事例Ⅳ ~設備投資の経済性計算(2)(割引率と資本コスト)~

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今回は、「設備投資の経済性計算(2)(割引率と資本コスト)」について説明します。

 

目次

設備投資の経済性計算

「設備投資の経済性計算」に関連する記事は、以下のページに整理しています。

 

割引率

「設備投資の経済性計算」において、「プロジェクトにより得られるキャッシュ・フロー」の現在価値を求めるためには「割引率」でキャッシュフローを割り引く必要があります。

企業が、「プロジェクトにより得られるキャッシュ・フロー」の現在価値を求める際には、自社で設定した「資本コスト」を「割引率」として使用します。

 

資本コスト

「資本コスト」とは、企業が存続する限り最低限発生するコストをいいます。

投資により「資本コスト」以上の利益を生みだす成果が得られない限り、企業としては投資をやるべきではないと判断します。なぜなら、企業としては存続するだけで最低限発生するコスト(資本コスト)以上の利益を生み出さないと徐々に資金が減少してしまうからです。

「資本コスト」は、「加重平均資本コスト(WACC)」により「負債コスト」と「株主資本コスト」の加重平均で算出します。

つまり、「資本コスト」は、「資本調達構造(負債と株主資本の割合)」「負債の利子率」「株主への配当金等」といった要素により決定されるため、企業ごとにその数値が異なります

 

加重平均資本コスト(WACC)

「資本コスト」は、「加重平均資本コスト(WACC)」により「負債コスト」と「株主資本コスト」の加重平均で算出します。

「加重平均資本コスト(WACC)」の公式は以下の通りです。

 

 

加重平均資本コスト(WACC)を求める問題のポイントは、以下の2点です。

  • 加重平均資本コストの計算には「株主資本コスト」と「他人資本コスト(負債)」の「時価」を使用します。
  • 加重平均資本コストの計算には「税引後負債コスト」を使用します。

 

負債コスト

負債とは借入金です。負債(借入金)があるということは借入先に「支払利息」を支払わなくてはなりません。これが負債コストであり「支払利息÷負債総額」で計算することができます。

「支払利息÷負債総額」で算出される負債コストは「税引前負債コスト」と言いますが、黒字経営の企業の場合、支払利息を払うことにより利益が減少するため、節税効果により支払う法人税が少なくなります。この節税効果を加味して「税引後負債コスト」を算出します。

 

 

株主資本コスト(自己資本コスト)

株主資本(自己資本)とは資本金などの純資産です。資本金を調達するために株式を発行している場合、株主に対して「配当金」を支払わなくてはなりません。これが「株主資本コスト(自己資本コスト)」です。

逆に、株主の視点から見ると、投資した企業からの配当金(収益)を期待しています。これが「株主の期待収益率」です。

つまり、「株主資本コスト=自己資本コスト=株主の期待収益率」であり、立場の違いによっていろいろな呼び方があります。

ちなみに、株主は株価の低下や企業の倒産等により投資資金を失うリスクがあるため、銀行に預けた時に受け取る利息よりも高いリターンを期待しています。そのため、「株主資本コスト」の方が銀行の利息である「負債コスト」よりも高くなります。

 

株式資本コスト(自己資本コスト)の算出方法

「株主資本コスト(自己資本コスト)」は、「CAPM(Capital Asset Pricing Model)」により算出します。

「CAPM」の公式は以下の通りです。

 

  1. 安全利子率(無リスク利子率・リスクフリーレート)
    リスクを持たない資産(安全資産)により期待できる利子率です。
    銀行の利子率をイメージすると分かりやすいかと。銀行に預けておけば、預金額が減ったりすることがないため安全ですが、得られる利子は少ないですよね。
    分かりやすくするため銀行預金で話をしましたが、実際には長期国債の利回りが適用されます。
  2. β値
    簡単に言うと、当該企業の景気に対する感度を示しています。
    数値が高いほど、ハイリスク・ハイリターンな株式という解釈になります。
    一般的に、景気変動の影響を受けにくい商品を扱う企業の数値は低く、金融業や最先端技術を扱う企業など景気変動の影響を受けやすい企業の数値は高くなります。
  3. 市場期待収益率
    投資家が株式などの金融商品に投資することにより期待できる平均的な収益率です。
    東京証券取引所で扱っている株式全体の収益率をイメージするとわかりやすいかと。
    上述していますが、投資家は株式を購入しても株価の低下や企業の倒産等により投資資金を失うリスクがあるため、銀行に預ける場合の利息(安全利子率)よりも高い収益率を期待しています。

 


明日は、「設備投資の経済性計算(3)(意思決定モデル)」について説明します。

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