことをいい、「市場価格(原資産価格)」から「権利行使価格」を控除することで算出することができます。

    • 本質的価値 = 市場価格(原資産価格)- 権利行使価格
      (※)本質的価値 ≧ 0

現時点で利益を得ることができる「イン・ザ・マネー」の状態にある「オプション」は、本質的価値が「プラス」であり、「アット・ザ・マネー」や「アウト・オブ・ザ・マネー」の状態にある「オプション」の本質的価値は「ゼロ」です。

「アウト・オブ・ザ・マネー」の状態にある「オプション」については、権利を放棄すれば損失は発生しないため、本質的価値は「マイナス」ではなく「ゼロ」となる点がポイントです。

時間的価値

「時間的価値」とは、権利行使期日までの間に「オプション」の価値が高くなる可能性への期待感を示しています。

例えば、「アウト・オブ・ザ・マネー」の状態にある「オプション」でも、権利行使期日までに「市場価格(原資産価格)」が高騰して「イン・ザ・マネー」の状態となる可能性があります。この可能性が「時間的価値」です。

「アウト・オブ・ザ・マネー」の状態にある「オプション」よりも、「アット・ザ・マネー」の状態にあるオプションの方が、「イン・ザ・マネー」の状態となる可能性が高いため、「オプション」の「時間的価値」は「アット・ザ・マネー」の状態が最も高くなります

タイムディケイ(Time decay)

「時間的価値」は、権利行使期日までの期間が長ければ高く、時間の経過とともに徐々に減少して、最後は必ずゼロになります。このように「時間的価値」が時間の経過とともに減少することを「タイムディケイ」といいます。

時間の経過とともに「時間的価値」が減少することについては、権利行使期日まで3ヶ月残っている「オプション」と3日しか残っていない「オプション」では、3ヶ月残っている「オプション」の方が価値が高くなる可能性が高いと考えると覚えやすいと思います。

ボラティリティ

「ボラティリティ」とは価格変動の度合いを示す言葉であり、価格の値動きが激しいことを「ボラティリティが大きい」といいます。

「ボラティティ」が大きい方が「アウト・オブ・ザ・マネー」から「イン・ザ・マネー」に転換する可能性が高くなるため「時間的価値」が高くなります

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成30年度 第15問】

コールオプションの価格に関する以下の文章の空欄①〜④に入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

コールオプションの価格は、権利行使したときに得られる[ ① ]価値とこれに上乗せされる[ ② ]価値の合計から構成されている。[ ① ]価値は[ ③ ]価格から[ ④ ]価格を控除することにより得られる。[ ③ ]価格 -[ ④ ]価格≦0 のときは[ ① ]価値はゼロとなる。

[解答群]

ア ①:時間的 ②:本質的 ③:権利行使 ④:原資産
イ ①:時間的 ②:本質的 ③:原資産  ④:権利行使
ウ ①:本質的 ②:時間的 ③:権利行使 ④:原資産
エ ①:本質的 ②:時間的 ③:原資産  ④:権利行使

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

考え方と解答

「コールオプションの価格」に関する知識を問う問題です。

「オプション」の価格は「本質的価値」と「時間的価値」の合計から構成されています。

「本質的価値」とは、現時点で「オプション」の権利を行使したら得られる利益のことをいい、「市場価格(原資産価格)」から「権利行使価格」を控除することで算出することができます。

  • 本質的価値 = 市場価格(原資産価格)- 権利行使価格
    (※)本質的価値 ≧ 0

上述の内容に基づき、問題文を穴埋めすると以下の文章となります。

—-

コールオプションの価格は、権利行使したときに得られる本質的価値とこれに上乗せされる時間的価値の合計から構成されている。本質的価値は原資産価格から権利行使価格を控除することにより得られる。原資産価格 - 権利行使価格 ≦ 0 のときは本質的価値はゼロとなる

答えは(エ)です。


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