財務・会計 ~H23-8 税効果会計(4)~

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今回は、「財務・会計 ~H23-8 税効果会計(4)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成23年度一次試験問題一覧~

平成23年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

税効果会計 -リンク-

「税効果会計」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

「税効果会計に係る会計基準」の一部改正

「2018年2月16日」に、企業会計基準委員会から以下の「企業会計基準」と「企業会計基準適用指針」が公表され、「税効果会計に係る会計基準」の内容が一部改正されました。

本ページに記載している内容は、新しい「企業会計基準(2018年2月16日公表)」の内容に基づいています。

  • 「税効果会計に係る会計基準」の一部改正
  • 税効果会計に係る会計基準の適用指針
  • 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
  • 中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針

 

税効果会計に係る会計基準注解

税効果会計に係る会計基準には、注意事項に関する説明が記載されています。

 

(注1)法人税等の範囲

法人税等には、法人税のほか、都道府県民税、市町村民税及び利益に関連する金額を課税標準とする事業税が含まれます。

 

(注2)将来減算一時差異について

将来減算一時差異は、例えば、貸倒引当金、退職給付引当金等の引当金の損金算入限度超過額、減価償却費の損金算入額限度超過額、損金に算入されない棚卸資産等に係る評価損等がある場合のほか、連結会社相互間の取引から生ずる未実現利益を消去した場合に生じます。

 

(注3)将来加算一時差異について

将来加算一時差異は、例えば、利益処分により租税特別措置法上の諸準備金等を計上した場合のほか、連結会社相互間の債権と債務の消去により貸倒引当金を減額した場合に生じます。

 

(注4)繰延税金資産及び繰延税金負債の計上に係る重要性の原則の適用について

重要性が乏しい一時差異等については、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しないことができます。

 

(注5)繰延税金資産の計上について

繰延税金資産は、将来減算一時差異が解消されるときに課税所得を減少させ、税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上するものとし、その範囲を超える額については控除しなければなりません。

 

(注6)税率の変更があった場合の取扱について

法人税等について税率の変更があった場合には、過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債を新たな税率に基づき再計算するものとします。

 

(注7)繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を修正した場合の取扱について

法人税等について税率の変更があったこと等により繰延税金資産及び繰延税金負債(資本連結に際し、子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額に係るものを含む。)の金額を修正した場合には、修正差額を法人税等調整額に加減して処理するものとします。
ただし、資産の評価替えにより生じた評価差額が直接資本の部に計上される場合において、当該評価差額に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を修正したときは、修正差額を評価差額に加減して処理するものとします。

 

(注8)繰延税金資産の発生原因別の主な内訳における評価性引当額の取扱いについて(2018年2月16日改正)

  1. 繰延税金資産の発生原因別の主な内訳を注記するにあたっては、繰延税金資産から控除された額(評価性引当額)(注5 に係るもの)を併せて記載します。
    繰延税金資産の発生原因別の主な内訳として税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、繰延税金資産から控除された額(評価性引当額)は、税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額に区分して記載します。
    なお、将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額の区分には、繰越外国税額控除や繰越可能な租税特別措置法上の法人税額の特別控除等を含めます。
  2. 繰延税金資産から控除された額(評価性引当額)に重要な変動が生じている場合、当該変動の主な内容を記載します。
    なお、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表において記載する必要はありません。

 

(注9)繰延税金資産の発生原因別の主な内訳として税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときの取扱いについて(2018年2月16日追加)

繰延税金資産の発生原因別の主な内訳として税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、次の事項を記載します。
なお、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表において記載する必要はありません。

  1. 繰越期限別の税務上の繰越欠損金に係る次の金額
    ①税務上の繰越欠損金の額に納税主体ごとの法定実効税率を乗じた額
    ②税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産から控除された額(評価性引当額)
    ③税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の額
  2. 税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を計上している場合、当該繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成23年度 第8問】

税効果会計に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 重要性が乏しい一時差異等については、繰延税金資産および繰延税金負債を計上しないことができる。
イ 将来加算一時差異は、例えば、損金に算入されない棚卸資産等に係る評価損等がある場合に生ずる。
ウ 将来減算一時差異は、例えば、連結会社相互間の債権と債務の消去により貸倒引当金を減額した場合に生ずる。
エ 税効果会計における「法人税等」に含まれるのは、法人税と住民税である。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「税効果会計に係る会計基準注解」に記載されている項目に関する出題です。

 

(ア) 適切です。

「税効果会計に係る会計基準注解」において、重要性が乏しい一時差異等については、繰延税金資産および繰延税金負債を計上しないことが容認されているため、選択肢の記述は適切です。

 

(注4)繰延税金資産及び繰延税金負債の計上に係る重要性の原則の適用について

重要性が乏しい一時差異等については、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しないことができます。

 

(イ) 不適切です。

将来加算一時差異とは、「一時的に法人税法上の課税所得(法人税等の支払額)を減少させるが、将来は課税所得(法人税等の支払額)を増加させる差異」のことであり、「損金算入(企業会計上は費用として計上しないが、法人税法上では損金として算入される)」などにより発生します。

選択肢の「損金に算入されない棚卸資産等に係る評価損等」は「損金不算入」であり「将来加算一時差異」ではなく「将来減算一時差異」が発生するため、選択肢の記述は不適切です。

 

(注3)将来加算一時差異について

将来加算一時差異は、例えば、利益処分により租税特別措置法上の諸準備金等を計上した場合のほか、連結会社相互間の債権と債務の消去により貸倒引当金を減額した場合に生じます。

 

(ウ) 不適切です。

将来減算一時差異とは、「一時的に法人税法上の課税所得(法人税等の支払額)を増加させるが、将来は課税所得(法人税等の支払額)を減少させる差異」のことであり、「損金不算入(企業会計上は費用として計上するが、法人税法上では損金として認められない)」などにより発生します。

選択肢の「連結会社相互間の債権と債務の消去により貸倒引当金を減額した場合」は「損金算入」であり「将来減算一時差異」ではなく「将来加算一時差異」が発生するため、選択肢の記述は不適切です。

 

(注2)将来減算一時差異について

将来減算一時差異は、例えば、貸倒引当金、退職給付引当金等の引当金の損金算入限度超過額、減価償却費の損金算入額限度超過額、損金に算入されない棚卸資産等に係る評価損等がある場合のほか、連結会社相互間の取引から生ずる未実現利益を消去した場合に生じます。

 

(エ) 不適切です。

「法人税等」は「法人税、住民税及び事業税」の略称です。

「税効果会計に係る会計基準注解」において「法人税等には法人税のほか、都道府県民税、市町村民税及び利益に関連する金額を課税標準とする事業税が含まれる」と定義されているため、選択肢の記述は不適切です。

なお、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」においては、「法人税、住民税及び事業税」に含まれるのは「法人税」「地方法人税」「住民税(道府県民税及び市町村民税)」「事業税(所得割)」と定義されています。

 

(注1)法人税等の範囲

法人税等には、法人税のほか、都道府県民税、市町村民税及び利益に関連する金額を課税標準とする事業税が含まれます。

 

答えは(ア)です。


 

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