事例Ⅳ ~損益分岐点分析(CVP分析)(1)(損益分岐点売上高)~

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今回は、「損益分岐点分析(CVP分析)(1)(損益分岐点売上高)」について説明します。

 

目次

損益分岐点分析

「損益分岐点分析(CVP分析)」と「限界利益と貢献利益による分析」は、言葉の定義や考え方など異なる点もありますが、共通の知識を必要とする箇所も多いため、似通ったカテゴリだと捉えることができます。

「事例Ⅳ」では「損益分岐点分析(CVP分析)」か「限界利益と貢献利益による分析」のいずれかが、ほぼ毎年出題されているようです。

 

年度 損益分岐点 限界利益 貢献利益
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度 出題なし
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度

 

今回は、「損益分岐点分析(CVP分析)」について説明していきますが、「限界利益と貢献利益による分析」との違いについても補足していくようにしたいと思います。

 

「損益分岐点分析(CVP分析)」に関連する記事は、以下のページに整理しています。

 

損益分岐点分析(CVP分析)とは

「損益分岐点分析(CVP分析)」では、総費用を変動費と固定費に区分して、目標利益を達成するために必要な売上高や製品の販売数量を分析するなど企業が利益計画を立てるために必要な数値を求めることができます。

「損益分岐点分析(CVP分析)」は、企業の費用構造に関する安全性を分析する手法です。

企業の費用構造上、総費用に占める固定費の割合が低くなると、世の中の不況などの外部環境の変化により売上高が低下しても利益を確保することができるなど、外部環境の変化に対する抵抗力が強くなります。

 

二次試験において、「損益分岐点分析(CVP分析)」に関する問題を解くために必要な知識として「損益分岐点売上高」「損益分岐点比率」「安全余裕率」「営業レバレッジ」など、順番に説明していきます。

 

変動費と固定費

「損益分岐点分析(CVP分析)」では、費用を「変動費」と「固定費」に区分して分析を行います。

 

変動費

「変動費」とは「製品の生産量」に比例して増減する費用であり、直接材料費、直接労務費などが該当します。

 

 

固定費

「固定費」とは「製品の生産量」に関わらず定額で発生する費用であり、設備の減価償却費や、管理部門の従業員に対する給与などが該当します。

 

 

変動費 + 固定費

「変動費」と「固定費」を合計した金額の直線を「総費用曲線」といいます。

 

 

「損益分岐点分析」では、以下のように変動費を下方に記述した方が理解しやすいので、以下の図で説明を進めていきます。

 

 

変動費率

「総費用曲線」において、「Y=費用」「X=売上高(生産量)」「a=変動費の傾き」「b=固定費」とすると、「総費用曲線」は「Y=aX+b」という式で表すことができます。

 

 

「a=変動費の傾き」のことを変動費率といい、売上高に対する変動費の割合を示しています。なお、分母が原価の総額ではなく、売上高であることに注意してください。

 

 

なお、実際の試験問題では、以下の公式を使うことの方が多いと思われます。

 

 

損益分岐点

「損益分岐点」とは「売上高」と「総費用」が等しくなり「利益」がゼロとなる点のことをいいます。

「売上曲線」はゼロから始まり「生産量」に比例して右肩上がりの直線です。
以下に示すように「総費用曲線」に「売上曲線」を追記したときの交点(青い点)が「損益分岐点」です。

 

 

損益分岐点売上高

「損益分岐点」における「売上高」のこと、つまり「売上高」と「総費用」が等しくなり「利益」がゼロとなる「売上高」のことを「損益分岐点売上高」といいます。

「損益分岐点」よりも右側に行く(売上高が高くなる)と「利益」が発生しており、損益分岐点よりも左側に行く(売上高が低くなる)と「損失」が発生していることを示しています。

 

 

貢献利益率

上述の「損益分岐点図表」において登場した「貢献利益率」について説明します。

「貢献利益」は「売上高」から「変動費」を控除した金額であり、「売上高」に対する「貢献利益」の割合を示す「貢献利益率」は以下の計算式により算出されます。

 

 

損益分岐点分析(CVP分析)で説明する「貢献利益」は、先に説明した「限界利益と貢献利益による分析」では「限界利益」と表現されていた内容に該当します。

「損益分岐点分析(CVP分析)」と「限界利益と貢献利益による分析」で言葉の定義が異なるポイントです。

 

損益分岐点売上高の公式

「損益分岐点売上高」は、以下の計算式により算出されます。

 

 

公式の算出過程

「損益分岐点分析(CVP分析)」では、様々な公式が出てきますが、公式だけ覚えておくと、応用問題に対応することができないので、算出過程から公式を算出できるように理解を深めておく必要があります。

 

「損益分岐点売上高」は「売上高」から「変動費」と「固定費」を控除したときに「利益」がゼロとなる「売上高」であり、「売上高 - 変動費 - 固定費 = 0」という式からスタートします。

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 = 0
  • 変動費 = 売上高 × 変動費率

この式を変形していくと。

  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 - 固定費 = 0
  • 売上高 ×(1 - 変動費率)- 固定費 = 0
  • 売上高 ×(1 - 変動費率)= 固定費
  • 売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)

「損益分岐点売上高」の公式は以下の通りです。

 

 

例題

目標利益を達成するために必要な売上高や製品の販売数量を算出する例題を以下に示します。

それぞれの問題の最後に公式を記載していますが、公式だけ覚えていても、これらの問題に対応することはできないので、是非算出過程を理解してください。

一番重要なのは「売上高 - 変動費 - 固定費 = 利益」という計算式です。

 

応用例1(目標利益〇〇万円を達成するための売上高)

応用例の1つ目として、目標利益を金額〇〇万円とする場合、目標を達成するための売上高をいくらに設定すればよいか。について公式を導いてみます。

 

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 = 目標利益
  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 - 固定費 = 目標利益
  • 売上高 ×(1-変動費率)- 固定費 = 目標利益
  • 売上高 ×(1-変動費率)= 固定費 + 目標利益
  • 売上高=(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)

 

目標利益の金額〇〇万円を達成するための売上高を求める公式は以下の通りです。

ただし、公式を覚える必要はありません。
公式を覚えるのではなく、公式の算出過程を理解しておくことで応用問題にも対応することができるようになります。

 

 

応用例2(売上高の〇〇%の利益目標を達成するための売上高)

続いて応用例の2つ目として、目標利益を「売上高の〇〇%」と設定する場合、目標を達成するための売上高をいくらに設定すればよいか。について公式を導いてみます。

 

  • 売上高 - 変動費 - 固定費 =売上高 × 〇〇%
  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 -固定費 = 売上高 × 〇〇%
  • 売上高 - 売上高 × 変動費率 -売上高 × 〇〇% = 固定費
  • 売上高 ×(1-変動費率- 〇〇%)= 固定費
  • 売上高 = 固定費 ÷(1- 変動費率 - 〇〇%)

 

目標利益を売上高の〇〇%とする場合、目標を達成するための売上高を求める公式は以下の通りです。

ただし、公式を覚える必要はありません。
公式を覚えるのではなく、公式の算出過程を理解しておくことで応用問題にも対応することができるようになります。

 

 

応用例3(損益分岐点を達成する製品販売数量)

続いて応用例の3つ目として、損益分岐点を達成するための販売数量を求める公式を導いてみます。

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1- 変動費率)
  • 損益分岐点売上高 ÷ 製品販売単価 = 固定費 ÷(1- 変動費率)÷ 製品販売単価
  • 損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷ (製品販売単価 - 製品販売単価 × 変動費率)
  • 損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷ (製品販売単価 - 製品単位の変動費)
  • 損益分岐点販売数量 = 固定費 ÷  製品単位の貢献利益

損益分岐点を達成する製品販売数量を求める公式は以下の通りです。

ただし、公式を覚える必要はありません。
公式を覚えるのではなく、公式の算出過程を理解しておくことで応用問題にも対応することができるようになります。

 

 

公式だけ覚えておくと、応用問題に対応することができないので、公式の算出過程を理解してください。一番重要なのは「売上高 - 変動費 - 固定費 = 利益」という計算式です。

 


明日は、「損益分岐点分析(CVP分析)(2)(損益分岐点比率・安全余裕率)」について説明します。

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