事例Ⅳ ~平成25年度 解答例(4)(品質コストの種類)~

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平成25年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

目次

事例Ⅳ ~平成25年度試験問題一覧~

平成25年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

品質コスト

「品質コスト」とは、企業が提供する製品やサービスの品質を顧客が求める一定の水準に維持するための費用であり、製品不良の発生を抑制するための品質管理に関するコストと、発生した製品不良を回収するためのコストに分類することができます。

品質コストに関する事例としては、自動車のリコールがイメージしやすいと思いますが、自動車の部品に問題が発覚してリコールを宣言した場合は、世界中を走っている全ての自動車に対する部品交換対応を実施するため、多額の費用が発生します。また、リコールに伴う対応に多額の費用が発生するだけではなく、ブランドイメージも失墜してしまうため、企業の経営を左右するような事態にもなりかねません

企業としては、このような事態とならないよう品質管理を強化して製品の品質を管理していく必要がありますが、目標とすべき品質水準を高くしすぎると品質コストも増大するため、企業にとって最適な品質水準を設定して品質管理を行うことで、品質コストの最適化を図っていきます

 

品質コストの分類

一般的に、「品質コスト」は「PAF法(Prevention Appraisal Failure Method)」により分類されます。

「品質コスト」は「予防コスト」「評価コスト」「失敗コスト」に分類され、さらに「失敗コスト」は「内部失敗コスト」と「外部失敗コスト」に分類されます。

「予防コスト」や「評価コスト」は、製品不良の発生を抑制するために行う「品質管理」に関するコストであり、「失敗コスト」は発生した製品不良を回収するコストを示しています。

 

予防コスト(Prevention Cost)

「予防コスト」は、製造する製品の品質評価基準を定め、維持するための仕組みづくりと管理を行うためのコストです。具体的には以下の項目などにより発生するコストが該当します。

  • 品質計画(品質目標、検査計画など)
  • 品質管理(品質評価基準の策定、品質維持活動の進捗管理など)
  • 品質訓練(従業員の教育など)

 

評価コスト(Appraisal Cost)

「評価コスト」は、製品を出荷する前に検査するなど、製品の品質水準を維持するためのコストです。具体的には以下の項目などにより発生するコストが該当します。

  • 材料の受入検査
  • 製品の出荷前検査
  • 検査用機器の整備

 

失敗コスト(Failure Cost)

「失敗コスト」は、製品を市場に出荷する時点を境界線として「内部失敗コスト」と「外部失敗コスト」に分類されます。

 

内部失敗コスト(Internal Failure Cost)

「内部失敗コスト」とは、製品を市場に出荷する前に発見された不良を回収するためのコストです。具体的には以下の項目などにより発生するコストが該当します。

  • 製品の手直し
  • 製品の廃棄

 

外部失敗コスト(External Failure Cost)

「外部失敗コスト」とは、製品を市場に出荷した後に発見された不良を回収するためのコストです。具体的には以下の項目などにより発生するコストが該当します。

  • 製品の保証期間内における無償修理
  • 製品リコールに伴う対応
  • クレーム処理
  • 訴訟による損害賠償

 

各コストの関係性

「予防コスト」「評価コスト」「内部失敗コスト」「外部失敗コスト」は、製品の不良が発生するタイミングが後工程になるほど、そのコストが増大します。

 

 

品質コストの最適化

「予防コスト」「評価コスト」と「失敗コスト」の間にはトレードオフの関係があります。

「予防コスト」や「評価コスト」を高くして「品質管理」を強化すれば、製品の品質が高くなり不良の発生を抑制することができるため、結果として「失敗コスト」を低くすることができます。

逆に、「予防コスト」や「評価コスト」を低くして「品質管理」に力を入れなかった場合は、製品の品質が低くなり不良の発生が増えてしまうため、不良を回収するコストである「失敗コスト」が高くなってしまいます。

 

最適な品質水準

ある一定の「品質レベル」までは、「予防コスト」「評価コスト」をかけて「品質管理」を強化すれば、製品の品質が高くなり不良の発生を抑制することができるので、トータルで発生する「品質コスト」を低減することができますが、ある一定の「品質レベル」を超えると「品質管理」を強化しても「品質レベル」は向上しづらくなるため、結果としてトータルで発生する「品質コスト」が増大していきます

「品質コスト」を最も抑えられる「品質レベル」が企業にとっての最適な品質水準であり、企業としてはこの品質水準を維持するように品質管理を行い、品質コストの最適化を図っていきます。

 

 

第3問

第3問(配点30点)

 

植物工場で栽培した植物は一定の品質が保証される限り、すべて生産した期に販売されると見込まれているが、前提とされる品質基準に適合しないものが生産されるリスクがある。植物工場において生産計画から納品までのそれぞれのプロセスの中で、考慮すべきリスクに関連するコストを大きい順に4つ、90字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

品質に関連するコストの種類と特徴に関する知識を求められています。
配点が30点って高すぎないか。と思ってしまう問題です。

 

品質コストの種類

「品質コスト」は「PAF法(Prevention Appraisal Failure Method)」により以下の4種類に分類することができます。

  • 予防コスト
    製造する製品の品質評価基準を定め、維持するための仕組みづくりと管理を行うためのコスト
  • 評価コスト
    製品を出荷する前に検査するなど、製品の品質水準を維持するためのコスト
  • 内部失敗コスト
    製品を市場に出荷する前に発見された不良を回収するためのコスト
  • 外部失敗コスト
    製品を市場に出荷した後に発見された不良を回収するためのコスト

 

問題文における「生産計画から納品までのそれぞれのプロセス」という記述が気になります。

「外部失敗コスト」は納品よりも後のプロセスで発生するコストのため、解答から除外した方が良いのかもしれませんが、そうした場合に品質に関する4つのコストを上げることができなくなってしまうため「外部失敗コスト」も解答すべきと判断しました。

 

品質コストの大きい順

「予防コスト」「評価コスト」「内部失敗コスト」「外部失敗コスト」は、製品の不良が発生するタイミングが後工程になるほど、不良を回収するためのコストが増大します。

 

 

上記の内容を受け、解答案を90文字以内で整理します。

  • 納品後に顕在化した不適合を回収する外部失敗コスト、納品前に発見した不適合を回収する内部失敗コスト、品質基準への適合検査を行う評価コスト、生産計画で品質基準を定める予防コストである。(90文字)

 

解答

生産計画から納品までのそれぞれのプロセスの中で、前提とされる品質基準に適合しないものが生産されるリスクに関連するコストを大きい順に示すと、以下の通りです。

納品後に顕在化した不適合を回収する外部失敗コスト、納品前に発見した不適合を回収する内部失敗コスト、品質基準への適合検査を行う評価コスト、生産計画で品質基準を定める予防コストである。(90文字)

 


 

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