事例Ⅳ ~平成22年度 解答例(5)(金利変動リスク)~

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平成22年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

目次

事例Ⅳ ~平成22年度試験問題一覧~

平成22年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

リスク

一般的に「リスク」とは「危険」を表す言葉として認知されていますが、正確には「リスク」とは「不確実性さ」を意味しています

例えば、「ハイリスクハイリターン」な金融商品とは、大損をする可能性もあれば大儲けできる可能性もある商品のことをいいますが、これは「危険が大きいので儲けも大きくなる可能性がある」のではなく「不確実性が高いため儲けも損も大きくなる可能性がある」ということを意味しています。

 

企業のリスク管理

企業はリスクを管理することによって、被る損失を事前に回避したり軽減する必要があります。

 

市場リスク

「市場リスク」には「為替変動リスク」や「金利変動リスク」があります。

 

為替変動リスク

「為替変動リスク」とは、為替相場の変動により外貨取引で為替差損益が発生するリスクのことをいいます。

輸入や輸出など海外企業と取引を行う企業は、デリバティブ取引(為替予約、オプション取引)を活用して、為替相場の変動による損失を回避します。

 

金利変動リスク

「金利変動リスク」とは、金利の変動により債券などの資産価値が変動するリスクのことをいいます。

債券は金利変動による影響を受けやすく、市場の金利が高くなれば債券の価値は下がり、市場の金利が低くなれば債券の価値が上がります。

 

第4問

第4問(配点15点)

 

D社では、かねてから、将来的にも部品Qの受注が増加すると予想していた。そこで数年前より部品Qの増産に向けて新工場の建設プロジェクトを立ち上げ、社内で検討してきた。D社の製品は品質の面で他社より優位な立場にある。そこで新工場では、さらなる価格競争にも対応できる生産設備を導入することにしている。Z社からの受注増を受け入れるのであれば、このプロジェクトが実施される公算が大きい。
平成25年度末の工場建設開始に向けて、余剰資金の一部を国債で運用することを計画している。新工場建設に伴う投資規模は約8億円と推定されている。先頃すでに5年後満期の利付国債を3.6億円購入した。手元資金のうち2億円についても同様に利付国債での運用を検討している。

 

(設問1)

金利が上昇した場合に保有債券の市場価値にどのような影響が出るかを20字以内で説明せよ。

 

(設問2)

設問1の影響を軽減するための方策を30字以内で提案せよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方(設問1)

「金利変動リスク」に関する知識を問われています。

 

債券の確定利子率

債券には、発行日、償還日、利子率が設定されています。

債券に記載されている「利子率」は「確定利子率」と呼ばれ、債券が満期を迎えるまで支払われることを約束された利子率です。

一方で、銀行に現金を預けた場合に適用される「利子率」は「市場利子率(市場金利)」と呼ばれ、その数値は日々変動しています

債券の価値は、この「確定利子率」と「市場利子率(市場金利)」の関係により日々変動しています。

 

市場利子率(市場金利)が低下した場合

例えば、債券において「5%」の利子率(確定利子率)が設定されている状況において、市場利子率(市場金利)が「1%」まで低下した場合、銀行に現金を預けても「1%」しか利息を受け取れないのに対して、当該の債権を保有しておけば額面金額の「5%」に相当する利息を受け取ることができるため、債券の価値が上昇して当該債券の売買価格が高くなります

 

市場利子率(市場金利)が上昇した場合

例えば、債券において「5%」の利子率(確定利子率)が設定されている状況において、市場利子率(市場金利)が「10%」まで上昇した場合、銀行に現金を預けると「10%」の利息を受け取ることができるのに対して、当該の債権を保有していても額面金額の「5%」に相当する利息しか受け取ることができないため、債券の価値が低下して当該債券の売買価格が安くなります

 

解答(設問1)

金利が上昇した場合に保有債券の市場価値が受ける影響は以下の通りです。

金利が上昇すると保有債券の価値は低下する。(20文字)

 

考え方(設問2)

「設問1」において、市場金利の上昇による債券価値の低下について説明しましたが、これはあくまで保有する債券を満期よりも前に売却する場合に発生する可能性のあるリスクです。

極端な言い方をすれば、債券を取得して償還日まで保有する場合は受け取る金額が確定しているため、債券の発行元が倒産しない限り、定期預金に預けているのと同じ効果があります。

今回の問題では、平成25年度末の工場建設開始に向けた資金の運用を計画していますが、平成25年度末に満期を迎える債券(国債)を購入しておけば、市場金利の上昇による債券価値の低下に関するリスクを回避することができます

 

リスクを軽減する方策

既に購入している5年後満期の3.6億円分の利付国債については、資金が必要となる平成25年度末が満期の債券(国債)に買い替えることで、リスクを回避することができます

さらに、追加で購入しようとしている2億円の利付国債についても、平成25年度末に満期を迎える債券(国債)を購入しておけば、同様にリスクを回避することができます

 

つまり、現在保有している3.6億円の国債を売却して、手元資金2億円も加えた5.6億円で、平成25年度末に満期を迎える国債を購入することで、市場金利が上昇した場合に保有債券の市場価値が低下するリスクを回避することができます。

 

解答(設問2)

金利が上昇した場合に債券の市場価値が低下する影響を軽減するための方策は以下の通りです。

保有する国債を売却して平成25年度末満期の国債を5.6億円購入する。(30文字)

 


 

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