財務・会計 ~H30-7 費用と収益の認識と計上(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H30-7 費用と収益の認識と計上(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成30年度一次試験問題一覧~

平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

費用と収益の認識と計上

「費用」は「発生主義の原則」に基づき、「収益」は「実現主義の原則」に基づき、認識します。

「収益」は「実現主義の原則」に基づき認識したものを損益計算に計上しますが、「費用」は「費用収益対応の原則」に基づき、認識した費用の中で当該期に実現した収益に対応する費用だけを損益計算に計上します。

 

企業会計原則-損益計算書原則

  • 損益計算書原則一A(発生主義の原則)
    すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。前払費用及び前受収益は、これを当期の損益計算から除去し、未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に計上しなければならない。
  • 損益計算書原則一C(費用収益対応の原則)
    費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。
  • 損益計算書原則三B(売上高の計上基準)
    売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。ただし、長期の未完成請負工事等については、合理的に収益を見積り、これを当期の損益計算に計上することができる。

 

収益の認識と計上(実現主義の原則)

「収益(売上高)」は、原則として「実現主義の原則」に基づき認識されたものに限って、損益計算に計上するよう定められています。

ただし、例外として「長期の未完成請負工事等」については、合理的に収益を見積り、これを当期の損益計算に計上することができますが、これは工事契約に係る「工事進行基準」のことを示しています。

 

「工事契約」については、以下のページで詳細に説明していますので、アクセスしてみてください。

 

 

 

実現主義の原則

「実現主義の原則」とは、以下に示す2つの要件を満たすことを意味しており、この判断基準を「販売基準」といいます。

  1. 買い手に商品や製品が引き渡されたことまたはサービスの提供が行われたこと
  2. 商品、製品およびサービス提供の対価を受け取ること
    (受取手形や売掛金などの計上を含む)

 

費用の認識と計上(発生主義の原則/費用収益対応の原則)

費用については、収益と対応しているか否かに関わらず、またその支出がなされたか否かに関わらず、「発生主義の原則」に基づき、発生したものをすべて認識しますが、「費用収益対応の原則」に基づき、当該期に実現した収益に対応する費用だけを損益計算に計上するよう定められています。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成30年度 第7問】

当社は企業向けのセミナーや研修を中心とした業務を営んでいる。決算にあたり以下の一連の取引に対し計上される収益および費用の金額の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

4月20日 7月開講予定のセミナー(全10回、50,000円/回)の受講料総額500,000円を現金で受け取った。
5月30日 開講準備にあたり、全10回分のテキスト作成のため現金250,000円を支出した。
12月31日
(決算日)
全10回のセミナーのうち6回が終了していた。

 

[解答群]

ア 収益:300,000円  費用:150,000円
イ 収益:300,000円  費用:250,000円
ウ 収益:500,000円  費用:150,000円
エ 収益:500,000円  費用:250,000円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「費用と収益の計上」に関する知識を問う問題です。

 

「費用」は「発生主義の原則」に基づき、「収益」は「実現主義の原則」に基づき、認識します。

「収益」は「実現主義の原則」に基づき認識したものを損益計算に計上しますが、「費用」は「費用収益対応の原則」に基づき、認識した費用の中で当該期に実現した収益に対応する費用だけを損益計算に計上します。

 

収益の計上

「4月20日」にセミナー(全10回、50,000円/回)の受講料総額を現金で受け取っています(2の要件)が、「12月31日(決算日)」の時点で全10回のセミナーのうち6回しか終了していない(1の要件)ため、「実現主義の原則」に基づき、損益計算書に「収益」として計上できるのは「全10回のセミナーのうち6回分」ということになります。

したがって、決算にあたり損益計算書に計上される「収益」は以下の通りです。

  • 収益:50,000円/回 × 6回 = 300,000円

 

費用の計上

「5月30日」に、全10回に渡って行われるセミナーのテキストを作成するために現金250,000円を支出していますが、「費用収益対応の原則」に基づき、損益計算に「費用」として計上されるのは、当該期に実現した収益である「全10回のセミナーのうち6回分」に対応する「費用」だけということになります。

したがって、決算にあたり損益計算に計上される「費用」は以下の通りです。

  • 費用:250,000円 ÷ 10回 × 6回 = 150,000円

 

答えは(ア)です。


 

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